■ドルインデックスや金貨価格も「意外」な値動き
もう1つ「意外」だとすれば、ドルインデックス(米ドル全体)の堅調さだ。
米国に報復するため、中国は米国債を売り払い(※1)、金(ゴールド)を自国に搬送するといった措置がうわさされていた(※2)。また、実際に中国官僚による「ほのめかし」もあったから、米ドル全体が暴落しても全然サプライズではないだろう。
が、ドルインデックスは執筆中の現時点でも89台後半をキープし、ユーロも英ポンドも続伸の勢いを見せていない。
(※1 執筆者注:中国は米国債保有規模を日本と競っており、常に1位か2位の規模を誇っている)
(※2 執筆者注:大半の中央銀行と同様に、中国も買いつけた金を米国に預託管理している)
(出所:Bloomberg)
リスクオフの程度を測るもう1つの商品は金だ。金は足元1340ドルの大台を目指しているように見えるが、2月高値を完全に更新しておらず、リスクオフの受け皿になったかと聞かれると答えに迷うだろう。
(出所:Bloomberg)
換言すれば、状況の深刻さに比例して本来、金はもっと上昇してもおかしくないから、状況が言われるほど深刻化していないか、リスクオフの受け皿として、従来の資産がその役割を果たせなくなったかの、どちらかであろう。
■リスクオフのムードに合っている市況はクロス円
答えを性急に出す必要はない。また、急いでも正解になるとは限らないから、この問題はまず提示することに留めるが、リスクオフのムードにぴったり合っている市況も為替市場にある。それはほかならぬ、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の相場だ。
ユーロ/円、豪ドル/円は揃って安値を更新、そして、英ポンド/円もリバウンドを完成させた可能性が高く、これから安値更新を果たす公算だ。
ユーロ/円に至っては、以前提示した128円台にすでに到達したから、次は126円台がターゲットとして浮上しよう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
豪ドル/円は80円の大台割れを確実視、まず、78~79円台の下値目標に照準を合わせるだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
前回のコラムでも強調したように、本コラムでは切り返したクロス円の大逆転、また、ベア(下落)トレンドの継続を有力視してきた。
【参考記事】
●森友問題の深刻化でクロス円が下落しても米ドル/円が底割れするとは限らないワケ(2018年3月16日、陳満咲杜)
こういった視点や見通しは維持するが、前述の問題提起と共に、クロス円のベアトレンドは、これから単純に円高のみでなく、外貨安に依存する可能性を再度指摘しておく。リスクオフと言われ、また、非常に荒れる市況の中、この視点はブレないようにしておきたい。
市況はいかに。
(14:00執筆)
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