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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

初の米朝首脳会談への評価は真っ二つ!?
米中通商問題が引き続きリスク要因に!

2018年06月14日(木)16:25公開 (2018年06月14日(木)16:25更新)
西原宏一

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■史上初の米朝首脳会談の評価は真っ二つ

 みなさん、こんにちは。

 6月12日(火)に行われた史上初の米朝首脳会談は、無事終了

史上初の米朝首脳会談は無事終了。写真は合意文書に調印後、トランプ大統領と金委員長が握手をしている様子 (C)Handout/Getty Images

6月12日(火)に開催された、史上初の米朝首脳会談は無事終了。写真は握手をするトランプ大統領と金委員長 (C)Handout/Getty Images

 米朝が交わした合意文書は、トランプ大統領がコメントしたように「包括的」なものに。

 見方を変えれば、いずれの合意も具体性に乏しい一般論にとどまっているとも言え、その点に批判も挙がっています。

 この会談についての米国内の反応は、(いつもどおり)真っ二つ。

 民主党を中心とした「反トランプ派」にとって今回の会談は、トランプ大統領が中間選挙に勝つための人気取りにすぎず、さらには、ナルシストであるトランプ大統領の自己満足との意見が多数。

 一方、トランプ派から見れば、これはノーベル平和賞に匹敵するほどの快挙というわけです。

 ワシントン・ポスト(民主党色が強い)などは、「G7首脳会議ではみせなかった笑顔であり、ミサイルで脅かす独裁者にみせる笑顔ではない」と痛烈なコメントを発表。

 個人的には、米朝関係というのは、つい先日まで一触即発の状態だったわけですので、この会談をきっかけに、非核化に向けて前進したことは確かではないかと考えています。

■近い将来、北朝鮮が有望な投資先になるかを議論!?

 また、これに関連して驚いたのが、米国のメディアで、近い将来、北朝鮮は有望な投資先になるのかどうか? という議論が始まっていること。

北朝鮮は鉄鉱石などの資源が豊富であり、かつ、若い世代が多いため投資先として有望ではないか? というわけです。

 反論としては、「予測不可能な独裁者のもとで誰もビジネスをしたくない」(ニューヨクタイムズ)との意見。

 まだ非核化の交渉は始まったばかりですし、非核化自体が頓挫する可能性も高い状態です。

 しかし、この状況でも、北朝鮮は有望な投資先になりうるのかどうか? という議論とシュミレーションが始まるところが、米国のすごいところだと感じた次第。

 ともあれ、米朝首脳会談は無事終了。これは、株と米ドル/円にとってポジティブ要因です。

■FOMCでは、バイ・ザ・ルーマーからのセル・ザ・ファクトに

 加えて、本日(6月14日)未明、もう1つのイベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 FOMCは、FF金利(※)の誘導目標を1.75-2%のレンジに引き上げ。

(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

米政策金利

(出所:Bloomberg)

 さらに、失業率が低下し、インフレ率が従来の見通しよりも速いペースで上昇していることから、2018年通年の利上げ予測は4回に上方修正されました。

 マーケットの反応は、FOMC前後によく散見される動きに。

 FOMC直前のマーケットは、「利上げが4回への上方修正になるのでは? というウワサ」を織り込む展開となり、一時、米ドル/円は110.84円まで反発(バイ・ザ・ルーマー)

 その後、「利上げが4回への上方修正」という結果を受けて、米ドル/円は110円台前半に反落しました(セル・ザ・ファクト)

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(出所:Bloomberg)

 また、利上げ回数の上方修正を受けて、米国株も反落しています。

NYダウ 1時間足
NYダウ 1時間足

(出所:Bloomberg)

■トルドー加首相の発言にトランプ大統領が立腹!

