■利上げサイクル「終盤戦」を印象づけたパウエル講演
8月24日(金)に行われた、ジャクソンホールシンポジウム(※)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演は、メディアにより受け止め方に濃淡がありますね。
ハト派寄りだったのは、日本経済新聞。「利上げの打ち止め時期が近づいたと示唆した」と書いていますが、ウォール・ストリート・ジャーナルは「段階的な利上げの正当性を主張し、FRBの動きが遅すぎたり早すぎたりすることが景気拡大を阻んでいるとの批判をはねつけた」として、ハト派な印象はありません。
西原さんはどう見ましたか?
(※編集部注:「ジャクソンホールシンポジウム」とは、米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される、カンザスシティー連銀主催の年次経済シンポジウムの通称。世界中の中央銀行総裁や金融関係者の多くが参加するイベントのため、毎年、市場参加者から高い注目を集めている)
物価の見通しについて慎重でしたし、ハト派寄りだったのではないでしょうか。
パウエル講演を受けて、米10年債利回りは低下。ユーロ/米ドルでは米ドル安が進みましたから、市場はハト派と受け止めた人が多いようです。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
今回のパウエル講演は、「利上げサイクルが終盤に近づいていることを印象づけた」と、まとめられそうですね。
次回、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げは決定的ですが、12月となると、見方は半々に割れています。
「利上げはあと何回?」と、利上げサイクルの終焉を意識し始めると、米ドル安への動きが始まるのかもしれません。
2015年12月に利上げサイクルが始まったときも、それまでに織り込みが進んで、米ドルが買われましたから。
■8月15日に相場が一斉転換!?
市場が先々を織り込んでいくことを思えば、「来年の利上げは難しそうだ」と市場が織り込み始めるとともに、米ドル安が進むのでしょうね。
それが今週(8月27日~)、来週(9月3日~)だとは限りませんが、利上げサイクルが終盤だということは、意識しておきたいですね。
今週は経済指標やイベントの少ない1週間ですが、金融政策に関連しそうなのが、30日(木)のPCEコア・デフレーター。念のため、見ておきたいですね。
ユーロ/米ドルなどのドルストレートやドルインデックスは、8月15日(水)に天底をつけています。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
また、ビットコインも8月14日(火)に、一時6000ドルを割り込んだものの、6600ドルまで戻してきました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/米ドル 日足)
これが米ドル高の修正なのか、米ドル安への転換なのか、どう考えますか?
ユーロ/米ドルで考えると、8月前半、ユーロはトルコリラのプロキシー(代替)として売られ、スペイン経済やイタリア政局への不安なども重なり、1.13ドルをつけました。
ユーロ/米ドルの年初来高値は、1.25ドル台。すでに、1200ポイントも下げています。ECB(欧州中央銀行)の利上げが来年(2019年)8月以降へとずれ込んだことが下落の大きなきっかけでしたが、その織り込みも一巡した印象ですね。

(出所:Bloomberg)
(次ページでは新興国の状況と今週のトレード戦略が…)
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