■タカ派のFOMCで米ドル/円は112円台半ばへ上昇
みなさん、こんにちは。
9月8日(金)に一時的に108円割れを示現した米ドル/円ですが、「ベアトラップ」(※1) そして「アイランドリバーサル」(※2)となり、急反発しました。
(※編集部注1:「ベアトラップ」とは、安値を更新して下落トレンド継続になると思われたのに、それが反転上昇すること)
(※編集部注2:「アイランドリバーサル」とは、窓を開けた後に相場が反転し、再び窓を開けて元の水準へ戻った際に形成される「離れ小島」の様な形のこと)
【参考記事】
●ドル/円下げ止まりを示唆するサインとは? ユーロ/円は中期的に140円を目指す動きに(9月14日、西原宏一)
本稿執筆時点で、米ドル/円は112円台ミドルで推移。
日本時間9月21日(木)未明に結果が公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)がタカ派な結果に終わり、米国債利回りが上昇。

(出所:Bloomberg)
呼応して米ドル/円は、重要なレジスタンスであった200日移動平均線が位置している112.20円を上抜けて堅調に推移しました。

(出所:Bloomberg)
ただ、今年(2017年)の米ドル/円を振り返ってみれば、1月3日(火)の118.60円を高値に急落。
【参考記事】
●円高終焉…。ドル/円は上昇トレンド回帰か。ユーロ/円130円台半ば突破の意味とは…!?(8月31日、西原宏一)
その後、何度もトライするのですが、115円を抜けない状態が続いており、200日移動平均線を超え大きく上放れするにはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇が不可欠。
■円高終焉でユーロ/円は一時134円台へ急伸
前回のコラムで取り上げたユーロ/円は、200週移動平均線を2カ月かけて超えたことから上放れしており、一時134円台に急伸。
【参考記事】
●ドル/円下げ止まりを示唆するサインとは? ユーロ/円は中期的に140円を目指す動きに(9月14日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
ただ、先週(9月11日~)後半からユーロ/米ドル自体は1.2000ドル台を攻めあぐねている状態です。その要因は、ユーロ/英ポンドの急落にあります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
■英ポンド/円は節目の148円をブレイクし、上値余地が急拡大
今月(9月)初旬から、じわじわと値を下げていたユーロ/英ポンドですが、先週(9月11日~)後半に0.9000ポンドを割り込んで急落。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 4時間足)
きっかけになったのが、9月14日(木)のBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の金融政策委員会がタカ派だったこと。
声明文で「今後数カ月で金融緩和の巻き戻しが適切になると判断している」と言明したことから、ユーロ/英ポンドは急落しました。
【参考記事】
●10月解散総選挙とトランプ来日で円安へ!? 英ポンド急騰! でもまだ上昇余地あり?(9月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
このユーロ/英ポンドの急落が、ユーロ/円の上昇を緩和。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
逆に、英ポンド/円が急騰しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)
以下は、英ポンド/円の週足チャートです。

(出所:Bloomberg)
英ポンド/円は148円台ミドル(148.46円=2016年12月15日高値)が重要なレジスタンスだったのですが、それが決壊すると、あっさり150円台を回復。一時152.18円まで急騰しています。
加えて注目すべきは、週足・一目均衡表の雲の位置。
今年(2017年)の春先から英ポンド/円は、クローズベースでは週足の雲の中におさえこまれていました。
ところが、先週(9月11日~)の急騰で、雲の上限をクリアに突破したことから上値余地が大幅に拡大。
ハードBrexit(英国のEU離脱)懸念を背景に、マーケットには、まだ英ポンドショートが多数残存していると見られており、英ポンド/円は160円に向けて続伸中。

(出所:Bloomberg)
■英ポンド/円の動向が米ドル/円続伸のカギを握る…
このコラムで何度かご紹介させていただいたとおり、2015年から2016年にかけてBrexitという歴史的イベントを材料に、英ポンド/円は195円から121円と約75円大暴落。
この影響は米ドル/円にも大きな影響を与え、125円から99円まで急落しています。
【参考記事】
●EU離脱ショックで英ポンド暴落! 米7月利下げ観測も浮上! ドル/円、次は95円へ(2016年6月24日、西原宏一)
●英中銀が利下げ予告!英不動産ファンドの解約増でポンド/円は120円への下落過程(2016年7月7日、西原宏一)
今回148円をブレイクした英ポンド/円が160円に向けて上昇を続けるとすれば、108円でボトムアウトした米ドル/円の上昇を押し上げる要因になる公算は大きい。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
重要なレジスタンスである148円を上抜けて続伸する英ポンド/円と、108円でボトムアウトした米ドル/円の行方に注目です。
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