■米10年国債先物のショートポジションが過去最大に
そして、米ドル/円が続伸するためには、米金利の上昇を伴う必要があります。
ただ、ここにきて気になるのが、米10年国債先物のネットポジションの変化。
今年(2018年)は、年初から米10年債利回りが3.00%を超えて大きく上昇するというのが、コンセンサスになっていました。
(出所:Bloomberg)
ただ、同じアイデアを持った参加者が増えたことも影響し、米国債のショートは、かなり膨れ上がっている模様。
記録的な米国債ショート、貿易摩擦が激化する中で脆弱さ示す
7月3日までの週に米国の10年国債のショートポジション(売り持ち)を積み増した投資家は、貿易摩擦が激化する中で脆弱(ぜいじゃく)な領域に入った。
米商品先物取引委員会(CFTC)の最新の取組高報告によると、米国の10年国債先物のネットポジションは過去最大の売り越しを記録。
11日の相場上昇で10年国債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、2.83%。これは投機的なショートが積み上がった可能性のある3日終了週の最低水準に近い
これに伴い10年国債相場が下落する方向に賭ける前例のない規模のポジションが、ショートスクイーズの危険にさらされる
出所:Bloomberg
(出所:Bloomberg)
米10年国債利回りが下がるということは、米ドルの下落を誘引します。
実際にユーロ/米ドルは、1.15ドル台を何度も攻めるものの、1.1500ドルのバリアオプションが崩せず、じわじわと底固めをしています。
(出所:Bloomberg)
これが、米ドル/円が続伸するのを阻む要因となっています。
ただ、米ドル/円に関しては既報の旺盛な対外投資に加え、円はアジア通貨の代替となっているため、アジア通貨の下落とともに、円安が進行するという指摘もあります。
米中貿易戦争がエスカレートしている環境下にも関わらず、政府・日銀が東日本大震災後に実施した為替介入に相当する規模の買収により、112円台を回復した米ドル/円。
リスクオフ環境下でも、巨額の買収案件により反発した米ドル/円が、今後も続伸を続けることができるかどうかを占う意味で、今週(7月9日~)末の米ドル/円のクローズに注目です。
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