■米ドル/中国人民元は天井形成を示唆!?
米ドル/中国人民元は、6月14日(木)から上昇(米ドル高・中国人民安)トレンドが続いていましたが、7月3日(火)に中国人民銀行(中国の中央銀行)総裁が、「人民元を均衡の取れた水準で維持する」と発言しました。
これにより、中国人民元安は反転し、米ドル/人民元は上ヒゲが長い、天井のような形状となりました。
(出所:Bloomberg)
米中の貿易戦争が市場のテーマとなっており、報復関税合戦となっています。中国が、中国人民元安に誘導しているとの観測があったものの、中国人民銀行総裁がそれを否定したことで、それまで貿易戦争懸念で軟調だった株式市場も、反発し始めています。
■オセアニア通貨の底入れ判断は時期尚早
豪ドルやNZドルも、これまで貿易戦争懸念で売られていましたが、同じように反発してきています。
【参考記事】
●リスク回避でも今一つ円高にならず。豪ドルよりNZドルを売る方が良いと考える理由は?(7月3日、バカラ村)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足 )
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 日足)
ただ、これで米国と中国との貿易戦争が終わったわけではなく、11月の米中間選挙に向けて、トランプ大統領は貿易戦争を仕掛けてくると思われることから、株式市場やオセアニア通貨が底をつけたと考えるのは、時期尚早かと考えています。
■ユーロ/米ドルは1.20ドルを目指す展開へ
ユーロ/米ドルは、1.15ドルのサポートが機能しており、1.17ドルのレジスタンスも超えて、1.1790ドルまで上昇しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ECB(欧州中央銀行)関係者の話として、「ECBの一部のメンバーは、2019年末の利上げは遅すぎると認識している」とする内容が伝わったことや、イタリア財務相が「ユーロ離脱は誰も望んでいない」と発言したこともあり、ユーロは上昇しました。
また、米国がEU(欧州連合)から輸入する自動車に関税をかけることを検討していましたが、「米・EU間の自動車関税をゼロにする案」が出てきたことも、ユーロ買いの動きにつながっています。
ユーロ/米ドルは、テクニカル的には1.15ドルが強いサポート水準で、そこを下回らない限り、上昇する可能性があるという考えは、変わっていません。
ユーロを積極的に買うほどの材料がないことから、すぐに上昇するような状況ではないですが、ユーロ/米ドルは昨年(2017年)の7月から約半年間ほど、1.15~1.20ドルを中心としたレンジでもみ合いをしていたこともあり、1.20ドルのレンジ上限を目指す展開になるのではないかと考えています。
【参考記事】
●注目はFOMCのドットチャートとECB理事会。ユーロ/米ドルは1.20ドル狙いの買いが良い(6月12日、バカラ村)
●ファンダメンタルズ的には売りでもなぜ買いなのか? ユーロ/ドルは1. 20ドルへの上昇も(6月26日、バカラ村)
(出所:Bloomberg)
■米ドル/円は2円幅のレンジで1カ月以上も膠着…
米ドル/円は2カ月半ほどの期間、約3円幅のレンジでもみ合いが継続しています。直近1カ月以上の間は、109.19円~111.13円と、約2円幅のレンジ内で推移しています。
(出所:Bloomberg)
2円と言うのは、ボラティリティのある日なら1日で動く値幅ですが、その狭い値幅内での推移が、1カ月以上も続いています。
これは、貿易戦争懸念から、高値を買い上げる参加者がいないことと、下がればM&Aの買いが出ているということもあって、膠着した推移が続いているためです。
今年(2018年)3月からの上昇トレンドラインは、現在、110.00円あたりまで上がってきており、長期の下降トレンドラインは、111.70円あたりまで下がってきています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■動き出す可能性大! ブレイクした方向へついていきたい
以下は米ドル/円の日足チャートです。
(出所:サクソバンク証券)
ボリンジャーバンドは、すでにスクイーズ(収束)になっています。もみ合いが長く、ブレイクし出すと、そのままトレンドができる可能性がある状態となっています。
また、過去にADX(※)が10台まで下がると、そこからまもなくしてトレンドができていることが多いのですが、今回もADXは同じような水準まで下がってきています。
(※編集部注:「ADX」とはAverage Directional Indexのことで、オシレーター系のテクニカル指標の1つ。一般的には指数が低水準なら相場がもみ合っていることを示し、指数が上昇しているときはトレンドが発生していることを示していると解釈される)
こうした点からも、米ドル/円はもうそろそろ、動き出す可能性が高いように考えています。
通常、トレード面では、ブレイクした方へついていくのが良いことになりますので、このあとブレイクした方向へ、ポジションを傾けるのが良いのではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円は3年続いたレジスタンスラインをブレイクする準備完了! 買うなら今でしょ!?(7月6日、陳満咲杜)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)