■米国のシリア攻撃と北朝鮮への強硬姿勢について
ここのところ、トランプ政権の一連の言動に市場が混乱しています。
まず、最初のきっかけはシリアへの爆撃でした。シリアのアサド政権が化学兵器を使ったのではないかということに対して、米国軍がシリアを爆撃しました。国連決議も経ない、いきなりの攻撃であり、世界中に衝撃が走りました。
さらに、北朝鮮に対しても強硬な姿勢を示しています。こちらは、具体的な案件があったわけではないですが、最近も行われているミサイルの発射などをきっかけに、トランプ政権は北朝鮮に対して、強硬姿勢を見せているのです。
まず、朝鮮半島近海に原子力空母、カール・ビンソンを派遣。その上で、中国に対して、中国が具体的な行動に出なければ、単独で北朝鮮を攻撃することも辞さないことを伝えました。
シリアに対して電撃攻撃を行ったことで、トランプ政権の北朝鮮に対する武力攻撃が現実味を帯びてきているため、市場も敏感に反応しています。
北朝鮮に対して、強硬姿勢を見せている米トランプ政権は、朝鮮半島近海に原子力空母、カール・ビンソンを派遣。有事への緊張が高まる (C)U.S. Navy/Getty Images
■北朝鮮有事への懸念から、市場は円買いの反応
かつては、近隣の北朝鮮への有事ということであれば、円安・米ドル高になるところでしたが、最近は、逆の反応をするようになっています。
すなわち、有事になると経常収支黒字国の通貨が買われるという相関です。そのため、円買いという反応になっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
トランプ政権のマティス国防長官やティラーソン国務長官は、かなりの強硬派であることが最近の言動で明らかになっており、シリアへの攻撃に反対したバノン主席戦略官を更迭する動きも出てきています。
この問題は、深刻に捉えておいた方が良いでしょう。
シリアへの攻撃に反対したとされるバノン主席戦略官。更迭の動きもあるとか…。トランプ政権で重要なポストを担ってきたが、これでお役御免となるのかどうか… (C)Bloomberg/Getty Images
■日米経済対話を前に、先制パンチを食らわせた!?
次に、4月12日(水)に、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のインタビューの中で、トランプ米大統領が米ドル相場について発言したことを挙げておきます。内容は、以下のとおりです。
「米ドルは強くなり過ぎていると思う。これはある程度、私のせいでもある。人々が私を信頼しているからだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる。米ドルが強く、他国が自国通貨を切り下げている状況で競争するのは極めて難しい」
この時期に、こうした発言が出てきたのは決して偶然ではありません。
まず、先日、米中首脳会談が行われました。そこでは米中間の貿易不均衡がテーマとなり、これから100日間で、この問題をどう解決するかを検討していくことが合意されました。
トランプ米大統領は、さすがに中国を「為替操作国」に認定することは避けましたが、それでも中国人民元安に対して何らかのくさびを打ちたいという意図があったのでしょう。
加えて、トランプ米大統領は「OTHER NATIONS」と、複数の国が自国通貨の切り下げをしていると批判しています。
当然、日本もその中に含まれていると推察できます。折りしも、4月18日(火)からは、日米経済対話が始まります。その前に、先制パンチを食らわせたということでしょう。
1月20日(金)に大統領に就任して以来…
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