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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

マスコミが「次回の大暴落は必至」と断言
している間は安泰。円安・株高はまだ進む!

2018年09月21日(金)16:42公開 (2018年09月21日(金)16:42更新)
陳満咲杜

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■米ドル安、円安のトレンド継続、日本株高も一段と強まる

米ドル安・円安のトレンドは続いている。また米株高に追随する形の日本株高も一段と強まり、総じてリスクオンの環境にあることが示唆されている。

 リスクオンの環境にあることは重要だ。というのも、本コラムが繰り返し指摘してきたスタンス、すなわち日本株買い・円売りの戦略は、リスクオンの環境に依存しているからだ。が、こうした見方についてはこれまで懐疑的な意見が多かったし、現在でも半信半疑の方が多いのではないかと思われる。

【参考記事】
米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?(2018年9月14日、陳満咲杜)
トランプならやりかねない。米政府がドル売りの為替介入!? その時はドル買いの好機だ!(2018年8月31日、陳満咲杜)

 それにはいろいろな理由があるが、一番よく語られているのは米中対立や米中貿易戦争のリスクであろう。確かに、米中貿易戦争は緩和するどころか、一段と激化している。

 しかし、皮肉にもトランプ米大統領が2000億ドルの追加課税を表明した途端(18日)、本家の上海株さえ反発し、日経平均は大きく上昇してきた。

上海総合指数 日足
上海総合指数 日足

(出所:Bloomberg)

日経平均 日足
日経平均 日足

 

(出所:Bloomberg)

■市場の解釈はいろいろ出ているが、要は株価次第

 相場は理外の理、事前どころか、事後でもすべてを究明し、また完全に説明できるとは限らないから、逆に事後にて理屈を立てて説明しまくる者は、信用できないと思う。が、世の中には事後説明を生業とする者がかなり多いのも事実である。これはほかならぬ、事後説明を聞きたいニーズが強いからだ。

 問題はその事後説明、また解釈が役に立つかどうかであるが、その前提条件である解釈自体が正しいかどうかについて、実はよくわからない場合も多い。

 たとえば、9月18日(火)の上海株の反転について、よく聞かれた解釈は「米中貿易摩擦懸念が重石となったものの、景気刺激策への期待から中国中鉄や中国交通建設などインフラ関連が大幅高…」というようなものだった。

 また、日本株の上昇については「米の対中追加関税発動が経済に配慮した点を好感した」と説明され、同日の米国株の反発は「米中が相互に追加関税発動を発表する中、材料出尽くしとの解釈から幅広いセクターが買戻された」と理由づけられた。

 こういった説明や解釈自体、正しいかどうかはもはや問題ではない。強調したいのは、これらはすべては後解釈であるということ。要は株価次第だ。

 仮に株価が下落していくと、当然のように、米中貿易戦争リスク云々が大きく語られ、また正当化されるだろう。マーケットに関するコメントの大半はそういう性質のものと悟るべきだ。

■「リスクオフの環境ではない」ことが大前提だった

 しかし、同じファンダメンタルズ分析でも、本質的な部分を見つめれば、事前にこういった市場の反応をある程度、予測可能だった。

 本コラムで繰り返し指摘してきたように、基本的には米利上げサイクルが当面続き、また2018年内に2回もの利上げの予測が正当化される中では、米国株の値崩れはないはずだ。

【参考記事】
米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?(2018年9月14日、陳満咲杜)
トランプならやりかねない。米政府がドル売りの為替介入!? その時はドル買いの好機だ!(2018年8月31日、陳満咲杜)
米国株の強気相場史上最長がリスクオンを裏付け! 「8月の円高」はもう終わったか(2018年8月24日、陳満咲杜)

 そして、米国株が崩れない限り、リスクオフの環境ではないから、いずれリスクオンのムードが高まり、外部諸要素の影響があっても、それは限定的なはずだった。

 前述のような解釈の中、「材料出尽くし」がもっとも本質に迫る理由であれば、その前提条件は間違いなく「リスクオフの環境ではない」ことに尽きる。

■テクニカル的に見れば日経平均上昇の予測は簡単だった

 さらに、より大事なアプローチはやはりテクニカルの視点である。

 上海株の反転にはそれなりの根拠があったが、本コラムではこれまで提示していなかったので、今さら持ち出すと、やはり後解釈と疑われる恐れが大きいから、日本株のみを例として挙げよう。

 日経平均のチャートは以下のとおりである。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 日本株の上昇は、明らかに上方ブレイクしてから加速した。上方ブレイクという言い方自体、その前に保ち合いがあったことを指している。

 フォーメーション的には、日経平均は明らかに「複合型三尊底」を形成していたので、いったん上放れを果たすと、大きく上昇し、また値幅が拡大したのも納得できるわけだ。

 実際、日経平均は9月19日(水)まで4連陽で、4取引日で1000ポイントの上昇幅を達成し、テクニカルアナリシスの教科書の範例になれるほど「きれいな」チャートを形成していた。

 ゆえに、日本株の上昇は見込みが高く、また相場の理に合っているから、前回の本コラムで指摘した煮詰まりつつある日経平均もそろそろ本格的な上放れを果たすだろうという推測が当たったとしても、別に大したことではないはずだ。

【参考記事】
米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?(2018年9月14日、陳満咲杜)

 しかし、相場というものは、大きく上昇、また大きく下落する時、必ずと言っていいほど勝者のみでなく、それに比例する敗者がいることを忘れてはいけない。日経平均の急伸は、必然的にショートカバーが伴ったと推測され、また、ショートカバーがこれからも発生するだろう。

 なにしろ、米中貿易戦争や、これから行われる日米通商交渉などのリスク要素を理由にして、トレンドに疑心暗鬼な者、また逆張り派が多い時に限って、実はトレンドはよく推進するものだからである。

 執筆中の現時点で米国の株価指数、S&P500はまた史上最高値を更新…

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