■自民惨敗で安倍政権は経済シフトを強めるか
昨日(7月2日)の東京都議選では自民党が惨敗。懸念されるのは国政への影響ですよね。
海外勢のなかにも安倍政権への支持率低下、さらには政権崩壊を懸念する声はありますね。
7月3日(月)早朝には、一時米ドル/円が112円を割る場面もあったようですし、円高が進むのでしょうか?
欧州、ニューヨーク市場の反応次第ですが、米ドル/円が急落するようなことはないと考えています。
新しい四半期に入ったことで実需の買いが出やすく、下がったところは買われやすい。また、中期的な話になりますが、自民党惨敗で安倍政権は経済政策にシフトするだろうとの期待もあります。
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このところ政府・日銀はとくに動いていないのに日経平均は2万円。
何か新たな政策を打ち出せばもう一段の上昇を期待できるのかもしれませんし、それは支持率回復への特効薬となります。
(出所:Bloomberg)
■株価と金利、クロス円はどちらに従うのか
先週(6月26日~)印象的だったのはECB(欧州中央銀行)フォーラム。
ドラギECB総裁やBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])のカーニー総裁、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])のポロズ総裁がこぞって金融緩和解除への意欲を見せ、各国の長期金利が上昇に転じました。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
金利上昇に連れてユーロや英ポンドなどが大きく上昇していることでドイツのDAXやイギリスのFTSEといった株価指数も下落基調が色濃くなってきています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
「テーパータントラム」(緩和解除による市場の混乱)再来との指摘もあり、今回の株価下落は質が違うようです。
気になるのはナスダック総合指数。6100ポイントあたりのネックラインを割ると窓のある5900ポイント近辺までの下落もありそう。
(出所:Bloomberg)
株価が下がった6月29日(木)の夜、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のロングを手仕舞った人は多かったですが、翌日(6月30日)もクロス円は続伸しました。
「株安で米ドル/円、クロス円は下落」というロジックよりも、「金利上昇で米ドル/円、クロス円は上昇」というロジックが優勢だったようです。
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金利上昇は株価に対してネガティブなのですが、株価はまだ大崩れしていないし、株価下落でクロス円が下がったところは買ってよさそうです。
米10年債利回りはというと、チャートを見るときれいに反発しています。
(出所:Bloomberg)
4月のフランス大統領選挙で作った窓の下限と、フィボナッチの38.2%が重なったあたりが底になって上昇していますね。
僕の見ているチャートでも米金利は反発を示していました。米金利が上がれば米ドル/円も続伸するのでしょう。
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■原油相場は反発も40ドル割れ警戒は継続
今週(7月3日~)のイベントは5日(水)深夜にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録、6日(木)にECB議事録、そして7日(金)が米雇用統計ですね。
米雇用統計を境にして相場の流れが変わることもあるので注目したいですね。6月に急落が話題となった原油はどうですか?
【参考記事】
●わずか28銭! ドル/円が本年最小値幅に。動かない相場で注目したい通貨ペアは?(6月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
先週、6月26日(月)の対談で話した「ラマダンのアノマリー」が効いたのか、先週(6月26日~)は反発。原油は46ドル台まで戻しています。
(出所:Bloomberg)
ただ、ショートの巻き戻しと米ドル安要因による上昇のようで、需給的には上がるような材料が見当たりません。
今週(7月3日~)の4日(火)は独立記念日のためアメリカは休日ですが、これ以降が本格的なドライブシーズン。ここで需要が本格化しないと上値を伸ばすのは難しいかもしれませんね。
■欧州はOK、オセアニアはNG
今週(7月3日~)の戦略ですが、米ドル/円とクロス円の押し目買いがいいのかなと思います。
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先週(6月26日~)はクロス円全般が上昇しましたが、金融政策から考えるとオセアニア通貨は利上げ姿勢が明確ではなく、買われる理由がないんですよね。
同感です。ユーロと英ポンドはOKですが、オセアニア通貨は買いたくない。
とくにユーロ/円は週足の雲を上抜けたのが大きい。約1年6カ月の間、雲の下にいただけに抜けてからが強い。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円を中心にユーロ/円、英ポンド/円にも注目です。ただ、米雇用統計後の潮目の変化には気をつけたいですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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