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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

第二のトランプラリーはもう始まっている!?
ユーロは買うのみ! 円安は追随するのみ!

2017年07月07日(金)16:10公開 (2017年07月07日(金)16:10更新)
陳満咲杜

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■ユーロ/米ドルは中期スパンにおいて上昇トレンドに転換

 もっとも、米ドル/円の値動きが日米金利差と連動する傾向が強いことが見られたように、ユーロ/円の上昇もユーロの長期金利の上昇が背景になっている。

 ユーロ/米ドルは昨年(2016年)11月9日(木)の米大統領選当日につけた高値1.13ドルを上回っているから、中期スパンにおける基調転換がすでに図られたとみるのが無難であろう。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足

 今晩(7月7日)の米雇用統計次第で、マーケットはまた波乱になってくると思うが、情勢が一転した以上、ユーロの押し目があれば、むしろ拾いたいところである。

 換言すれば、米ドル全体の下落トレンドがしばらく継続される公算が高い以上、対極としてのユーロは買いの対象にしかならないから、トレンドフォローの視点では、ユーロの一段高を十分覚悟しておきたい。

■英ポンド/米ドルも上昇へ、英ポンド/円は150円打診も

 同様の見方が、英ポンド/米ドルにも通用するだろう。英与党の敗北でメイ首相の退陣やEU(欧州連合)離脱談判の決裂などを想定していたが、目先、両シナリオはともに崩れている。

 英利上げの可能性は、なお流動的であるものの、カーニー総裁発言の二転三転もあって、目先、市場のコンセンサスは「利上げあり」に傾いている模様だ。

 2017年年内の利上げはなしでも、早晩利上げあり、といった思惑がかなり支配的であれば、英ポンド/米ドルも早晩5月高値をブレイク、また、高値更新をもって一段と切り返しの余地を拡大するだろう。

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足

 英ポンドに関するシナリオの修正は、英ポンド/円で言うなら、昨年(2016年)12月高値148.46円の更新はもはや目標にならず、150円の心理的大台の打診こそが、ターゲットとして浮上してくるだろう。

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足

 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足) 

■「第二のトランプ・ラリー」はもう始まっている!?

 この意味合いにおいて、円安のみでみれば、トレンドの進行が「第二のトランプ・ラリー」になる、またはなっている可能性は高い。

 昨年(2016年)11月9日(木)から2016年年末まで続いた「トランプ・ラリー」は米ドル全面高であり、今回は米ドル安・円安の同時進行なので、見え方はだいぶ変わっているが、リスクオンの本質は変わらないだろう。

 北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射や、今後の6回目の核実験の可能性など、地政学リスクが高まっているものの、マーケットの反応は極めて限定的であった。これはほかならぬ、リスクオフの環境ではないことが示唆されているとみる。

 本当に朝鮮有事が緊迫してくるなら、短期スパンでは円高、長期スパンでは米ドル全面高につながるから、足元の市況と正反対になってくるだろう。

 また、米国株の動向も気になるが、以前も指摘したように、利上げ途上では本格的なリスクオフはなかなか発生しにくいから、米国株式市場の強気基調は当面維持される見通しだ。

【参考記事】
為替相場にトランプ・ラリー再来!?米ドル続伸のサイン点灯、米国株もまだ崩壊しない!(2017年6月16日、陳満咲杜)

 確かにナスダック指数の調整が目立ってきたが、メイントレンドを修正する値動きになるのではなく、スピード調整の範囲に留まるのではないだろうか。NYダウやS&P500の基調から考えると、何らかの特別な材料なしでは当面崩れないとみる。

■ブラックマンデーの再来を連想するのは飛躍しすぎ

 そして、一部の市場関係者が懸念する米独対立といった問題も大げさだと思う。

 確かに気候、貿易などの問題でメルケル独首相とトランプ米大統領の軋轢は多いが、30年前の米独対立がもたらしたブラックマンデーの再来を連想するのは飛躍的すぎるというか、状況がだいぶ違っているから、客観性に欠ける。

 1985年のプラザ合意は米ドル高の是正を目的としたが、その後、米ドル安が止まらなかったので、一転して1987年にルーブル合意を通じて、米ドル安の歯止めを測った。このため、米国はドイツに利下げを要請したが、インフレ対策のため利下げできないとドイツが拒否し、これがブラックマンデーの引き金になった、という経緯が経済学の教科書には載せられている。

 対照的に、トランプ氏の「自国第一主義」はドイツやEUとの関係を悪化させているが、金融政策に対する具体的な要請や介入はなく、また、米ドル安の現状はトランプ米大統領にとって居心地が良いので、何らかの合意を相手に迫る必要もない。パニック相場の引き金は往々にして金利急騰から始まるが、目先、このようなリスク要素は見当たらない。

 だから、「第二のトランプ・ラリー」の本質はリスクオンであり、また円安トレンドの進行自体がそのシンボルとなっている以上、我々は円安の方向に追随するしかあるまい。米ドル/円で言えば、5月高値の更新はもちろん、115円の節目の打診も近々射程圏内に収めよう。市況はいかに。

(12:30執筆)

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