■大混乱はいったん、落ち着いたけど…
米国の長期金利の上昇に端を発した金融市場の大混乱は、いったん、落ち着きを見せています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
ただ、そこから大幅に回復する気配はあまり見られない状態にあります。
その背景にあるのは、やはり、世界中が超金融緩和政策からの脱出を順番に展開していく時期にきているという認識が、市場に広がっているからではないかと思います。
そういう意味においては、まだまだ、市場から不安感が払しょくされることはないだろうと推測できます。
■また米ドル安誘導!? 円安へ向かうムード低下
そんな中で、いくつかのニュースも出てきています。
まず、米国です。
トランプ政権は、2月21日(水)に大統領経済報告を発表しました。その中に、「貿易収支の不均衡を是正する1つの重要な手法は為替相場の調整」という記述があります。
ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)のときに、ムニューシン米財務長官が同じような発言をしたことで円高が加速し、その後、発言の釈明に追われるということがありました。
【参考記事】
●ファンド勢は米ドル安政策への転換を察知していた!? 今後は神経質な動きに警戒を!(1月25日、今井雅人)
●ムニューシン財務長官のドル安歓迎発言はやっぱり本音? ドル/円は105円目指す過程(2月1日、西原宏一)

1月24日(水)にムニューシン米財務長官が米ドル安容認と受け取れる発言をしたため、為替相場は米ドル安・円高の展開となり、米ドル/円が110円を割り込んだ経緯があったが… (C)Bloomberg/Getty Images
それが大統領経済報告に書き込まれたということで、今後、またトランプ政権の要人から同様の発言があるのではないかという見方が広がったと思います。
そういう意味において、混乱が終わったので、これからまた円安へ向かう、というムードが低下してしまっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
■ECBは3月か4月に政策転換のメッセージ!?
2つ目は、EU(欧州連合)です。
1月25日(木)に開催されたECB(欧州中央銀行)定例理事会の議事要旨が2月22日(木)に公表されましたが、その中に重要なことが書いてありました。
理事会メンバーの多くは、「必要ならば債券購入プログラムを延長・拡大する用意があるとの文言を削除してよい」という考え方でしたが、最終的に、「そのような変更はまだ妥当ではない」との結論に至りました。
今後は、「インフレの動向を見ながら、段階的に進めていく」としています。
つまり、今回は引き締めに向けての政策転換のメッセージを出すことはやめて、先送りしようと決めたということです。
今年(2018年)に入ってから、ECBが金融引き締めに転換するという観測からユーロ買いが進んだのですが、それに水を差す内容になっているということです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ただ、議事要旨をさらに読んでいくと、2018年の前半には、何らかの判断が出てくるようにも読めるので、こちらについては3月や4月に、政策転換のメッセージが出てくる可能性は高いということではないかと思います。
しばらく、ユーロは上昇していくような流れにはならないかもしれませんが、春先にはまた、ユーロ高に向かっていく可能性が十分にあるということではないかと考えています。
■しばらくは現状の円高水準。米ドル/円はレンジ入りか…
以上の新しい材料を加味しても、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)とも、しばらくは現状の円高水準で低迷する可能性が高くなってきたと考えられます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
米ドル/円も、106円台から108円台あたりのレンジに入ってきたのではないでしょうか。

(出所:Bloomberg)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。















![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)