■日経平均トップアウト。米ドル/円は調整局面入り
米国出張から戻ってきました。引き続き、よろしくお願いします。
11月9日(木)の当コラムでもご紹介させていただきましたが、日経平均と米ドル/円は11月9日(木)でトップアウトし、調整局面入り。
【参考記事】
●日経平均は2万3000円突破で過熱気味?ドル/円は日本株反落による調整に警戒!(11月9日、西原宏一)
日経平均は、一部マーケット参加者から3万円の声が出るほどの加熱感を伴い、一時2万3000円を超えたところでトップアウト。

(出所:Bloomberg)
2万3000円は、1989年12月高値と2008年10月安値の50%戻しに位置します。
日経平均は、一時このラインを突破し、多くのマーケット参加者が極端なブル(強気)に傾いたあと、何の材料もなく急反落しているため、調整局面入りした公算がさらに高まっています。
米ドル/円も、115.00円に届かず。
懸念していたように、高値は114.73円止まりで急反落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■米ドル/円はレジスタンスに阻まれ、115円突破ならず
ここで、米ドル/円の値動きを週足チャートで確認してみましょう。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は、2017年年初の118円台から急落して以降、何度も115円レベルにトライしています。
5月に反発したときの高値が114.37円。7月の反発が114.49円。そして、今月11月の反発が114.73円と、3度、115円ブレイクに向けて上昇するも3度とも失敗。
加えて、当コラムでも何度かご紹介させていただいている2015年6月の高値125.86円と2016年12月の高値118.66円を結んだレジスタンスである114円台ミドルのブレイクに、今回も失敗しています。
つまり、過去2年半に渡るレジスタンスを、今回もブレイクできなかったということになります。
【参考記事】
●米ドル/円は重要レジスタンス突破に注目!株急騰にいち早く反応した通貨ペアとは…!?(11月2日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
特に、今月11月9日(木)の115.00円へのトライは、NYダウの急騰や日経平均の続伸という好材料があったにも関わらず、失敗。
では、日米の株の急騰というリスクオンでも上がらない米ドル/円は、どういう材料があれば115.00円をブレイクして続伸できるのか?ということがマーケットで疑問視されています。
■米ドル/円が115円をブレイクするために必要な材料は?
マーケットで1番に取り上げられている材料の1つが、米長期金利(米10年物国債の利回り)の上昇。

(出所:Bloomberg)
米長期金利さえ上がれば、米ドル/円は115.00円を超えて続伸するという意見もありますが、仮に、米長期金利が3%に向けて高騰すると、米株の調整を誘引します。
米株が急反落すれば、米ドル/円は躊躇なく追随し、反落すると考えられています。
結果、米ドル/円が115.00円を超え、120.00円に向けて上値を追うのは、かなり難しいのではないかと、現時点では想定しています。
■売り手は誰!? 米ドルの売り手がわからない不気味さ
話題を短期の話に戻すと、現時点のマーケットにおける米ドル/円の買い手というのは、生保を筆頭とする日本の機関投資家です。
彼らが111円台に米ドル買いの注文を少しずつ並べており、本稿執筆時点では、111.00円で、まとまった買い注文を置いていると、マーケットではウワサされています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ただ、彼らから、まとまった米ドル買いがマーケットに投入され、米ドル/円は下げ止まったものの、反発もしません。
では、本邦機関投資家以上に誰が、米ドルを売っているのか?
売り手は誰なのか?
前述のように、米ドルの買い手はコンセンサスどおり日本の機関投資家なのですが、米ドルの売り手がよくわからない状態です。
相場では、わかっている買い手よりも、わからない売り手というのが不気味な存在だと言われています。
■背景にあるのは、想定以上の円ショート拡大か
個人的には、IMM(国際通貨先物市場)が示しているように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も含めて、マーケット参加者が想定している以上に、円ショートが拡大しているのではないかと考えています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
NYダウの急騰や日経平均の続伸という好材料があったにも関わらず115円ブレイクに失敗し、111円台まで反落してきた米ドル/円相場。
仮に、重要サポートである111.00円を明確に割り込めば、108円レベルまで下落幅が拡大する公算が高まるため、要注意です。
11月9日(木)に、日本株とともにトップアウトして急反落してきた米ドル/円と日経平均の行方に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。























株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)