■今年の為替相場を振り返ると…
みなさん、こんにちは。
今年(2017年)の相場を振り返ってみると、年初から対円、対ユーロでは、米ドルがほぼ一方的に下落した相場となります。
まず、米ドル/円。
1月3日(火)に118.60円を高値に反落しました。
そして、前回のコラムでご紹介させていただいたように、3月からは狭いレンジでの往来相場に終始。
【参考記事】
●衝撃のバノン解任。ヒンデンブルグ・オーメン点灯で米株急落、ドル/円は108円下抜けも!?(8月24日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■北朝鮮ミサイル発射でも、ドル/円は108円割れず反発
北朝鮮情勢は依然不透明。
9月5日(火)から米国議会が再開。
米国の債務上限問題などで、トランプ政権の政策遂行能力の有無が試されるような状況が多く、9月に向けてリスクオフの材料が満載です。
結果、米ドル/円は重要な節目である108.00円を下回る可能性が高いと想定していました。
それが今週(8月28日~)、マーケットの耐性を試す報道がマーケットに流れてリスクオフに。
このところ、大きな動きがなかった北朝鮮がミサイルを発射し、日本上空を通過しました。
マーケットは即座に反応し、米ドル/円は一時108.27円、ユーロ円は130円割れまで急落します。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
ただ、その局面では、生保を中心とした本邦機関投資家の米ドル買いが断続的にマーケットに大量に持ち込まれ、結果として米ドル/円は、108.00円を割り込めず反発。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
北朝鮮の報道は「ヘッドラインリスク」に近いため、個人的にはそのリスクオフ局面では、米ドル/円のショートを買い戻していましたが、戻りは限定的だと想定していました。
ところが、本稿執筆時点では、110円台ミドルまで反発しています。
■9月から円安相場回帰の公算高まる?
この報道には、2つの重要な意味があります。
まず、リスクオフ局面での円高相場を待っている相場参加者が依然として多数いることを意味します。
もう1つは、テクニカルな観点から。
以下は、米ドル/円の日足チャートです。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は昨年(2016年)8月16日(火)に99.54円という安値に到達しています。
正確には、6月のBrexit(英国のEU離脱)時の99.02円ですが、これは特殊要因での円高ですので、サイクル的にはカウントしません。
その後、118円台まで高騰したあと、約1年でもう一度安値に到達して、反発しています。
これは、1年サイクルでの安値到達というタイミングでもあり、サイクル的には9月から円安相場回帰の公算を高めます。
■ユーロ/円は200週移動平均線の上抜けがカギに
米ドル/円での米ドル反発の可能性は、他通貨からもみてとれます。
まず、ユーロ/米ドル。
今年(2017年)のユーロ/米ドルも、米ドル/円と同じサイクルで動いています。
1月3日(火)の1.0341ドルの安値から続伸。
8月29日(火)には、一時1.2070ドルの高値に到達しています。

(出所:Bloomberg)
ただ、それ以後は米ドル/円同様、米ドル高で推移しており、調整に入っています。
この2通貨に加え、重要なのはユーロ/円の動き。以下は、ユーロ/円の週足チャートです。

(出所:Bloomberg)
このコラムで以前からご紹介してるとおり、ユーロ/円は週足・一目均衡表の雲の上限を上抜けたことが非常に重要な意味を持ち、それ以降、このコラムでは、ずっとユーロ/円に関しては強気な見立てでした。
【参考記事】
●メルケル発言よりも本邦勢の欧州投資がユーロに追い風! 130円突破なら135円へ(5月25日、西原宏一)
●ユーロの調整は数日で終了し、反発! ユーロ/円は126円乗せで130円が視野に(6月1日、西原宏一)
その流れを止めたのが、200週移動平均線でした。
ユーロ/円は、200週移動平均線が位置する130.50円レベルをどうしても上抜くことができず、約7週に渡って上値を抑えてきました。
ただ、今週(8月27日~)、北朝鮮の報道をきっかけに、この重要ポイントを上抜けてきました。

(出所:Bloomberg)
これは週足ベースであるため、本稿執筆時点では、まだ終値ベースで130.50円ブレイクを確認できませんが、現時点では重要な200週移動平均線を上抜けて、続伸する公算が高くなっています。
■ユーロ/円が上昇するには米ドル/円の続伸が不可欠
ここで問題なのは、9月に入ると、ユーロに関するイベントも多いこと。
まず、9月7日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会。
仮に、ユーロ/米ドルが調整に入るとしても、9月7日(木)のECB理事会前までは大きく調整することは考えにくい状態。
結果、ユーロ/米ドルが調整に入るとしても小幅であるとすれば、ユーロ/円が上昇するためには、米ドル/円が続伸する必要があります。

(出所:Bloomberg)
9月5日(火)から米国議会も再開し、米国の債務上限問題が深刻化している状況では、リスクオフというシナリオを描きやすいのですが、前述のテクニカル分析の視点から考えれば、9月から米ドル/円は円安相場に回帰する公算が濃厚。
200週移動平均線をブレイクしたユーロ/円の動向と、9月から円安に回帰するかどうかに注目が集まる米ドル/円の動向に注目です。
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