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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

トランプ政権の対中通商政策で右往左往。
米ドル/円が112円台まで上昇した理由は?

2018年09月17日(月)15:54公開 (2018年09月17日(月)15:54更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■トルコ中銀は6.25%の利上げを実施

注目されていたトルコ中央銀行の政策金利は市場の期待を上回る6.25%の利上げとなりました。


「エルドアン大統領の横やりが入るから大幅利上げは難しい」との不安を払拭したせいか、トルコの「プロキシー」(代替)とされていたユーロが買われましたね。

 

ユーロ/米ドルは一時、1.17ドルのレジスタンスを突破しています。

トルコ政策金利

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

トルコの動向は市場のセンチメントには影響するのでしょうが、ロンドンの銀行に勤める友人に聞くとトルコ不安をユーロ売りでヘッジしようという動きはそれほど大きくないようです。

■米中通商協議を中国が拒否?

焦点はやはりトランプ政権の通商政策。先週(9月10日~)も2000億ドルの対中追加関税や米中通商協議のヘッドラインで右往左往しています

【参考記事】
デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!(9月13日、西原宏一)

先週(9月10日~)は米中通商協議再開とのヘッドラインが出てテールリスク後退かとセンチメントが好転する兆しもあったのですが、週末になってウォールストリート・ジャーナルは「中国が提案拒否検討」との一報を掲載していますね。

■上海総合指数の「2638ポイント」に要注意!

注目しているのが上海総合指数の2638ポイント。2016年1月につけたチャイナ・ショック後の安値です。


ここを割ってしまうとサポートらしいサポートがありません。公的資金が入っているのか、どうにか持ちこたえていますが戻りも弱い。


アメリカからの提案は中国にとって渡りに船だったはずですが……。推移に注目したいですね。

【参考記事】
デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!(9月13日、西原宏一)

上海総合指数 週足
上海総合指数 週足

(出所:Bloomberg)

■新興国からユーロへ資金の流れが続く

米ドル/円は112円台を回復しました。一目均衡表では日足も週足も三役好転。このままだと月足でも雲を明確に上抜けます

米ドル/円 月足
米ドル/円 月足

(出所:Bloomberg)

ユーロ/米ドルが1.17ドル台へ上昇し、同時に米ドル/円も112円台へ。

 

ユーロが買われていることになりますが、この対談でも繰り返しお伝えしている「新興国からユーロへ」資金の流れが続いているのだろうと思います。

【参考記事】
FRB議長が利上げの終盤を印象づけた!? 新興国から流出した資金が向かう先は…?(8月27日、西原宏一&大橋ひろこ)

先週(9月10日~)は米10年国債利回りも上昇を続けていました。「米金利上昇から米ドル/円が買われている」との見方もできますよね。

米長期金利(米10年物国債利回り) 4時間足
米長期金利(米10年物国債利回り) 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■なぜ、米ドル/円は112円台まで上昇したのか?

ただ、米10年債利回りが3%を超えて3.2%以上まで上がっていくかというと、そこまでのイメージもありません。


むしろ、ルネサスエレクトロニクスが7000億円で米半導体メーカーを買収すること、アルタバ(旧・米ヤフー)がヤフー・ジャパンの株式を4800億円で売却すること、この2つのニュースが影響しているのかもしれません。

 

合計1兆円を超える巨額の玉が為替市場に入っていたのだとすれば先週(9月10日~)、112円台への上昇もうなずけます。


【参考記事】
米長期金利に3%上抜けの勢い感じず…。 短期的な上昇はあっても米ドル安は不変!(9月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

もしそうだとすれば、ルネサスとアルタバの実需玉が今週(9月17日~)も出てくるのか――。


米ドル/円が米金利との相関で上昇したのでないのならば、実需玉が出切ってしまったあとにストーンと下げる可能性もありますね。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

9月21日(金)にはFFR(日米通商協議)が開催されます。メキシコや韓国はそれぞれ通貨安誘導を控える為替条項をのまされており、「日本も…」との連想が働きやすくなっています

9月20日(木)には自民党総裁選がありますが、安倍首相の3選は確定的ですし、23日(日)から28日(金)まで訪米し日米首脳会談を行なう予定です。


その安倍首相は昨日(9月16日)、NHKの討論番組で「(トランプ米大統領は)最初、私と会って以来は為替について日本を攻撃したことはないだろうとこう思います」と話していました。この発言を真に受ければ、日本に対する為替条項はないのでは、とも推測できます。

一方でトランプ大統領は「私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう」とも話していますから、油断はできないですね。


トランプ政権について気になるのは『Fear』。ウォーターゲート事件で活躍したジャーナリストがトランプ政権内部の高官が内幕を暴露した書籍です。発売前に100万部を印刷したベストセラーなのですが、問題は内容ではなく、誰が情報をリークしたのか


これでトランプ政権が倒れるとは思いませんが、少し混乱することがあるかもしれません。

■「米中間選挙アノマリー」に要注意!

11月6日(火)には米中間選挙を控えていますが、これまでのアノマリーでは選挙前に株価が下落し、通過してから上昇する傾向があります。


来月(10月)までは株価の動向に警戒したほうがいいのかもしれないですね。

いずれにせよ、「新興国からユーロへ」という資金の流れは継続しているのでしょう。

 

ユーロ/米ドルは上目線ですし、米ドル/円もレンジが続いていますが、米中間選挙前ということもあり注意したいのは下サイドですね。

(構成/ミドルマン・高城泰)

【お知らせ】来週9月24日の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」は休載にさせていただきます。何卒、よろしくお願いいたします。

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