■カナダには「地獄の特別な場所」を
先週末から今週(6月11日~)末に向けてイベントが集中しています。昨日(6月10日)は、スイスで「ソブリンマネー」構想の是非を問う国民投票が実施され否決されました。
【参考記事】
●米朝首脳会談など来週は重要イベント満載! 通商問題混迷の先にあるのは米ドル安か?(6月7日、西原宏一)
事前の予想どおりですね。週末の動きで気になったのは、G7(先進7カ国)首脳会議です。G7とは名ばかりで、実質的にはアメリカの孤立が鮮明な「G6+1」となった印象。
さらに、トランプの通商顧問であるピーター・ナバロはカナダに対して、「地獄の特別な場所が用意されている」(There is a special place in hell)と驚くほど強い言葉で批判しています。
ただ、元をたどると、これは、一昨年(2016年)の米大統領選挙でヒラリー陣営から出て、炎上した言葉。それを知っているアメリカ人からすると驚きは少ないようですが…。
通商政策での対立はもちろんですが、トルドー加首相が環境やジェンダーといったテーマを取り上げたこともおもしろくなかったのかもしれないですね。
G7の亀裂が露呈したことに、以前なら市場は大きく反応したのでしょうが、今週(6月11日~)はイベントが多いせいか、今のところは小動きですね。
■「FOMCアノマリー」は今回も有効なのか?
今週(6月11日~)に目を向けると、まずは12日(火)の米朝首脳会談ですね。
トランプ米大統領が、「1回では終わらないだろう。2回目、3回目も必要になる」と話していますし、今回で劇的な決着がつくようなことはないのでしょう。
トランプと金正恩が2人でパフォーマンス的な記念撮影を行い、結論は次回に持ち越しとなるのではないかと思います。
翌13日(水)深夜には、FOMC(米連邦公開市場委員会)の政策発表。利上げは100%織り込まれています。

(出所:Bloomberg)
今回のサイクルでは6回の利上げを行ってきましたが、そのうち4回は、「FOMCアノマリー」(FRBの利上げ後、米ドル高・ゴールド安から米ドル安・ゴールド高へと転換するアノマリー)が当てはまりました。
ただ、今回はそれほど米ドル高が進んでいないため、当てはまるかどうか……。
完全に織り込まれていることもあって、通常パターンなら、よほどタカ派なコメントが出ないかぎり「セル・ザ・ファクト」となるのですが、翌日(6月14日)にECB(欧州中央銀行)理事会を控えています。
セル・ザ・ファクトを狙うとすれば対ユーロではなく、対円でしょうか。

(出所:Bloomberg)
■米国債先物の売り越し、1993年以来の歴史的高水準へ
今回のFOMCで西原さんが注目するのは?
米10年債利回りの反応でしょうか。以前この対談で紹介しましたが、米10年債利回りは30年来のレジスタンスラインをブレイクし、上昇基調。
しかし、足もとでは調整局面に入っており、米ドル/円の上値が重い印象です。
【参考記事】
●米長期金利が「30年レジスタンス」を突破!日米株の乱高下に警戒! 米ドル/円は…!?(2月12日、西原宏一&大橋ひろこ)

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
先物市場でも米国債の売り越し幅は、1993年以来の水準まで積み上がっています。このショートが解消されないと米金利は上がりにくいのかもしれませんね。
そして、先ほど触れたとおり、FOMC翌日(6月14日)はECB理事会。先週(6月4日~)は、バイトマン独連銀総裁やプラートECB理事などの要人からタカ派発言が相次いで、ユーロ/米ドルが、一時1.18ドル台まで買い戻されています。

(出所:Bloomberg)
(次ページではECB理事会や日銀会合の話題が…)
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