■米10年債利回り急騰! 節目の3.00%を突破
みなさん、こんにちは。
このところのマーケットの注目は、米金利の急騰です。
一時調整に入っていた米10年債利回りが急騰し、節目の3.00%を突破。

(出所:Bloomberg)
前回、米10年債利回りが3.00%レベルまで急騰したときのマーケットの反応は、米国株が急落、そして、米ドル/円も105円台まで急落するという展開でした。

(出所:Bloomberg)
今週(4月23日~)の米10年債利回りが3.00%まで急騰したステージでは、前回同様、NYダウは一時600ドルも急落するなど、米国株は総じて軟調。

(出所:Bloomberg)
日経平均も一時は追随して反落し、リスクオフの流れに傾斜しました。
■米ドル/円が節目の108円を突破し、109円台回復
ただ、前回と違うのは、米ドル/円が急落しないこと。
逆に、米ドル/円は109円台まで反発。

(出所:Bloomberg)
マーケット参加者の一部には、米金利の上昇につれ、逆に米ドル/円が下落した前回が特殊なケースで、今回は米ドル/円が米金利の上昇に素直に追随しており、この傾向は続くという意見も増えています。
ただ、NYダウが大きく値を下げている局面で、米ドル/円が追随しないどころか、逆に急反発しているというのは、これまでにない傾向。
マーケット参加者の中では、今後、米10年債利回りがジリ高になっても株は大丈夫という意見と、現在の米国株の水準は、米10年債の利回りが2.50~3.00%をベースに成り立っているので、米10年債の利回りが3.00%から大きく乖離すると株はもたないという意見に分かれています。
以下は、米10年債利回りの月足チャートです。

(出所:Bloomberg)
米10年債利回りは、長期に渡って上値を抑えていたレジスタンスをブレイクしており、中期的には、じわじわと上昇する可能性が高まっているため、今後も、「米金利 ・ 米国株 ・ 米ドル/円」の相関性には注視しておきたいところ。
■武田薬品、シャイアー買収額提案を7兆円に引き上げ
ただ、この論議の前に、今回の米ドル/円の上昇には、某日本企業による巨額買収に関するマーケットの思惑が影響しているとの見方もあります。
それは、武田薬品の大型買収。
今週(4月23日~)の金融業界は、下記の武田薬品の大型買収案に揺れています。
アイルランドの製薬大手シャイアーは24日、武田薬品工業の買収提案を受け入れるよう株主に推奨する意向を明らかにした。武田は同日、シャイアーに対する5度目の買収提案で、提示額を460億ポンド(640億ドル)に引き上げていた。
英規制当局の規定により、武田はシャイアーに対し25日午後5時(日本時間26日午前1時)までに正式に買収意思を表明する必要があった。
シャイアーの発表によると、同社はこの期限を5月8日まで延長することに同意した。これにより、武田はさらなる資産評価(デュー・デリジェンス)を重ね、買収提案を補強することが可能になる。
シャイアーはまた、必要に応じて期限を再度延長することも可能だとした。
同社は、買収合意にはまだ解消すべき課題がいくつかあるとし、それにはシャイアーによる武田の資産評価手続きの完了も含まれると明らかにした。
出所:ロイター
シャイアーは、希少疾患の治療薬に強いと言われています。
売上高は、武田とほぼ同規模である一方、時価総額では武田を大きく上回ります。
買収が実現すれば、武田は日本企業として初めて、世界の製薬企業の売上高トップ10に入る模様。
1株あたりの買収価格は、4月21日(土)の47ポンドから2ポンド上乗せされ、49.01ポンド。詳細は、以下のとおりです。
シャイアーも同社の取締役会が株主に対して修正提案を受け入れるよう求める方針であることを武田薬に伝えたと発表した。両社の発表資料によると、直近の提案内容は、株式による支払いが27.26ポンド(56%)、現金21.75ポンド(44%)となる。武田薬が買収の検討を公表する前日(3月27日)の同社株の終値に60%の上乗せとなる。
買収が実現すれば、日本企業による外国企業買収としては過去最大規模になる。武田薬は先週、金額を引き上げ、現金支払いの割合を増やす提案を出していた。
(出所:Bloomberg)

まだ暫定合意なので、資金調達に関してはもちろん不透明。ただマーケットのウワサでは、英ポンド/円の買いが2~3兆円出るのではないかといわれています。
本件に関して、今後の注目点をまとめると、以下のとおりです。
(1) 武田薬品の株主の動向
(2) 武田薬品・シャイアーの資産査定
(3) 株式交換の価値に関する問題
(4) 対抗的な買収の動きが出るかどうか

(出所:Bloomberg)
まだ暫定合意ですが、買収が成立すれば、マーケットにインパクトを与えるには充分な金額です。
現在のマーケットの話題は、米10年債利回りが3.00%を超えても米国株が堅調さを維持できるのか、つまり、ゴルディロックス(※)相場が継続できるのかどうか、ということが中心。
(※編集部注:ゴルディロックスとは、過熱もしすぎず、低迷もしていない状態のこと)
しかし、上述のとおり、今回の買収劇の金額は巨大であり、その資金調達が為替マーケットに少なからず影響を与える可能性が高まっています。来月(5月)にかけて、武田とシャイアーの大型買収の報道、そして、英ポンド/円の行方に注目です。
※【お知らせ】来週5月3日(木)の「ヘッジファンドの思惑」は、休載させていただきます。何卒ご了承ください。
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