■米国株は2018年年初来高値に再度挑戦する可能性も大
さらに、前述のように結局、米国株次第なのだが、米国株は今年第1四半期の波乱をもって調整すべきところでスピード調整を果たしていたから、目下の「居心地のよい」時期において、再度ブルトレンドを強めていくはずだ。
マクロ的な視点として、米利上げサイクルの途中であり、米長期金利の急上昇がない限り、米国株はスピード調整から力強く回復し、さらに高値にトライする可能性が大きいと見なされるから、2月高値どころか、2018年年初来高値に再度挑戦する可能性も大きいだろう。
(出所:Bloomberg)
■ドル/円113~114円、日経平均2万3500~2万4000円に?
となると、短期スパンはともかく、中期スパンでは米ドル/円も日経平均も押し目買いのスタンスのみでなく、これから高値更新があれば、高値追いも一手かと考えられる。
5月高値を超えれば、米ドル/円は113~114円に照準するだろう。相応して、日経平均は2万3500~2万4000円の上値ターゲットを射程圏に収めるのではないかとみる。
(出所:IG証券)
(出所:Bloomberg)
前回のコラムでも指摘していたように、米国債先物の売りポジションは、一時、記録上の最高水準を更新していたから、ここから米国債急落(米金利上昇)の市況がなければ、すでに進行しているポジションの巻き戻し、すなわち、ショートポジションが引き続き踏み上げられがちになるだろう。
【参考記事】
●リスクオフで米長期金利低下なら米株安泰で結局リスクオンに? 米ドル/円は底打ちか(2018年6月1日、陳満咲杜)
少なくとも夏場の間、このような巻き戻し主導の米長期金利低下の局面が想定されるから、米国株高が牽引するリスクオンムードが一段と拡大することには注意しておきたい。
■ユーロは下げにくい状況になっている
こういった市況の進行とともに、米ドル高の一服も想定されるが、リスクオン・オフよりも市場内部構造の要素が大きいかとみる。米ドルの対極として位置付けられるユーロの状況は好例であろう。
前回のコラムでも指摘していたように、ユーロ安に関する諸解釈の多くは後付けであった。イタリア政局不安云々はユーロ安がだいぶ進行したあとに持ち出された材料だから、この問題でユーロ安がさらに推し進められるどころか、逆に「出尽くし」でユーロの反騰をもたらした。
(出所:IG証券)
肝心のところ、ユーロの大反落は、この前(4月中旬)の歴史的な「買われすぎ」(IMM市場では15枚超の買い越し)の状況に対する修正にすぎず、ユーロはだいぶ下落してきた。また、ロングポジションがだいぶ削られた以上、ユーロは逆に下げにくくなっているといえる。
このような視点でフォローしていけば、米ドル全体(ドルインデックス)はブル基調を保てるものの、しばらく高値更新せず、高値圏でのレンジ相場、また保ち合いの市況を形成していく公算が大きい。
(出所:Bloomberg)
米国株の上昇は円安をもたらすが、すぐに米ドル全体の一段高にはつながらないため、主要クロス円の多くは調整を経て、さらに反騰余地を拡大するのではないかと思う。
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このあたりの検証や解釈はまた次回、市況はいかに。
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