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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、
マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?

2017年04月10日(月)18:12公開 (2017年04月10日(月)18:12更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■ミサイル攻撃でも崩れない110円のマジノ線

4月7日(金)、米軍がシリアへミサイルを発射しました。


米ドル/円は急落しましたが、すぐに反転。4月10日(月)の午前中には111.50円を超えてきています。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

地政学リスクの高まりで事前に売られている中での有事だったため、結果的に「セル・ザ・ファクト」の反対のような形となりましたね。

シリア攻撃直後の米ドル/円の安値は110.14円。米ドル/円の「マジノ線」(※)である110円は本当に固いですね。

(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

今回も生保や年金の買いが出ていたようです。

【参考記事】
米中首脳会談はあの国がリスク要因に!? 悪材料出尽くしの英ポンドは上昇ターンへ!(4月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
ドル/円の上値重いが節目110円も割れず。話題の「忖度」と米ドル買いに関係が…!?(4月6日、西原宏一)

北朝鮮では4月15日(土)が「太陽節」(建国指導者・金日成の誕生日)で、4月25日(火)は朝鮮人民軍創設記念日。


こうしたタイミングを狙って北朝鮮に動きがあるかもしれないですし、米軍の空母カール・ビンソンは朝鮮半島へ向かって航行を開始したそうです。シリアに続いて、北朝鮮での有事も心配ですね。

北朝鮮問題は日本のメディアでも盛んに報道されていますし、市場のセンチメントはよくないですよね。

■シリア攻撃でトランプの求心力は回復へ?

今週(4月10日~)はG7(先進7カ国)外相会合が開催され、4月12日(水)にはティラーソン米国務長官がモスクワを訪問。シリア問題などについてロシアの外相と会談する予定です。


来週の4月18日(火)~19日(水)には、日米経済対話のため、ペンス米副大統領が来日。麻生財務大臣と会談します。こうした米高官の予定を見ると、米軍が何か仕掛けるとしても来週以降かな、という感じがしますね。

一方で、化学兵器を使用したアサド政権に対して躊躇なくミサイルを打ち込んだトランプ大統領の迅速な決断、行動は評価が高いようですね。

シリアに対するトランプ大統領の迅速な決断と行動を評価する向きは多い。求心力が回復すれば、インフラ投資や税制改革の実行にも追い風になる可能性が (C)Pool/Getty Images

オバマケア代替法案の撤回で実行力に疑問符がついていたトランプですが、その評価や求心力が回復してくるかもしれない。


そうなれば、インフラ投資や税制改革の実行にも追い風です。

【参考記事】
トランポノミクス失速でさらなる米ドル安も。新年度入りで本邦勢がどう動くかがカギに(3月30日、西原宏一)

■「2016年夏の100円」と「2017年春の110円」

先週(4月3日~)は保護主義を主張していたバノン首席戦略補佐官が国家安全保障会議(NSC)のメンバーから外される、というニュースもありましたよね。

シリア攻撃に反対したためでしょう。バノンがいなくなることで、トランプ政権は市場主義的な政策へと傾いていくことになりそう


相場の話に戻すと、地政学リスクの高まりもあってか、先週、4月6日(木)の東証空売り比率は45.3%と今年最高の高水準でした。

日経平均 日足&東証空売り比率
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

日経平均を売り崩したいヘッジファンドが「まずは為替から」と米ドル/円の110円割れを狙いましたが失敗。このまま110円を割らないようだと、戻り基調に入るのかもしれません


米利上げ後の調整も1か月近くが経過し、サイクル分析からもそろそろという感じがします。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

でも、このまま115円へと回復するような感じにも思えないですよね。

目先は112円台がメドかもしれませんね。思い出すのは昨年(2016年)夏から秋にかけての相場


円高を予見する人が多く、「100円割れは当然、95円もあるだろう」といった見通しが圧倒的でした。しかし、100円は非常に固く、米大統領選を境にして118円台まで急騰しました。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

今回も110円が非常に固い。昨年(2016年)と違うのは相場観が円高に偏っているわけではないことですが、110円を死守できるかどうか、注目ですね。


このまま110円を守って、112円を大きく超えていくようだと雰囲気も変わってきそうです。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

【参考記事】
レーガノミクス再来か。トランプ次期大統領のトランポノミクスのもと、ドル/円は109円へ(2016年11月10日、西原宏一)
予想どおりドル/円は109円へ。ここからは調整局面。次は112円、来年は115円へ!(2016年11月17日、西原宏一)

■原油相場は底入れか? でも、怖いのは「セル・イン・メイ」

強気派の後押しをする材料を挙げるなら、シリアでの有事もあり、WTI原油が上昇してきていることがあります。


原油はこれからが需要期。米国ではドライブシーズンが始まり、ガソリン需要が高まりますし、WTI原油は短期的に底入れした可能性がありそう。

NY原油先物 日足
NY原油先物 日足

(出所:Bloomberg)

一方で、そろそろ気になってくるのは「セル・イン・メイ」(※)です。


例年、米国株を中心に5月の相場は下げやすい傾向があります。今年はセル・イン・メイに加えて地政学リスクが高まっています。上がったところはしっかりと利食っていきたいですね。

(※編集部注:「セル・イン・メイ」とは5月に市場が調整する傾向があるという、米株式市場の格言「Sell in May and go away」のこと)

■中国に課された宿題「100日計画」

材料でいくと今週の4月15日(土)は、米議会に為替報告書が提出される予定ですね。


注目は、中国が為替操作国にリストアップされるのかどうか。

為替操作国への認定はもう少し先になるかもしれないですね。先週の米中首脳会談での数少ない合意事項が、米中の貿易関係についての「100日計画」策定


米国が「100日以内に答えを出せ」と中国に迫ったとも受け取れます。為替操作国なのか、あるいは違う基準なのか、この100日計画が出てから中国への圧力を高めていくことも考えられます

今週末、4月14日(金)は日本株のSQ(※)があり、欧米ではイースターのため休場となります。空売り比率の高い水準を見ると、今回のSQでは急落よりも買い戻しによる上昇を警戒したいですね。


戦略としては110円の攻防に注目しながら、引き続き米ドル/円の押し目買いでしょうか。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

(構成/ミドルマン・高城泰)

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