■蘇る「シントラショック」の記憶
先週(6月11日~)は、米朝首脳会談からFOMC(米連邦公開市場委員会)、ECB(欧州中央銀行)理事会、日銀会合と、イベントの続く1週間でしたが、大きく動いたのはECB理事会でしたね。
ユーロは、対米ドルで1.1850ドルから1.1560ドルまで約300pipsの急落です。

(出所:Bloomberg)
2018年内での資産買い入れ終了は、事前にバイトマン・ドイツ連銀総裁が発言していたとおりですが、金利について、「現在の水準に少なくとも2019年夏までとどまる」と、ドラギ総裁がハト派的な発言を行なったことが効きましたね。
早期利上げへの期待が一気に剥落し、全面ユーロ安となりました。
今週(6月18日~)は、ECBフォーラムが始まります。ドラギさんのほか、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長、黒田日銀総裁、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のロウ総裁などの要人が集結し、6月18日(月)深夜から20日(水)まで講演が続きます。
思い出すのは、昨年(2017年)のECBフォーラムですよね。ドラギ総裁がテーパリング(※)を示唆する「シントラショック」でユーロ高が進みました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●株式よりも金利の動きが今後もカギに? 米国債利回り上昇なら米ドル/円も続伸!(2017年7月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(2017年7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
ECBから1週間後ですから昨年(2017年)のようなサプライズ的な発言を行なうとは思いませんが、注意したいですね。
ユーロ/米ドルは、1.15ドルが大きな節目。イタリアやスペインで政局が混乱した5月末に1.15ドル割れをトライしましたが、破れませんでした。
「アメリカは利上げを継続、ユーロ圏の早期利上げ期待は霧消」と金融政策面の格差が鮮明になっていますから、1.15ドル割れを再び試すことがあるのかどうか…。

(出所:Bloomberg)
■米国の関税発表に中国は即座に報復!
先週(6月11日~)は、米中の貿易摩擦も激化しています。
6月15日(金)に、トランプ米大統領が中国に対して、知的財産権およびハイテクに関連する製品に25%の関税をかけると発表すると、中国もすぐさま報復関税の導入を発表しました。
【参考記事】
●初の米朝首脳会談への評価は真っ二つ!? 米中通商問題が引き続きリスク要因に!(6月14日、西原宏一)
トランプが関税をかけると輸入インフレとなり米ドル高だというロジックもありますが、今のように報復関税の応酬になるとグローバルエコノミー全体が縮小しますし、米国製品の売上も低迷して米ドル安だろうと考えています。
ただ、米ドル/円は110円台半ば。今春のような通商政策に反応して円高が進む相場とはなっていません。その要因の1つが本邦勢の動向。先週(6月11日~)は機関投資家が連日、米ドル/円を買っていたようです。

(出所:Bloomberg)
(次ページでは売られている新興国通貨や原油の話題が…)
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