■カタルーニャ住民投票の影響は
今朝(10月2日)の為替市場はユーロが下窓を開けて始まりました。
スペインからの独立を問うカタルーニャ州の住民投票の影響でしょうか。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 30分足)
そうでしょうね。EU(欧州連合)にとっていい話ではないのでユーロの調整材料となりますが、ロンドン勢のリアルマネーが入る時間からの動きを確認したい。
先週(9月25日~)、極右政党「AfD(ドイツのための選択肢)」が第3党へ躍進したドイツ総選挙明けの9月25日(月)もユーロは下窓でスタートしました。
その後、東京時間ではユーロが買い戻されたものの、ロンドン時間以降で下落が本格化しましたから。
【参考記事】
●本邦解散総選挙と北朝鮮情勢の綱引き!? 英ポンド/円買いに妙味がある理由とは?(9月25日、西原宏一&大橋ひろこ)
スペインの中央政府は住民投票そのものを憲法違反で無効だとしており、対立が深まっています。影響が心配ですね。
ユーロ/米ドルのチャートを見ると、1.20ドルで短期的にトップアウトした可能性がありそう。
(出所:Bloomberg)
9月時点で、すでにオシレーターはオーバーボート(買われ過ぎ)を示していましたが思ったほど下がらなかった。
ドイツ総選挙をきっかけにして、先週(9月25日~)から反落が始まったように見えますね。
■ドルインデックスの底入れを米雇用統計で確認
ドルインデックスも9月に底入れしたようなチャートとなっています。
今週(10月2日~)はドルインデックスが反転し、米ドル高へと向かうのかどうか、見極める週ですね。
(出所:Bloomberg)
その意味で大切なのが、10月6日(金)の米雇用統計。アメリカの経済指標を見ていると、8月から9月にかけて襲ったハリケーンの影響が出始めています。
9月分のNFP(非農業部門雇用者数)も、予想が8万人程度の増加と控え目。
悪い数字が出てもFRB(米連邦準備制度理事会)関係者は、「ハリケーンの影響による一時的な悪化」として深刻視しないと思います。
ADP雇用指数や雇用統計の数字を受けて米ドルが売られる場面があれば拾いたいですね。
(出所:Bloomberg)
同感です。今週から10月。日本は下期に、アメリカも新たな四半期に入りますし、10月になると相場つきがコロッと変わることがあります。
リーマンショックがあったせいで「秋は暴落」のイメージもありますが、2014年は黒田バズーカ2、昨年(2016年)はトランプラリーとこの数年に限れば、むしろ「秋は株高・円安」。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
今年(2017年)の米ドルは対円で118円、対ユーロで1.03ドルからずっと売られてきましたが、107円と1.20ドルが「陰の極」となり、年末に向けて米ドル高が進む、というのが基本的なイメージですね。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
そのなかで違う動きをしている通貨が、金利正常化へ向けて動き始めた英ポンドです。
■IMMでは英ポンドが2015年以来の買い越しに転換
IMM(国際通貨先物市場)では、英ポンドが買い越しに転じました。
2015年11月以来の買い越しです。ショートカバーは一巡したのでしょうが、英ポンドの上昇トレンドが始まるならここからロングが積み上がっていくことになります。
【参考記事】
●円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目(9月28日、西原宏一)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
竹内さんがツイートしてくれたように、イギリスではリーマンショック前を上回る水準まで住宅価格が上昇しています。過熱感を抑えるためにも利上げしたいところでしょう。
(出所:Bloomberg)
日本の総選挙に向けた動きも気になりますね。
アノマリー的には「選挙は買い」ですが、小池氏率いる希望の党が台風の目となっており、世論調査などで自民党の劣勢が伝えられるようなことがあれば、円買い材料となるリスクもあるでしょうか。
その可能性もあるでしょうね。大筋として自民党の勝利は動かないのではと思いますが、ヘッドラインには目を配っておきたいですね。
オーストラリアでは10月3日(火)に政策金利が発表されます。
今回の利上げ織り込みはゼロ%。12月でやっと8%ですから、利上げするとしても来年(2018年)でしょう。
■裏切られてきた「This time is different」
商品(コモディティ)も確認しておくと、金(ゴールド)は9月上旬にトップアウトして、数カ月単位で考えると下方向。
ただ、ゴールドETF市場では8月から継続的に資金流入が続いています。ETFという形で機関投資家らがポートフォリオに金を組み込む流れが続いているということは、有事への警戒や高くて買えない米国株のヘッジニーズが強いのでしょう。
短期的には天井をつけたとしても、1000ドルを割るようなことはなく中長期的には底固いのではと思います。
(出所:Bloomberg)
今年(2017年)何度も繰り返されたリスクオフで、金や米ドル/円は、少し歪んでいるように感じます。
日本の上空をミサイルが通過し、水爆実験が行なわれ、宣戦布告だと言われ、「This time is different」、つまり「今回ばかりは深刻だ、暴落だ」と警戒してもリスクオフで下げたところはすべて拾われてきた。米長期金利も2%を割らず、トランプの政策も歩みは遅いものの少しずつ進んでいます。
そう考えると、米ドル/円は、やはり上がってもいいのかなと思います。
西原さんは今週(10月2日~)の戦略をどう考えますか?
米ドル安の反転が確認されれば、米ドル/円は上値余地があるでしょうし、米ドルが買われてユーロが反落するのなら金利正常化へ向かうユーロ/英ポンドは下がりやすい。
【参考記事】
●円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目(9月28日、西原宏一)
今週(10月2日~)は、米ドル/円の押し目買い、あるいはユーロ/英ポンドの戻り売りでいいのではないでしょうか。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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