 そして、今週(6月11日~)後半のイベントに突入します。

 まず、今晩(6月14日)の欧州時間には、ECB(欧州中央銀行)理事会が開催されます(ECB理事会の見通しについては、先週のコラムを参照してください)。

【参考記事】
米朝首脳会談など来週は重要イベント満載! 通商問題混迷の先にあるのは米ドル安か?(6月7日、西原宏一)

 最後に残るのは、今週(6月11日~)のイベントのハイライトである米中貿易摩擦懸念の拡大です。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、米国は中国製品に対する関税を6月15日(金)にも発動する準備が整っており、トランプ大統領の最終承認を待って決定されると報じています。

 通商問題に関しては、先週(6月4日~)末のG7(先進7カ国)首脳会議でも一騒動起きています。

 G7の間では、通商政策を巡り、米国と6カ国の意見対立が解消されないまま(G6+1)、かろうじて首脳宣言が採択されました。

 ところが、トランプ大統領が、カナダのトルドー首相の発言に立腹。

 一転して宣言を承認しないとしたことで、G7の結束を示そうとした各国の取り組みは台無しに…。

 トランプ大統領はもともと、カナダが提唱したG7のテーマ(環境問題に関するものなど)に対して否定的だったことに加え、トルドー首相がトランプ大統領を批判したことから事態が悪化。

ナバロ委員長はFOXニュースの番組でのインタビューで、「カナダ側が交渉により多くの時間をかけ、米議会や米メディア、州政府へのロビー活動に費やす時間を減らしていれば、今頃はNAFTAに関して素晴らしい取引がまとまっていただろう。彼らはフェアプレーをしていない。不誠実で弱い」と批判。

さらにトルドー加首相に言及し、トランプ大統領に対して「不誠実な外交」を展開するような外国の指導者には「地獄に特別な場所がある“there’s a special place in hell”」と付け加えた。

出所:Bloomberg

「地獄に特別な場所がある“there’s a special place in hell”」とは、なんとも過激なコメントです。

 ただ、この言い回しは、ヒラリー陣営が最初に使った言い回しであるため、米国の友人などは、別段、驚いてはいない様子。

 さすがに、ピーター・ナバロ氏は、このコメントについて、カナダに対し、謝罪しています。

トランプ大統領の通商顧問、ピーター・ナバロ氏はカナダのトルドー首相に対し、「不誠実な外交」を展開するような外国の指導者には「地獄に特別な場所がある」と痛烈に批判。その後、謝罪している

■米中貿易摩擦懸念の拡大に注視

 こうしたことに対するマーケットの反応は、どうでしょう?

 つい数カ月前までのマーケットでは、こうした通商問題に関するトラブルに対しては、即座にリスクオフ(株安・円高)の反応を見せていました。

 ただ、今週(6月11日~)のマーケットは、この件に関して大きな反応を見せていません。

 マーケットの一部の参加者の間では、通商問題の拡大懸念は、もうリスクオフの要素ではないとの意見もあります。

 個人的には、今週(6月11日~)は、米朝首脳会談、FOMC、ECB理事会と重要なイベントが続いているため、G7間での通商問題の亀裂がリスクオフにつながらなかっただけであり、引き続き、通商問題の亀裂はリスク要因だと考えています

 特に、米国が中国製品に対する関税を拡大することに関しては、グローバルな貿易への影響が大きく、リスクオフの要因であると懸念しているわけです。

 ただ、マーケットの懸念とは裏腹に、トランプ大統領は米中貿易摩擦に関しても、相変わらず強気なコメントをしています。

トランプ米大統領:中国は今後数週間に動揺する可能性-通商措置でトランプ米大統領は今後数週間に貿易を巡って中国と「非常に強力に」対立することになるだろうと述べ、金正恩朝鮮労働党委員長との会談の後で、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国に警告を発した。

同大統領は13日に放映されたFOXニュースとのインタビューで、「われわれが貿易で非常に強力に対応するため、中国は若干動揺するかもしれない」と述べた。

出所:Bloomberg

 G7間での亀裂に加え、拡大する米中貿易摩擦の行方に注目です。


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