■ドイツ選挙では反移民の極右政党が躍進
週末はドイツとニュージーランドで総選挙が行なわれましたね。
ドイツではメルケル首相率いる与党が第一党を維持したものの、反移民を掲げる極右政党が第三党に躍進。連立交渉の難航も予想されます。
おもしろいのはメディアの報道。この結果を受けた為替市場の動きについて、日本では「ユーロ高」と報じられる一報、欧米では「ユーロ安」と伝えています。
同じ市場を見ているのになぜ違うのかといえば、日本のメディアは対円、欧米メディアは対米ドルや対英ポンドで見ているため。
(出所:Bloomberg)
昨年(2016年)のトランプ当選前後もそうでしたが、こうした報道のギャップには気をつける必要があります。
ニュージーランドでも与党が第一党を確保したものの、ポピュリスト政党の「ニュージーランド・ファースト」が第三党に。
こちらも連立協議が始まる見通しで、週明け、9月25日(月)のNZドルはやや売られて始まりました。
(出所:Bloomberg)
NZドルはチャートも形が悪いんですよね。対米ドルで見ると日足・一目均衡表の雲に上値を抑えられ、長い上ヒゲもつけています。今週(9月25日~)は弱いのかもしれませんね。
(出所:Bloomberg)
ニュージーランドでは今週、9月28日(木)、政策金利の発表がありますが現状維持の見通しです。
また、その2日前にはRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のウィーラー総裁が退任、副総裁のスペンサーが来年(2018年)3月まで総裁代行を務めることになります。
■選挙相場と北朝鮮リスクの綱引きに
今週(9月25日~)の焦点は日本の選挙、北朝鮮リスク、それにトランプの政権運営の3つですよね。
日本では本日(9月25日)、安倍首相が記者会見を開催、解散を表明する予定です。
「2兆円規模の新たな経済対策を年内に策定するよう、関係閣僚に支持」との記事も出ています。
(※編集部注:9月25日(月)午後、安倍首相は9月28日(木)に召集される臨時国会の冒頭で衆院を解散する意向を表明しました)
2兆円規模となると株式市場には好材料ですよね。
自民党有利な情勢が動かないなか、小池新党が出てきたことが自民党に危機感をもたらし、いい刺激となっているようです。
(出所:Bloomberg)
当面は北朝鮮の核問題によるリスクオフと選挙相場の綱引きになりそうですね。
北朝鮮を引き金にしたリスクオフで米ドル/円が下げたところは、いずれも買い場となっています。
【参考記事】
●10月解散総選挙とトランプ来日で円安へ!? 英ポンド急騰! でもまだ上昇余地あり?(9月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
●北朝鮮リスクでドル/円下落も急反発警戒!上昇再開のユーロ/米ドルは新ステージへ(9月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
僕もそうだったように、週超えのリスクを回避するため、週末にいったん手仕舞って、週明けに買い戻す動きも目立ち、本日も円安気味。
選挙へ向けて、リスクオフで1、2円下げる場面がありながらも円安・株高へ向かうのではと考えています。
■英ポンド高と円安で、英ポンド/円に妙味
少し気になるのは、北朝鮮リスクが後退してきていること。
日本の選挙、アメリカの税制改革案がポジティブに働けば売り方の踏み上げで大きな上昇となる可能性もあるように感じますが、怖いのはその後。北朝鮮の核問題は何ら解決に至ったわけではありません。
日本の選挙に向けて総楽観に傾くような上昇があれば油断は禁物ですね。今すぐというわけではありませんが、北朝鮮に対し、アメリカが行動を起こせばマーケットの動揺は避けられないと思います。本邦機関投資家の動きはどうですか?
米朝間の緊張が続いているため充分に買えていないのかなとも感じますし、円高に備えてかけていたヘッジを外す動きも出てきているようです。
政府の経済対策や機関投資家のヘッジ外しもあって、今回の円安では1ドル=114円を抜けてくる可能性も見えてきました。
(出所:Bloomberg)
アメリカでは、今週(9月25日~)中に税制改革案が発表される見通しです。
進展するようだと、リスクオンで米ドル/円の上昇材料となるのでは。
今週(9月25日~)の戦略としては、利上げ期待の高まる英ポンドは買い目線継続。
気になるのはユーロです。連立協議の難航が短期的なゲームチェンジャーとなる可能性があることに加え、ECB(欧州中央銀行)のユーロ高牽制発言は、対英ポンドでのユーロ高を牽制する意味もあり、対英ポンドでのユーロの調整は続行すると思われます。
【参考記事】
●10月解散総選挙とトランプ来日で円安へ!? 英ポンド急騰! でもまだ上昇余地あり?(9月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
●円高終焉でドル/円急反発! 続伸のカギを握るのは160円に向けて上昇するポンド/円(9月25日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
そのため、ユーロ/英ポンドのショートも継続。米ドル/円が底堅いためユーロ/円も底堅い動きをすると思われ、ロング目線ですが、ユーロ/英ポンドのショートを合わせると、英ポンド/円の買いが、もっとも上値余地があると考えています。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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