■米金利上昇でも株安で米ドル/円は反落
市場が注目しているのは、米長期金利の上昇と、その影響が株式市場にどの程度あるのか、その他には、Brexit(英国のEU離脱)協議や米中の貿易戦争です。
この中でも、特に米長期金利の動向が注目される内容となっています。
米長期金利は、3.12%の高値を前に、3.02~3.11%台で約2週間ほど、もみ合っていましたが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が中立金利を上回る利上げの可能性について発言したことや、米国の失業率が3.7%と、48年ぶりの水準まで低下したこともあり、3.24%台まで上昇しました。
(出所:Bloomberg)
米長期金利の上昇に連れるように、米ドル/円も114.54円まで上昇しましたが、株式市場が軟調に推移すると、米ドル/円はリスク回避の動きとなって、昨日(10月8日)は112.81円まで下落してきました。
【参考記事】
●米失業率48年ぶり低水準で米金利急騰! でも、米ドル/円が上がらないワケとは…!?(10月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
■米ドル/円は重要レジスタンスの114円台へ
米長期金利が上昇するのであれば、米ドル高となりますが、米長期金利の上昇によって株式市場が下落すると、円高にもなります。
また、米ドルの調達コストも上昇しているため、この点は米ドル高の材料となります。
米長期金利の上昇が緩やかであれば、株式市場への影響は軽微となり、そのときは米ドル/円は上昇しやすいと思いますが、現在の米ドル/円は、114円台の重要なレジスタンスに差し掛かっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■投機筋のポジション動向が調整を示唆!?
CFTC(全米先物取引委員会)が発表するIMM(国際通貨先物市場)のポジション動向では、投機筋の米ドルに対する円売り越しが、約11.4万枚まで偏ってきました。
昨年(2017年)7月は約12.7万枚まで、11月には約13.6万枚まで偏りました。
※CFTCのデータを基にザイFX!が作成
両方とも、米ドル/円が114円台のレジスタンスに差し掛かったときに、円売りに偏っており、その後は、調整の動きとなっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
今回は、昨年(2017年)と比較すると、まだ円売りが積み上がる余地はありますが、米ドル/円は114.54円まで上昇しており、ほぼ同じような水準となっています。
そのため、今回も調整する可能性があるのではないかと考えています。
【参考記事】
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?
●IMMの円売り越し13.6万枚! この数字が10万枚を越えると米ドル/円は調整しやすい(2017年11月21日、バカラ村)
■過去の上昇とその後の調整を振り返ると…
今年(2018年)3月からの米ドル/円には、3回の上昇と、その調整の動きがあります。
(出所:Bloomberg)
1回目は、3月安値104.63円から111.39円まで約6.8円上昇し、その期間の日足の本数は41本となります。そして、そのあとに約3.3円の調整の下げとなっています。
そして、2回目は5月安値108.11円から上昇を始め、113.17円まで約5.1円上昇した期間は、日足で38本となっています。その後は、約3.4円の調整の下げをしています。
今回は、8月の安値109.77円から上昇し、直近の高値114.54円が目先の天井と仮定すれば、約4.8円の上昇となり、日足での上昇期間は33本となります。
■米ドル/円は111円台前半まで調整の下落か
過去2回の動きと比べると、値幅としては、まだ上値余地があり、期間もまだ少し早いです。
ただ、114円台ということやポジションの偏りからは、目先は調整が始まっても良いような状況です。
前回2回のときの調整の下げが、約3.3~3.4円となっていることから、まずは、111円台前半までの下げがあるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
米ドル買い材料もあるため、ジグザグを形成しながらの推移となりやすいので、米ドル/円は、戻り売りで良いのではないかと考えています。
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