■本邦機関投資家の欧州投資再開に注目
個人的には、ユーロ/円の動向は、メルケル首相のコメントよりも、本邦機関投資家の動向に注目しています。
昨年(2016年)来より、グローバルな金融市場は多くのリスク要因に振り回され、投資先は困難を極めています。
Brexit、米国大統領選、フランス大統領選、そして、東アジアの混乱。
次々とリスクオフ要因が出る中、米国株だけは静かに上昇しています。
(出所:Bloomberg)
他国と比較すると米国は景気回復が一歩進んでおり、本邦投資家も米国への投資比率を引き上げたいところですが、高値圏での推移が続いており手を出せない状態。
そこで、彼らが注目しているのが欧州株。
前述のメルケル首相のコメントにもあるように、期せずして?「安いドイツマルク」である「ユーロ安」を利用して、ドイツは輸出企業を中心に景気が急回復しています。
唯一、懸念だったのはフランス大統領選。
フランス大統領選を控え、本邦機関投資家は欧州への投資をアンダーウエイトにしました。
そして、フランス大統領選を無事に終えたことで、待機していた投資資金はいっせいに欧州に向かいます。
彼らが注目しているのが好調な欧州株ということなのです。
この欧州への資金流出がユーロ/円を下支えするのではないかと想定しています。
■ユーロ/円はどこまで上がるのか?
では、どこまでユーロ円は上がるのでしょうか?
中期でのユーロ/円の動きを確認すると、まず、2016年6月24日(金)のBrexit時に到達した安値となる109.57円をボトムに上昇基調に入っています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 週足)
ユーロ/円は過去4度、75週移動平均線に上値を押さえられていましたが、フランス大統領選後の上昇で、このレジスタンスを上抜けてきました。
(出所:Bloomberg)
まず、これでユーロ/円が上昇トレンドであることを確認します。
では、ユーロ円はどこまで上がるのか?
それは、ユーロ/円の上値のメドをフィボナッチ・リトレースメントで探ります。
起点の高値は2つ選択できます。
まず最初は、2014年12月8日(月)につけたユーロ/円の高値となる149.78円。
これは、米ドル/円がアベノミクスの上昇相場で121円の高値をつけた局面です。
そしてもうひとつは、2015年6月4日(木)高値、141.06円です。
2014年12月高値149.78円と昨年(2016年)6月安値109.57円のフィボナッチ・リトレースメントでは、61.8%=134.42円、38.2%=124.93円で、現在はこの38.2%レベルでもみ合っているのがわかります。
(出所:Bloomberg)
そして、もうひとつの高値である、2015年6月高値141.06円と昨年(2016年)6月安値となる109.57円でフィボナッチ・リトレースメントすると、61.8%=129.03円、38.2%=121.60円となり、38.2%はすでに通過して61.8%に向かう動きの中にあります。
(出所:Bloomberg)
ここでは、149.78円または141.06円から109.57円への大きな下落の動きから戻り高値を計算しましたが、高値計算としてはフィボナッチ・エクスパンションも使うことができます。
昨年(2016年)6月のBrexit時の安値109.57円と、昨年(2016年)12月高値124.10円、そして今年(2017年)4月のフランス大統領選挙を前にした安値114.85円で計算することができます。
フィボナッチ・エクスパンションの計算をすると、最初の目標値(COP)は125.32円で本稿執筆時点はこのレベルで推移。
そして、この先の目標値(OP)は129.38円となります。
(出所:Bloomberg)
チャートをご覧いただくと、先ほどのフィボナッチ・リトレースメントの61.8%(129.03円)と、エクスパンションのOP(129.38円)は全体が40円もの大きな相場の値動きの中で40銭程度しか差がありません。
このため、129円から130円付近はフィボナッチが重なる強い上値抵抗となる可能性が考えられます。
また、この130円付近には200週移動平均線もあり、この点からも、130円前後が上値抵抗となる可能性が考えられます。
当面はこの130円付近が目標となりやすいものの…
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