■「つまらない」雰囲気が蔓延。トランプ大統領の就任演説
前回のコラムでは、「トランプ氏が正式に米大統領に就任する。彼がどういう政策を実際に進めるのか、就任式のスピーチに注目しておきたい。就任当日にいくつか大統領令を発表する予定なので、この内容にも注目しておきたい」と述べました。
【参考記事】
●トランプ氏が「トンデモ発言」なく大統領就任式を終えたら、来週からドル高期待!(1月20日、今井雅人)
実際の演説では「貿易、税制、移民、外交のあらゆる面で米国民に恩恵を与える政策を行う」などと発言したものの、悪く言えば、選挙期間中に叫んでいた保護主義の姿勢をそのまま繰り返して演説しただけのような形となってしまいました。
就任式で演説するトランプ米大統領。保護主義の姿勢をそのまま繰り返す内容で、悪く言うと「つまらない」演説に… (C)Alex Wong/Getty Images
アンチメディアの大統領を前にして、メディアが自ら賞賛するはずもなく、「何とも煮え切らない」、ひと言で言えば「つまらない」雰囲気が蔓延してしまったのは言うまでもありません。
■公式サイトでの基本政策発表&スペイン語訳サイト削除
また、ホワイトハウスは政権の交代を受けて、公式サイト上で「TPP(環太平洋連携協定)からの撤退」、「NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉」、「全ての税区分での引き下げ」、「年4%成長を目指し、10年間で2500万人の新規雇用」の基本政策を発表。
同時にスペイン語訳のサイトを削除するといったオマケまで付いた形となりました。
■一時、行き過ぎた保護主義への懸念が高まったが…
週明けの1月23日(月)にもトランプ米大統領は、「極めて大規模な減税や規制緩和を実行すると同時に、大規模な国境税を課す」ことを改めて表明しましたが、ムニューチン次期米財務長官が議会に宛てた書簡で、「過度に強い米ドルは短期的にはマイナス」であるとの見解を示していたことが判明しました。
市場は新政権に対する「行き過ぎた保護主義」などへの懸念を高めることになり、米ドル/円は、一時112.527円まで下落したほか、米長期金利も低下幅を広げることになりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■市場は、インフラ投資や規制緩和の動きにリスクオンで反応
ただ、そんな懸念も短命に終わります。
1月24日(火)には、トランプ米大統領が「カナダと米国を結ぶキーストーンXLパイプラインとダコタ・アクセス・パイプライン推進計画」の大統領令にサインしたことがわかると、一気に株価が上昇。米長期金利も急上昇することになりました。
なお、パイプラインは、米国産の鉄鋼のみを使うことが条件付けられたほか、数万人の新規雇用が生まれることも表明されています。
(出所:Bloomberg)
トランプ米大統領は、昨日1月25日(水)も「メキシコ国境での壁建造」の大統領令に署名。「保護主義」と表裏一体ではあるものの、実際の「インフラ投資」や「規制緩和」といった政策に動きが出てきたことで、市場は一転して「リスクオン」の動きとなりました。
ダウ平均は、ついに2万ドルの大台を突破。史上最高値を更新しました。
(出所:Bloomberg)
しかしながら米ドル/円は…
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