■米ドル/円は2017年9月安値の割り込みを軽視すべきでない
一方、米ドル/円に関してはいろいろ見方があるが、筆者が重視しているのは昨年(2017年)9月安値の割り込みだ。
昨年(2017年)9月の安値打診は、いったん昨年(2017年)4月安値を割り込んだものの、その後V字型反騰をもって昨年(2017年)11月の一時高値更新につながったので、リバウンドを「セットアップ」するシグナルであったとみる。
(出所:IG証券)
要するに、昨年(2017年)4月安値に対する一時の下回りが「ダマシ」であったからこそ、昨年(2017年)11月高値をもたらしたわけだ。
そして、先週(2月12日~)の大幅下落で昨年(2017年)9月安値を下回り、また同安値以下に大引けし、さらに、昨年(2017年)11月の一時高値更新(2017年5月、7月高値に対して)があったものの、すぐ反落して下落を続け、先週(2月16日)安値の更新をもたらしたわけだから、同高値更新自体も「ダマシ」であったに違いない。
ゆえに、昨年(2017年)9月安値を下回った、というサインの意味合いを軽視すべきではない。
仮に先週(2月16日)の安値打診をもって米ドル/円がすでに底打ちした、といった見方が正しいとしても、前述したプライスアクションの視点で総合的にみればわかるよう、昨年(2017年)4月、6月や9月安値で形成されたレジスタンスゾーンは厚く、米ドル/円の底打ち、また切り返しがあっても安易な上放れはなかろう。
何しろ、昨年(2017年)11月の一時高値更新が点灯した「フォールス・ブレイクアウト」のサインが「ホンモノ」であるからこそ、昨年(2017年)9月安値割れ、また同安値の下にて大引けしたわけだから、当面米ドル/円が強くても、かろうじて安値圏での保ちあいに留まると推測される。
■ユーロ/円は反落してくる公算が高い
こういったロジックが正しければ、ユーロ/円に関する見方はシンプルでわかりやすいだろう。ユーロ/米ドルの頭打ち、また米ドル/円の安値圏での保ち合いが「最大公約数」なので、ユーロ/円は反落してくる公算が高い、と言えるだろう。
もっとも、ユーロ/米ドルの反落加速、また米ドル/円のさらなる安値打診も警戒されているので、場合によってはユーロ/円の下落加速といったシナリオも念頭に入れておきたい。
ユーロ/円は昨年11月安値に接近している。週足のサインは、すでに指摘したように、トップアウトのサインが鮮明であったから、これから割り込んでいくだろう。
(出所:IG証券)
今年(2018年)1月最終週の週足は、本来強気「アウトサイド」、また「リバーサル」のサインを点灯していたので、そこからさらなる続伸が期待されたが、翌週から一転して大幅反落、さらに1月第2週の安値を割り込んだことで、反転のサインを強化したとみられる。
■2017年11月安値割れの有無が今後のポイントに
同週の足型は典型的な「スパイクロー」(たぐり線)だったので、その安値は重要であった。割り込むことによって、従来のサポートゾーンがレジスタンスゾーンになる恐れを示し、実際先週(2月12日~)の始値、今週(2月19日~)の高値(現時点)を見れば、すでにレジスタンスゾーンとして意識されていることがおわかりいただけるかと思う。
昨年(2017年)11月安値、昨年(2017年)7月高値の水準と重なっただけに、より重要である。昨年(2017年)11月の一時の安値打診は、さらなる反落ではなく一転して切り返していたので、今年(2018年)1月高値に繋がったわけだ。
ゆえに、再度割り込めば、今年(2018年)1月高値をもってすでにトップアウトし、ユーロ/円は大きく反落余地を拡大する、というシナリオがより確実になってこよう。
前回提示したターゲット、すなわち126円台~128円台といったこれからの目標について、昨年(2017年)11月安値131.17円割れをもって、打診の道筋がつけられるだろう。市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)