■米国が日本へ「為替条項」を要求!
先週(10月8日~)から世界同時株安の様相を呈しています。
日経平均は10月2日(火)の高値2万4448円から2000円超の下落、NYダウも先週(10月8日~)後半2日間で1377ドルの急落、上海総合指数は3年11カ月ぶりの安値をつけています。
【参考記事】
●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(10月11日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
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そこへ来て、週末にはムニューシン米財務長官から、日本に為替条項を要求するとの発言が飛び出しました。
円高警戒が高まる中で始まった今日(10月15日)の米ドル/円ですが、ほとんど反応していません。
日米が通商協議を行なっている最中に円安が進むと困るのは日本。114円を超えてくるようなことがあっても、こうした発言への警戒で落とされるのでしょうが、かといって下がるわけでもない。膠着しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
米ドル/円相場は意外としっかりですが、日経平均は下がっています。今日(10月15日)前場の下げ幅は、一時400円を超えました。
為替条項とともに、サウジアラビア人ジャーナリストの「失踪」に対する警戒も原因のようで、サウジアラビア政府との共同出資でファンドを設立したソフトバンクが大きく売られています。
サウジアラビアの証券取引所では週末に、一時7%を超える急落となっており、オイルマネーがリスク資産から引き上げることへの警戒から日経平均が下げているのかもしれません。
■サウジアラビアへの経済制裁浮上で日本株急落
サウジ政府に批判的だったジャーナリストが、トルコのサウジアラビア総領事館から失踪した事件、影響が拡大していますね。
暗殺されたのでは?との憶測が高まり、アメリカからは経済制裁発動とのニュースも出ています。
サウジでは「砂漠のダボス」(Davos in the Desert)とも称される国際会議が開催予定なのですが、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOをはじめ、フォード・モーターやウーバーなど出席キャンセルが相次いでいるようです。
サウジアラビアと各国が距離を置き始めており、この件が原油価格に、どんな影響を与えるのかにも注目です。
(出所:Bloomberg)
■中国は為替操作国に認定されるのか?
本日(10月15日)は、米財務省から為替報告書が発表される予定です。焦点は、中国が為替操作国に認定されるかどうか……。
認定されれば上海株の下落を誘うでしょうし、豪ドルにもネガティブ。認定されないことで巻き戻され、リスクオン的な動きを予想する声もありますが、そのためには認定を前提に売り込まれていることが必要です。
今回、そうした動きは見られなかったので、認定されなければ大きな反応はないのではないでしょうか。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
為替操作国認定のカードを今切ってくるかどうかについては見方が分かれていますが、仮に、今回は認定されなくても、認定基準条項を変更するなど中国を今後、操作国認定しやすくするんじゃないかという予想もあるようです。
■米中冷戦、メルケルの苦境、ゴールドへの逃避
一方で、先週(10月8日~)から話題になっていたのがペンス米副大統領の演説。安全保障や民主主義、あるいは知的財産権など、さまざまな分野で中国への警戒感を示したものです。
米中間の対立が貿易問題にとどまらない、冷戦の始まりを告げた演説だったと受け止める意見も出ています。
今日(10月15日)になってマティス米国防長官の交代をトランプさんが示唆しましたし、政権が一枚岩ではない印象を受けますよね。
昨日(10月14日)、投票があったドイツ・バイエルン州選挙でも与党が大敗しました。不透明感が、また高まっているようですね。
メルケル独首相の立場が悪化しますから、ユーロのマイナス要因ではありますね。
注目したいのが、ユーロとの相関性がある金(ゴールド)。金先物の投機筋ポジションは、過去最高レベルにショートが積み上がっていました。
しかし、先週(10月8日~)からショートカバーが始まったようで、一目均衡表の雲の上へと浮上。
(出所:Bloomberg)
また、金ETF市場にも、先週(10月8日~)から資金が戻ってきています。世界同時株安により、金へと逃避する資金も多いようですし、金の上昇が続けば相関性のあるユーロも上昇しやすい、ということになりますが……。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ユーロ圏ではイタリアの財政や今回の選挙など悪材料が出てくるのですが、ユーロは下がりきらない。
10月17日(水)には、Brexit(英国のEU離脱)交渉の大詰めとなるEUサミットを控え、予想しづらいところはありますが、さまざまなリスクを内包しながらも、ユーロが下がりきらないということは、アップサイドの可能性の方が高いのかなと思います。
■米ドル/円と豪ドル/円を戻り売り
今週(10月15日~)の戦略は、どう考えますか。
豪ドル/円の戻り売りでいいのでしょう。ただ、豪ドルは今年(2018年)ずっと売られてきました。これから売るのなら、戻りを丁寧に待った方がいいでしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
同じく、米ドル/円も戻り売り。ボラティリティが少ないので難しいのですが、どこかのタイミングでガクッと下がるのでしょうし、株価が世界的に脆弱になっている今は、下がりやすい環境となりつつあります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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