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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

北朝鮮リスクでドル/円下落も急反発警戒!
上昇再開のユーロ/米ドルは新ステージへ

2017年09月11日(月)16:40公開 (2017年09月11日(月)16:40更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■北朝鮮リスクで108円割れ、急反発の可能性も

北朝鮮への警戒感が高まり、先週(9月4日~)の米ドル/円は108円割れ。


ただし、北朝鮮が何らかのアクションを起こすのではと警戒されていた9月9日(土)の北朝鮮建国記念日は何事もなく通過。今週(9月11日~)は窓を開けて始まり、108円台を回復しています。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

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米ドルと逆相関にある金(ゴールド)は節目の1300ドルを抜けて上昇しています。「有事の金買い」と「有事の円買い」が同時に起きている格好。

NY金先物 日足
NY金先物 日足

(出所:Bloomberg)

しかし、こうしたポジションは実際に戦闘が始まったり、紛争が沈静化すると一斉に巻き戻しが始まります。


米ドル/円は108円割れで短期的に下落圧力が高まっているのは事実ですが、一方で何らかの材料で急反発する可能性も頭に入れておく必要があります。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

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9月9日(土)に北朝鮮が動かなかったのは「太陽フレアの影響を避けるため」との意見もありますが、今日、9月11日(月)には安全保障理事会が何らかの決議を行なう予定。

 

決議に反発して北朝鮮が動く可能性もあります。


■米債務上限引き上げの3カ月延長は悪手か

アメリカでは先週(9月4日~)、懸案だった債務上限の引き上げを12月まで3カ月延長することで民主党と合意しました。これにより、税制改革は来年(2018年)にずれ込む可能性が高まっています。


18カ月の延長を目指していたライアン下院議長などは反発しており、トランプは悪手を打ったとする批判もあるようです。


トランプの選択はハリケーン対策の補正予算を優先した結果なので悪手とは思わないですが、税制改革の遅れが「株安・米ドル安」に結びつく可能性があることは事実です。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

米ドルVS世界の通貨 日足
米ドルVS世界の通貨 日足

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北朝鮮リスクによる円高とトランプ政権のつまずきによる米ドル安――2つの同時進行で米ドル/円はもう一段の安値もありそうですね。


108円を明確に割りこむと、次のターゲットは105円あたりでしょうか。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は先週(9月4日~)、「次の利上げをいつすべきか具体的な時期を判断するには早すぎる」と発言。


12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ確率もだいぶ低下してきました。

この状況だと利上げは難しそうですし、税制改革の遅れは、米ドル/円と強く相関している米10年債利回りの低下も促すことになるかもしれません。

米長期金利(10年物国債利回り) 日足
米長期金利(10年物国債利回り)

(出所:Bloomberg)

ただ、ハリケーンに対する復興需要が利上げを促すとする意見もあるんですよね。利上げプロセスにあった2005年8月、ハリケーン「カトリーナ」が襲い、翌月(9月)の利上げが危ぶまれましたが、FOMCはシナリオどおりに利上げを決定しました。


12月の利上げを占う意味では、今週(9月11日~)発表される2つのインフレ指標は市場の注目が集まりそう。


先週(9月4日~)にはダドリーNY連銀総裁、ブレイナードFRB理事が相次いでインフレ指標の弱さについて言及したばかりですし、13日(水)の米PPI(生産者物価指数)と14日(木)の米CPI(消費者物価指数)には注意ですね。

■テーパリングへと慎重に進むユーロ

米ドル/円は短期的には下方向の力が強まっていますが、いつ「バイ・ザ・ファクト」的な急反発があるかわからない


方向性が明確になっているのはユーロです。

先週、9月7日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会では、ドラギ総裁がQE(量的緩和策)に関して「決定の大半は10月に下す」と発言し、ユーロ高が再開しています。

ECB理事会後の記者会見でドラギ総裁は「(QEに対する)決定の大半は10月に下す」と発言 (C)Bloomberg/Getty Images

ECB理事会後の記者会見でドラギ総裁はQEに関して、「決定の大半は10月に下す」と発言 (C)Bloomberg/Getty Images

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足

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ECBはアメリカのテーパリング(※)を参考にしているようで、かなり慎重に進めている印象。ファンドマネジャーとミーティングしても、ユーロ建ての資産はまだ増やしていくようです。


テーパリングはまだ充分に織り込まれているとはいえず、ユーロ/米ドルは1.25ドル方向へ向かっていくのでしょう。


(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

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ECBとは対照的に急速に動いたのがBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])


織り込みが不充分だったのですが先週、9月6日(水)に利上げを断行し、加ドル高が進みました

加ドル/円 4時間足
加ドル/円 4時間足

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■ユーロ/米ドルの上昇は新たなステージへ

ユーロ/米ドルは1.20ドル台に定着するようだと、新たな上昇ステージに入ったと見てよさそうですね。

ユーロ/米ドルは押し目買いでいいでしょう。ユーロ/円についても、足もとでは北朝鮮リスクによる円高で上値は重いですが、底固くもある。


北朝鮮リスクが解消するか、市場の反応が薄れてくるようだと、上がり始めるのでしょう。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足

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9月14日(木)にはイギリス、スイスで中央銀行の会合がありますよね。

ともに政策金利は据え置きの予想ですし、今週(9月11日~)はユーロ/米ドルの押し目買いでいいのかなと思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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