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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

北朝鮮にハリケーンなど、トランプ政権は
難題山積! 米ドル逆襲のカギを握るのは?

2017年09月04日(月)17:40公開 (2017年09月04日(月)17:40更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■北朝鮮、債務上限、ハリケーン――難題山積のトランプ

今週(9月4日~)最大のイベントはECB(欧州中央銀行)理事会ですが、その前に世界を驚かせたのが北朝鮮。


9月3日(日)に核実験の成功を発表し、週明け、4日(月)は円高方向に70銭ほどの窓を開けて始まりました。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(出所:Bloomberg)

核実験はこれで6回目。今回はICBM(大陸間弾道ミサイル)用の水爆とのことで「とうとうここまで来てしまった」という感じですね。

オバマ政権が「戦略的忍耐」(Strategic Patience)といって放置してきた結果を今、トランプさんが清算を迫られている構図ですね。


ところが、米国内では債務上限の問題があり、ハリケーン「ハービー」の被害も深刻。被害額は11兆円とも言われています。

ハービーの被害がこれだけ深刻だと、「米債務上限なんて議論している場合じゃない」となりますよね。


ムニューシン米財務長官も「大統領と私はこれ(債務上限引き上げ)とハービーの救済資金とを結び付けるべきだと考える」と発言しています。


トランプ政権からすれば課題を一気に片付ける機会となるのかもしれませんね。


■ゴールドは1300ドルを上抜けるも底堅い米ドル/円

ハービーの原油相場への影響はどうですか?

ハービーの被害で多くの製油所が停止し、米国内の原油精製能力の24%が操業停止に陥ったとの報道も伝わっていて、ガソリン価格は上昇しました。


ところが精製が止まると原油は在庫余剰となるため値下がりしています。

NY原油先物 日足
NY原油先物 日足

(出所:Bloomberg)

急騰したのはパラジウム。ハービーの被害を伝える映像として自動車が冠水している様子が報じられており、廃車となる被害も甚大。


ガソリン自動車の買い替え需要が増せば、排ガスの触媒として使用されるパラジウム需要が増加するとの思惑と思われます。

パラジウム価格 日足
パラジウム価格 日足

(出所:Bloomberg)

金(ゴールド)はレンジ上限の1300ドルを明確に上抜けてきましたね。

金と米ドルの逆相関の関係から考えると、1300ドルを上抜けたときには1ドル=108円を割れているイメージだったのですが先週(8月28日~)の終値は110円台。


今までの関係が崩れていますね。

NY金先物&米ドル/円 日足
NY金先物&米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円の108円は相当固いようです。短期筋の売りで先週(8月28日~)も108円台へ突っ込みましたが、日本の生保、年金からの買いが強く、売り手は諦めざるを得なかった。


あまりの強い買いに「当局が介入しているのでは」と推測するディーラーもいたほどです。


今年(2017年)は8カ月間、米ドル/円は下がるだけ、ユーロ/米ドルは上がるだけの相場が続いています。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:Bloomberg)

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(出所:Bloomberg)

しかし、前回円高の極となった昨年(2016年)8月16日(火)から1年、トランプラリーによる上昇と、今年(2017年)の円高で1年サイクルが一巡した感もあります。反転も近いのではないでしょうか。

【参考記事】
円高終焉…。ドル/円は上昇トレンド回帰か。ユーロ/円130円台半ば突破の意味とは…!?(8月31日、西原宏一)

先週末、9月1日(金)の米雇用統計も予想より悪い数字で瞬間、米ドルは売られたものの、すぐに買い戻され、悪い数字だったのに米ドル高となって引けました。


今年(2017年)は、ずっと米ドルが売られていましたが、「米ドルの逆襲」が始まるのかもしれないですね。

米ドルVS世界の通貨 週足
米ドルVS世界の通貨 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足

■ECB理事会のポイントはテーパリングとユーロ高牽制

米ドルの逆襲が始まるかどうかにも関係してくる、今週(9月4日~)最大のイベントが7日(木)のECB理事会。それまでユーロ/米ドルは高値保ち合いでしょう。

テーパリング(※)への期待が高まる一方、ユーロ高に対する牽制発言を警戒する声も増えてきましたよね。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

ユーロ高が加速したのは6月末、ドラギECB総裁がポルトガル・シントラで行なった講演による「シントラショック」が着火剤でした。

【参考記事】
ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

これ以降、ドイツの金利が急上昇し、ユーロ高も加速しました。あまりのスピードでしたから、ドラギさんが気にしていないわけがない。


テーパリングを控えているわけですから、ユーロを押し下げる意図はないにしても、スピードを調整したいとの思いは強いはず。


9月7日(木)までは高値圏での保ち合い、ECB理事会次第では深めの押しに警戒したいですね。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

ユーロ/米ドルのチャートを見るとトップアウトして下に行きそうですが、ドラギさんはサプライズ発言の多い人。

 

あまりバイアスをかけすぎず、9月7日(木)を待ちたいですね。


■豪ドル、加ドルでも政策金利の発表

9月5日(火)にはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策金利発表も控えています。

利上げの織り込み度はゼロ。政策変更はないのでしょう。


9月6日(水)にはBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])も政策金利を発表します。


BOCは今年(2017年)、約7年ぶりの利上げに踏み切って、今回も利上げ期待が高いのですが、織り込み度は57%。この程度の織り込みだと、利上げした場合は加ドル買いの反応がありそう

米ドル/加ドル 4時間足
米ドル/加ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/加ドル 4時間足

もし今回利上げを見送ったとしても年内利上げへの期待が持続し、加ドルが押したところは拾われそうですね。

イベントの多い週(9月4日~)ですが、週初の方針としては米ドル/円の押し目買い

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:Bloomberg)

108円の節目が明確ですから、そこにストップを置き、ヘッドラインなどで下げたところは買っていいのかなと思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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