■米ドル買い遅れ組多数で、米ドル/円の下値は限定的
みなさん、こんにちは。
米ドル/円に関しては、このコラムでのスタンスは変わらず、「米ドル高・円安」トレンド継続との見方。
【参考記事】
●円高終焉でドル/円急反発! 続伸のカギを握るのは160円に向けて上昇するポンド/円(9月21日、西原宏一)
●ドル/円下げ止まりを示唆するサインとは? ユーロ/円は中期的に140円を目指す動きに(9月14日、西原宏一)
リスク資産は、依然として北朝鮮からの軍事的な報道には敏感に反応します。
先週、9月22日(金)も、「北朝鮮の対抗処置として、太平洋での水爆実験の可能性」との報道で「株安・円高」へ。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は、一時111.65円に下落。

(出所:Bloomberg)
しかし、「北朝鮮の建国記念日」というビッグイベントを直前に控えた9月8日(金)でさえ、米ドル/円の安値は107.32円止まりでした。
その後も、北朝鮮からの軍事的な緊張感を高める報道が幾度となく流れるのですが、円高に傾くのは一時的。
本邦機関投資家を筆頭に米ドルを買い遅れている投資家が、まだ多数残存しているとみられ、米ドル/円の下落は限定的となっています。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は過去数カ月、108円~115円のレンジで推移。
つまり、米ドル/円の続伸には、115円をブレイクするような円安材料が、もうひとつ必要ということになります。
■英ポンド/円が米ドル/円続伸のカギを握る
前回のコラムでは、その材料のひとつとしてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇を挙げています。
そして具体的には、ユーロ/円ではなく、英ポンド/円が米ドル/円の上昇を牽引すると想定しています。
【参考記事】
●円高終焉でドル/円急反発! 続伸のカギを握るのは160円に向けて上昇するポンド/円(9月21日、西原宏一)
この意味は、欧州通貨においての資金の流れが、ユーロから英ポンドに移行するということになります。つまり、ユーロ/英ポンドの下落。
【参考記事】
●本邦解散総選挙と北朝鮮情勢の綱引き!? 英ポンド/円買いに妙味がある理由とは?(9月25日、西原宏一&大橋ひろこ)

(出所:Bloomberg)
■BOEの利上げ観測高まり、ユーロ/英ポンドは下落
前回のコラムでご紹介させていただいたように、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の利上げ観測の高まりで英ポンドは大きく反発。
【参考記事】
●円高終焉でドル/円急反発! 続伸のカギを握るのは160円に向けて上昇するポンド/円(9月21日、西原宏一)
これにより、ユーロ/英ポンドの下落が加速しています。
そのユーロ/英ポンドですが、英ポンドの上昇だけではなく、ユーロの上値が重くなっていることで、下落がさらに鮮明に。

(出所:Bloomberg)
■ドイツ総選挙を受けてユーロ/米ドルは下落
そして、1.2000ドルレベルで上げ渋っていたユーロ/米ドルですが、今週(9月25日~)に入って下落トレンドを鮮明にし、一時1.17ドル台前半まで下落。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
きっかけは、ドイツの総選挙でした。
ドイツの総選挙の結果に関しては大方の見方どおりで、サプライズはなかったのですが、このところの為替市場は、フランス大統領選、そして北朝鮮の建国記念日といったように、大きなイベントを消化したあとのマーケットは、大きくその方向性を切り返す傾向があります。
フランス大統領選後は、ユーロが反発。
北朝鮮の建国記念日の後は、米ドル/円が反発。
そして、今回のドイツの総選挙を終えてから、ユーロ/米ドルは下落傾向を鮮明にしています。
■ユーロ/米ドル下落の影響を受ける、ユーロ/英ポンド
その影響を大きく受けているのが、ユーロ/英ポンド。
ハードBrexit(英国のEU離脱)懸念での英ポンド安と、ECB(欧州中央銀行)のテーパリング(※)予測を背景に続伸していたユーロ/英ポンドですが、2016年10月高値である0.9415ポンドを超えられず…。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
8月29日(火)高値となる0.9306ポンドで反落し、ダブルトップを形成しました。

(出所:Bloomberg)
TDシーケンシャル(※)の日足ではセットアップフェーズを20までカウントするという極端なオーバーボートを形成してから、9月14日(木)のBOEのタカ派なコメントも加わり、下落余地が一気に拡大しています。
(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)
デマークの教科書的には、上昇トレンドの終焉、もしくは深い調整に入ることを意味します。
直近のユーロ/英ポンドは、サポートラインが位置している0.8747ポンドで止められていますが、このレベルをブレイクすると下落トレンドが鮮明となります。

(出所:Bloomberg)
目先のターゲットとしては、4月18日(火)高値となる0.8314ポンド。
118円に向けて上昇中の米ドル/円と、トレンドを切り返して下値余地が大幅に拡大しているユーロ/英ポンドの動向に注目です。
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