■リスクオフでも調整が続かないと思われるスイスフラン
ただ、リスクオフマーケットになっても、調整が続かないと思われているのが、スイスフラン。
まず、先月(7月)末、東京市場でひさしぶりにスイスフランという通貨が話題になりました。
大手邦銀で、かなりまとまったスイスフラン/円の取引が出た模様で、東京市場でスイスフラン/円が急落したことがマーケットで大きな話題となりました。
【参考記事】
●今週はSQ絡みの「円高・株安」にご用心! ドル/円よりユーロ/円を買うべき理由とは?(8月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
これは、スイスにある東芝傘下の企業、ランディス・ギアの株式売却によるものと思われています。
スイスフラン急落 対ユーロ、2年半ぶり安値
スイスフランが急落している。28日の東京外国為替市場で1ユーロ=1.13スイスフランと約2年半ぶりの安値を付けた。金融引き締めに向かう米欧と比べ、スイスは金融緩和の継続が確実視されている。加えて市場では「東芝が傘下のスイス企業ランディス・ギアの株式を売却すると公表したことが影響している」(欧州銀行)との声が出ている。
東芝は株式の譲渡日を25日としており、スイスフランは26日から急落している。市場では売却金額1617億円がスイスフラン建てで支払われ、東芝が円やドルに替える際にフラン売りが膨らむとの見立てが出ていた。
出所:日経新聞
これにより、スイスフラン/円は急落。この取引が相場的に戻り基調を演じていたユーロ/スイスフランの急騰を誘引します。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:スイスフラン/円 4時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足)
ユーロ/スイスフランは2年前、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が設定した1.2000フランのフロアが決壊して大暴落したことで、マーケットに大きな影響を与えました。
ユーロ/スイスフランを取引している顧客はもちろんのこと、流動性の枯渇により、多くのFX会社も少なからず痛手を受けました。
【参考記事】
●通貨安戦争からスイス脱落、カナダ参戦! ECBのQEが予想どおりならユーロ反発も(2015年1月22日、西原宏一)
それ以降、ユーロ/スイスフランという通貨ペアは、まったく相場として機能しない通貨ペアとなってしまいます。
SNBがフロアーとしていた1.2000フランの死守をあきらめたのは、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和を開始を知ったためといわれています。
ECBが量的緩和を始めれば、ユーロ安が進み、SNBが死守していたユーロ/スイスフランの1.2000フランというフロアをサポートできないからです。
■ユーロ/スイスフランは1.20フランが視野入りか
それから、2年半が経過。
マーケットでは過去2年半、通貨ペアとして機能していなかったユーロ/スイスフランがじわじわと上昇。
この背景は、ECBの緩和解除のウワサ。
2年半前、SNBがユーロ/スイスフランの1.2000フランのフロアをあきらめたのは、ECBの量的緩和の開始でした。
現在のマーケットでは、ECBの緩和解除がマーケットのコンセンサスになりつつあり、それに伴ってユーロ/スイスフランは、2年半前にSNBが設定していた1.2000フランに向けてじわじわと上昇。
一時、1.1538フランまで回復しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 月足)
それが、前述の北朝鮮情勢の悪化をきっかけにしたリスクオフでいったん1.12フラン台まで戻されていますが、ECBの緩和解除へ向けて、ユーロ/スイスフランの上昇基調は変わらず。
某フランス系の銀行は、仮にリスクオフでユーロ/スイスフランが急落すれば、SNBの介入の可能性があることにも言及しています。
北朝鮮情勢の悪化により、ユーロ/スイスフランはいったん調整に入っていますが、ECBの緩和解除に向けて、1.2000フラン回復への上昇基調は変わらず。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 月足)
米ドル/円がレンジに陥っているため、対円でのスイスフランの下落余地も拡大。
1.2000フランに向けて、回復基調に入ったユーロ/スイスフランの動向に注目です。
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