■対中関税第三弾は2000億ドル相当に10%!
米中の貿易戦争は継続しており、米国が中国へ第三弾となる2000億ドル相当の追加関税を決める可能性が高まっています。
関税率は25%になるのではないかとされていましたが、経済への影響を考慮して、10%になる可能性も出てきています(※)。
この点では、リスク回避の影響は緩和されていると言えます。
(※編集部注:本記事の寄稿後、9月18日(火)の東京時間早朝に、トランプ米大統領は中国からの輸入品、約2000億ドル相当に10%の追加関税を発動させると発表した。実施は9月24日(月)から。また、2019年には関税率を2倍超へ引き上げることもあわせて発表した)
■今週は日米通商協議。でも、株式市場は楽観的
今週(9月17日~)は、中国だけでなく、日本に対しての通商協議も注目されます。
9月21日(金)に、日米通商協議が行われ、9月25日(火)には、日米首脳会談が予定されています。
ここまでは、中国がメインでしたが、日本との通商協議も再開されるため、為替市場や日経平均にも、影響が出てくる可能性があります。
普通に考えると、これらのイベントが近いと、リスクを取りにくいことから、株式は買いにくいものです。
ただ、実際には日経平均は強く、2月以来の高値を更新してきています。
(出所:Bloomberg)
先週(9月17日~)、トルコ中銀が6.25%の利上げを行ったことも、リスク回避の後退となって、株式市場に好影響を与えているとも言えますが、それ以上に楽観的な動きをしています。
【参考記事】
●トルコ中銀は、6.25%利上げで満額回答! トルコリラ/円が20円超えを目指すには…!?(9月14日、エミン・ユルマズ)
■米ドル/円はレンジ上限へ。テクニカル的には強い
株式市場が堅調な動きをしていて、さらにM&Aに絡んだ実需の買いもあり、米ドル/円は一時、112円台まで上がってきています。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円は、110~112円を中心としたレンジで約2カ月、もみ合いが続いていますが、そのレンジ上限まで来ていることになります。テクニカル的には、まだ強い状況にあります。
【参考記事】
●トランプ政権の対中通商政策で右往左往。米ドル/円が112円台まで上昇した理由は?(9月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
■米ドル/円を売るなら来週以降が良さそう!?
前回のコラムでも書きましたが、ここまでの米ドル/円は、中期では売りで、その売り水準として、112円台から113円台を考えていました。
【参考記事】
●米ドル/円、112円~113円台では売りか! 対中関税と中国株の動向がカギを握る!?(9月11日、バカラ村)
その水準に入ってきましたが、日米首脳会談を前に堅調な動きをしていることもあり、今週(9月17日~)に売るのは、まだ早いのではないかと考えています。
9月26日(水)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、利上げが確実視されています。
過去のFOMCでは、利上げを行ったときの米ドル/円は、その後に下がっていることもあるため、来週(9月17日~)までは、売るのは待った方が良いのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
11月の米中間選挙が近くなると、それぞれの陣営から、相手の政党を攻撃するような材料も出やすく、それが株式市場を軟調にさせやすいため、米ドル/円も上値が重くなりやすいと考えています。
【参考記事】
●米中間選挙前の米ドル/円は下がりやすい! 2000億ドルの対中関税は米国にも悪影響!?(9月4日、バカラ村)
したがって、米ドル/円を売るのであれば、来週(9月24日~)以降にした方が、良いのではないかと考えています。
■ユーロ/米ドルは1.18ドル台半ばへの上昇に期待
ユーロ/米ドルに関しては、買い方向という考えは変わっていません。
現在は、エリオット波動で修正C波動の途中と考えており、まだ上昇する可能性があると考えています。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/英ポンドが、上昇チャネルを下に切れ、まだ下落する可能性があることから、ユーロを買うよりも、英ポンドを買う方が妙味があるのですが、英ポンドはBrexit(英国のEU離脱)交渉のヘッドラインで乱高下しやすい状況です。
(出所:Bloomberg)
ドルインディックスは、8月15日(水)に天井を付け、8月28日(火)にいったん下げ止まりましたが、その下げ幅と同じだけ今回も下げるとすると、93台前半まで下がることになります。
【ドルインデックスに関する参考記事】
●米ドル全体に賭けろ! FX界の日経平均=ドルインデックスを取引する方法があった!
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルであれば、1.18ドル台半ばあたりまでの、上昇が見込めることなります。
ユーロ/米ドルは、まだ1.1500~1.1750ドルのレンジ内で推移していますが、1.18ドル台半ばまでの上昇も、期待できるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
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