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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

悪材料出尽くしの英ポンドは上昇ターンへ!
米中首脳会談はあの国がリスク要因に!?

2017年04月03日(月)17:31公開 (2017年04月03日(月)17:31更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■注目の日中首脳会談にあの国が水を差す!?

今週(4月3日~)のメインイベントは、6日(木)、7日(金)の米中首脳会談ですよね。


トランプ大統領は選挙戦中から「中国を為替操作国に認定する」と宣言していましたし、来週(4月10日~)の15日(土)あたりには半期に一度の為替報告書が出てきます。

 

本当に為替操作国に認定するとは思えないですが、米国の対中貿易赤字は対日本とはケタが違う大きさ。米中の話し合いの行方はマーケットにも影響を与えそうです。

米商務省のデータをもとにザイFX!が作成

中国へ高いプレッシャーをかけるトランプは、中国から見ればいわば天敵です。


ただ、トランプは中国へたびたび、牽制球を投げるのですが、中国側の反応は見えてこない。けんか腰の態度をとることはないでしょうが、結果が読みづらいですね。

【関連記事】
日米首脳会談成功で円高リスクが後退。「暗黙のドイツマルク」のような存在とは? (2月16日、西原宏一)

北朝鮮にも気をつけないといけないですよね。2月の日米首脳会談の最中にも威嚇するかのようにミサイルを発射しました。袋小路に追い詰められて暴発一歩手前の状態にあるため、核弾頭をちらつかせることもあるかもしれない。


嫌なシナリオですが、北朝鮮の威嚇は円高リスクとなるかもしれないですし、米中首脳会談の内容によって円高に動く可能性も否めません。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

米国の貿易問題では、中国と同時に日本も名指しされていますから、米中貿易摩擦の深刻化は「日本への圧力も高まるのでは」と連想が働いて円高になりやすいでしょうね。

■「新年度入りの日本株買い」は期待薄か

もうひとつ、注目したいのが新年度入りによるフロー


この対談時点では4月3日(月)東京市場の前場が終わっただけですが、今のところ、新年度の外貨買いも入らず、ないだ状態です。もう数日様子を見てみたいですね。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

【関連記事】
トランポノミクス失速でさらなる米ドル安も。新年度入りで本邦勢がどう動くかがカギに(3月30日、西原宏一)

教科書的には4月になって年度が変わると株式市場では新規買いが出やすいと言われますが、去年(2016年)も4月の日経平均は陰線。


この数年、4月のパフォーマンスは良いとは限らないですね。

日経平均 月足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

以前だと秋に円高になりやすいアノマリーもありましたが、この数年は黒田バズーカやトランプラリーなど、秋に円安が進むことも目立ちますね。

■金曜日には米国で雇用統計も

米ドル/円についてはどうですか?

新年度の買いで1円、2円は上昇する場面があるかもしれません。そこは売りだと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

米利上げから始まった米ドル安の流れは、まだ2週間が経過しただけ。もう少し継続する可能性があるかなと見ています。

【関連記事】
FOMCきっかけの米ドル安はまだ続く…。市場は英ポンド安期待も、もう少し買い継続(3月27日、西原宏一&大橋ひろこ)

今週末には雇用統計もあります。先月(3月)は直前の水曜日に発表されたADP雇用統計が非常に強い数字だったことから、米ドルが買われる展開になりました。

次回の利上げは6月が濃厚となっていますし、最近は利上げを占う上で経済指標よりもFRB(米連邦準備制度理事会)関係者の発言がカギとなっていますね。


市場が利上げを期待しすぎているなら冷ます発言をするし、織り込みが足りなければ織り込ませるようなことを言う。株式市場を崩さないよう、上手にコントロールしています。

米国株に対しては原油急落をリスク要因とする声もありましたが、WTI原油先物は先週50ドル台を回復。

NY原油先物 日足
NY原油先物 日足

(出所:Bloomberg)

5月25日(木)にはOPEC(石油輸出国機構)総会が予定されています。そこへ向けて減産合意の延長や追加減産についての観測も出てくると思われます。原油下落に歯止めがかかれば、リスク要因はひとつ消えることになりますね。

■英ポンドは悪材料出尽くしで上昇のターンか

今週の戦略としては米ドル/円の戻り売りがひとつ。


それに、もうひとつ注目したいのが英ポンドです。

イギリスでは先週(3月27日~)、メイ首相がEU離脱を正式に通知。これからBrexit(英国のEU離脱)へ向けた交渉が正式に始まります。

英ポンドの悪材料はいったん出尽くしたように思います。


スコットランド独立へ向けた国民投票の話も出ていますが、Brexitの交渉期間である向こう2年以内の実施はメイ首相が認めないようです。


目先、これ以上の悪材料も想定しづらいですし、チャート的にもいい形となりつつあります

英ポンド/円は週足で一目均衡表の雲に突っ込むところ。これを上抜けるようだと、大きく上昇しそうですね。

英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

(出所:Bloomberg)

FOMC(米連邦公開市場委員会)以降の米ドル安の流れが続きつつ、それでも米ドル/円は急落しないのならクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は堅調となりそうですし、IMM(国際通貨先物市場)通貨先物ポジションを見ると、英ポンド売りのポジションはまだ積み上がったままですから、ショートカバーによる上昇も期待できる。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(英ポンド/米ドル)
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(英ポンド/米ドル)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

メルマガ「FXトレード戦略指令!」ではすでに配信しましたが、今週は英ポンド/円の上昇に期待したいと思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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