■米ドル/円はジリ高の展開が継続
みなさん、こんにちは。
6月14日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)前後に、108.83円に到達し底値を確認した米ドル/円は、今週(7月3日~)も変わらずジリ高の展開。
【参考記事】
●米ドル/円は半年サイクルでトレンド転換! FOMCきっかけの米ドル高は継続か?(6月22日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
今週(7月3日~)は米ドル/円の上昇にとってネガティブな要因が多数。
(1)東京都議選で自民党が歴史的敗北
(2)7月4日(火)に北朝鮮が弾道ミサイルを発射
(1)の東京都議選での自民党の歴史的敗北は海外でも大きく報道されていました。
ただ、それをリスクオフの要因として、円高要因としたのは、本邦勢のみでした。
欧米のメディアは政治的イベントとしては取り上げましたが、為替に対する影響はローカルイシューとして認識しており、円高要因としては取り上げず…。
(2)の北朝鮮の弾道ミサイルの問題も、一時的には円高となるのですが、過去数カ月の反応と同じで、円高がトレンドとなり得ず。
特に今週(7月3日~)の米ドル/円は、調整での円高局面では機関投資家がまとまった米ドル買い注文を置いているとのウワサもあり下げ渋り。
マーケットのウワサによれば、米ドルを買い遅れている機関投資家は本邦勢とのこと。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
■本邦機関投資家の「米ドル買い遅れ傾向」が顕著に
2017年も早いもので半分を終了。
振り返ってみれば、今年(2017年)前半も多くのリスク要因が話題となりました。
不安定なトランプ政権、フランス大統領選、北朝鮮による弾頭ミサイル発射。
これだけ多くのリスク要因が取り上げられれば、多くの本邦投資家もリスクオフによる「株安・円高」を警戒することになります。
ただ今年(2017年)前半、(豊富な?)リスクオフ要因にも関わらず、懸念されたように円高に向かわないため機関投資家の中でも現場レベルでは、深い押し目を待たず米ドルを買ったほうがいいという意見も目立っていたようです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
ただ、グローバルに事態が悪化して、報道されていたようなリスクオフ、つまり大規模な「株安・円高」が起きるリスクは当然否定できないため、現場レベルも米ドルを積極的に買い進めることに責任を取れません。
そのため、多くの機関投資家は米ドルを買い遅れるという結果となっています。
■大きな押し目も形成せずに上昇した米ドル/円
そして、フランス大統領選が無事終了。
前述の6月FOMCがかなりタカ派なトーンであることを確認した後、彼らは遅れている米ドル買いに出ます。
しかしFOMC後、米ドル/円は急騰するわけではありませんが、大きな押し目も形成せず、7月5日(水)の欧米市場では一時113.69円まで上昇。
6月14日(水)FOMC前後の安値、108.83円からすでに4.86円も上昇しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円は押し目がないまま続伸したため、本邦機関投資家は充分な米ドルを手当できないままの状態が続いています。
そのため、米ドル/円の下落余地はますます限定的となっています。
■米ドル/円は6カ月サイクル継続! 上昇トレンドは不変
テクニカルな要因としては、やはり米ドル/円の6カ月サイクルが効いていると想定しています。
詳細は6月22日(木)のコラムでご紹介しているとおりです。
【参考記事】
●米ドル/円は半年サイクルでトレンド転換! FOMCきっかけの米ドル高は継続か?(6月22日、西原宏一)
(編集部注:以下の箇所は、6月22日(木)に公開した「ヘッジファンドの思惑」からの引用です。ただし、チャートは最新のものに更新して掲載しています)
米ドル/円が99.02円の安値に到達したのが、昨年(2016年)のBrexit(英国のEU離脱)時の6月24日(金)。
その後、FOMCの利上げを織り込む形で米ドル/円が118.66円に到達したのが、昨年(2016年)12月15日(木)。
ちょうど1年前になる昨年(2016年)の6月24日(金)に安値をつけ、6カ月後の12月15日(木)に高値に到達していることになります。
そして今回、FOMCが利上げとバランスシートの縮小を発表したのが6月14日(水)。その直前に108.83円の安値に到達した米ドル/円はその後、急反発しています。

(出所:Bloomberg)
(編集部注:以上の箇所は、6月22日(木)に公開した「ヘッジファンドの思惑」からの引用です。ただし、チャートは最新のものに更新して掲載しています)
このところの米ドル/円は、6カ月サイクルできれいに流れを切り返しており、今回も同様な展開が続くと想定すると、時間的にはまだ5カ月も上昇トレンドが続くことになります。

(出所:Bloomberg)
今年(2017年)前半、米ドル/円は115円レベルで何度も上値を抑えられており、114~115円を超えるには一定の時間を要するのでしょうが、本邦機関投資家の米ドル買い遅れ組も目立つ中、米ドル/円の上昇トレンドは変わらず。
こうした状況から、米ドル/円は短期的に115円、中期的には120円を目指す展開になりそうです。
108.83円で流れを切り返し、続伸する米ドル/円の動向に注目です。
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