■森友学園はくすぶり続ける。アベグジットへの思惑も!?
先週(3月12日~)は、米ドル/円やユーロ/米ドルなど、為替市場のメイン通貨ペアは、もみ合いが継続しました。
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森友学園の国有地売却に関する決済文書の書き換え問題については、3月12日(月)に麻生財務相が辞任を否定したこともあり、リスク回避の動きも止まりました。
ただ、この問題はまだ、くすぶり続けており、もし、麻生財務相が今後、辞任するようであれば、アベグジット(※)の思惑も重なり、円高や日経平均の下落につながります。
(※編集部注:「アベグジット」とは、安倍(アベ)首相とExit(退出する)を組み合わせた造語。英国のEU離脱(Brexit)や、ギリシャのユーロ圏離脱危機(Grexit)の際に、外国人投資家を中心に使われた言葉をもじった、安倍首相の退任による、アベノミクス相場の終えんを意味する言葉)
【参考記事】
●海外勢は森友問題を過小評価? ドル/円は下方向だが105円台の突っ込み売りは回避(3月19日、西原宏一&大橋ひろこ)
●円売り回避の背景にある3つのリスクとは? 米ドル/円は107円前後になれば戻り売りで(3月16日、今井雅人)
■米政権人事は貿易戦争に向かって進んでいくと考えるべき
トランプ政権に関しては、3月7日(水)にコーンNEC(米国家経済会議)委員長が辞任をしましたが、13日(火)にティラーソン国務長官が解任されることとなり、さらに、16日(金)には、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が解任されるとの報道も加わり、リスク回避の動きとなりました。
ティラーソン氏の後任に、強硬派とされるポンペオCIA(中央情報局)長官を任命するということも、リスク回避の動きにつながりました。
為替以外の金融市場の参加者の中には、トランプ大統領の貿易戦争は政治ショーだという見解もありましたが、これだけ要人を解任し、トランプ大統領の意向を反映する人を周りに固めるとなれば、貿易戦争に向かって進んでいくと考えるべきではないかと思います。
【参考記事】
●テーマは米貿易戦争! 米ドル/円は105円トライの材料待ち。ユーロはレンジ上限へ(3月6日、バカラ村)
●輸入関税に反対してきたコーン氏が辞任! ドル/円は上値重く、105円決壊なら100円へ(3月8日、西原宏一)
14日(水)に、トランプ大統領が、対中国貿易赤字を1000億ドル削減するよう求めていることもあり、貿易戦争の一番のターゲットは中国ですが、日本やユーロ圏も対象と見ていると思われます。
とすれば、長期的には米ドル安が続き、円やユーロは強くなっていくのではないでしょうか。
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■貿易戦争以外の材料は短期の動きを形成するだけ
3月19日(月)~20日(火)には、G20(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)が開催されます。
ここでは、仮想通貨や保護主義に関して、話し合われることが予定されています。
トランプ大統領の保護主義に関しては、各国から批判の内容も出てくると思いますが、トランプ大統領もそれは予想していると思いますので、ここで貿易戦争が回避されるような内容は出てこないと思われます。
市場のテーマは貿易戦争であり、それ以外の材料は、短期的な動きを形成するだけではないかと考えています。
昨日(3月19日)、Brexit(英国のEU離脱)の交渉に関して、EU(欧州連合)と英国が移行期間の導入で暫定合意したとの報道から、英ポンドが上昇し、英ポンド/円の上昇に連れて、ユーロ/円も上昇しました。
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ただ、大きな流れである米ドル安や豪ドル安、ユーロ高や円高の流れは、まだ変わっていません。
■パウエル議長の会見で、市場のテーマが変わる可能性も
今週(3月19日~)は、20日(火)~21日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)もあります。
0.25%の利上げは織り込まれているので、材料視されませんが、メンバーの利上げ予想を示すドットチャートや、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見に注目が集まります。
パウエル議長の会見によっては、市場のテーマが変わる可能性もあります。
FRB議長として、初めてのFOMCでの会見であり、パウエル議長の会見に市場が米ドル高で反応するような内容となれば、これまでの流れはいったん、変わるのではないかと考えています。
■米ドル/円は短期的にブレイクした方へ推移しそうだが…
米ドル/円は、大きな流れはまだ下落トレンドで、テクニカル的には、108円をレジスタンスに、徐々に上値が下がってきています。
悪材料が豊富に出ている割には、105円を下抜けませんが、ここを下抜けると、103円台半ばへ向けて、下がるのではないかと考えています。
反対に、107円台半ばを上に抜けると、109円台まで上がる可能性が高そうです。
(出所:Bloomberg)
短期的にはもみ合いで、ブレイクした方へ推移することになりますが、長期的には、まだ下がるのではないかという考えは変えていません。
【参考記事】
●貿易戦争や地政学リスクが目先収束しても、今後米ドル/円が105円割れと考える理由は?(3月13日、バカラ村)
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