■北朝鮮、債務上限、ハリケーン――難題山積のトランプ
今週(9月4日~)最大のイベントはECB(欧州中央銀行)理事会ですが、その前に世界を驚かせたのが北朝鮮。
9月3日(日)に核実験の成功を発表し、週明け、4日(月)は円高方向に70銭ほどの窓を開けて始まりました。

(出所:Bloomberg)
核実験はこれで6回目。今回はICBM(大陸間弾道ミサイル)用の水爆とのことで「とうとうここまで来てしまった」という感じですね。
オバマ政権が「戦略的忍耐」(Strategic Patience)といって放置してきた結果を今、トランプさんが清算を迫られている構図ですね。
ところが、米国内では債務上限の問題があり、ハリケーン「ハービー」の被害も深刻。被害額は11兆円とも言われています。
ハービーの被害がこれだけ深刻だと、「米債務上限なんて議論している場合じゃない」となりますよね。
ムニューシン米財務長官も「大統領と私はこれ(債務上限引き上げ)とハービーの救済資金とを結び付けるべきだと考える」と発言しています。
トランプ政権からすれば課題を一気に片付ける機会となるのかもしれませんね。
■ゴールドは1300ドルを上抜けるも底堅い米ドル/円
ハービーの原油相場への影響はどうですか?
ハービーの被害で多くの製油所が停止し、米国内の原油精製能力の24%が操業停止に陥ったとの報道も伝わっていて、ガソリン価格は上昇しました。
ところが精製が止まると原油は在庫余剰となるため値下がりしています。

(出所:Bloomberg)
急騰したのはパラジウム。ハービーの被害を伝える映像として自動車が冠水している様子が報じられており、廃車となる被害も甚大。
ガソリン自動車の買い替え需要が増せば、排ガスの触媒として使用されるパラジウム需要が増加するとの思惑と思われます。

(出所:Bloomberg)
金(ゴールド)はレンジ上限の1300ドルを明確に上抜けてきましたね。
金と米ドルの逆相関の関係から考えると、1300ドルを上抜けたときには1ドル=108円を割れているイメージだったのですが先週(8月28日~)の終値は110円台。
今までの関係が崩れていますね。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円の108円は相当固いようです。短期筋の売りで先週(8月28日~)も108円台へ突っ込みましたが、日本の生保、年金からの買いが強く、売り手は諦めざるを得なかった。
あまりの強い買いに「当局が介入しているのでは」と推測するディーラーもいたほどです。
今年(2017年)は8カ月間、米ドル/円は下がるだけ、ユーロ/米ドルは上がるだけの相場が続いています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
しかし、前回円高の極となった昨年(2016年)8月16日(火)から1年、トランプラリーによる上昇と、今年(2017年)の円高で1年サイクルが一巡した感もあります。反転も近いのではないでしょうか。
【参考記事】
●円高終焉…。ドル/円は上昇トレンド回帰か。ユーロ/円130円台半ば突破の意味とは…!?(8月31日、西原宏一)
先週末、9月1日(金)の米雇用統計も予想より悪い数字で瞬間、米ドルは売られたものの、すぐに買い戻され、悪い数字だったのに米ドル高となって引けました。
今年(2017年)は、ずっと米ドルが売られていましたが、「米ドルの逆襲」が始まるのかもしれないですね。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
(次ページでは注目材料と、ECB理事会と米ドル/円相場の話題が…)
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