■北朝鮮リスクで108円割れ、急反発の可能性も
北朝鮮への警戒感が高まり、先週(9月4日~)の米ドル/円は108円割れ。
ただし、北朝鮮が何らかのアクションを起こすのではと警戒されていた9月9日(土)の北朝鮮建国記念日は何事もなく通過。今週(9月11日~)は窓を開けて始まり、108円台を回復しています。

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米ドルと逆相関にある金(ゴールド)は節目の1300ドルを抜けて上昇しています。「有事の金買い」と「有事の円買い」が同時に起きている格好。

(出所:Bloomberg)
しかし、こうしたポジションは実際に戦闘が始まったり、紛争が沈静化すると一斉に巻き戻しが始まります。
米ドル/円は108円割れで短期的に下落圧力が高まっているのは事実ですが、一方で何らかの材料で急反発する可能性も頭に入れておく必要があります。

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9月9日(土)に北朝鮮が動かなかったのは「太陽フレアの影響を避けるため」との意見もありますが、今日、9月11日(月)には安全保障理事会が何らかの決議を行なう予定。
決議に反発して北朝鮮が動く可能性もあります。
■米債務上限引き上げの3カ月延長は悪手か
アメリカでは先週(9月4日~)、懸案だった債務上限の引き上げを12月まで3カ月延長することで民主党と合意しました。これにより、税制改革は来年(2018年)にずれ込む可能性が高まっています。
18カ月の延長を目指していたライアン下院議長などは反発しており、トランプは悪手を打ったとする批判もあるようです。
トランプの選択はハリケーン対策の補正予算を優先した結果なので悪手とは思わないですが、税制改革の遅れが「株安・米ドル安」に結びつく可能性があることは事実です。

(出所:Bloomberg)

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北朝鮮リスクによる円高とトランプ政権のつまずきによる米ドル安――2つの同時進行で米ドル/円はもう一段の安値もありそうですね。
108円を明確に割りこむと、次のターゲットは105円あたりでしょうか。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は先週(9月4日~)、「次の利上げをいつすべきか具体的な時期を判断するには早すぎる」と発言。
12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ確率もだいぶ低下してきました。
この状況だと利上げは難しそうですし、税制改革の遅れは、米ドル/円と強く相関している米10年債利回りの低下も促すことになるかもしれません。

(出所:Bloomberg)
ただ、ハリケーンに対する復興需要が利上げを促すとする意見もあるんですよね。利上げプロセスにあった2005年8月、ハリケーン「カトリーナ」が襲い、翌月(9月)の利上げが危ぶまれましたが、FOMCはシナリオどおりに利上げを決定しました。
12月の利上げを占う意味では、今週(9月11日~)発表される2つのインフレ指標は市場の注目が集まりそう。
先週(9月4日~)にはダドリーNY連銀総裁、ブレイナードFRB理事が相次いでインフレ指標の弱さについて言及したばかりですし、13日(水)の米PPI(生産者物価指数)と14日(木)の米CPI(消費者物価指数)には注意ですね。
(次ページでは注目材料と、ECBのテーパリングとユーロの話題が…)
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