■NYダウ急落は一方的な上昇の反動
10月10日(水)、米国の株式市場が総崩れとなりました。
NYダウは、前日比831.83ドル安の25598.74ドルと、大幅な下落のまま引けを迎えています。

(出所:Bloomberg)
下落を誘引する直接的な材料が、あったわけではありません。端的に言えば、今までの強気相場の調整です。
NYダウは、7月頃から、ほぼ一方的な上昇を続けてきて、直近では史上最高値を更新していました。その反動が今、出ているということです。
■金利上昇が株の下落要因であることを確認
こうした調整が起きている原因として考えられるのが、米国の長期金利の動向と、トランプ米大統領が進めてきている、他国との関税競争への懸念です。
米国の10年物国債の利回りは、今年(2018年)のこれまでの高値圏であった3.1%台を、完全に上に抜けてきています。

(出所:Bloomberg)
米国の経済状況が好調であることが、長期金利上昇の要因であることは当然のことであり、金利水準が高くなってきていることで、米ドル高になる効果も、ここのところ出てきていました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
しかし、一方で、あまり金利が高くなり過ぎると、企業収益の圧迫要因になってくるという、マイナスの面もあります。
経済状況が好調なことを背景に、株式市場が好調だったのでありますが、好調な経済を背景にした金利上昇が、逆に株式市場の下落要因になるという両面を持っているということが、今回の株式市場の動きから、改めて確認されました。
■米中貿易摩擦の影響は第4四半期に表面化!?
もう1つの原因が、関税問題です。
トランプ米大統領の通商交渉に関しては、これまで何度も取り上げてきました。本当の影響が出てくるのは、これからです。
【参考記事】
●雲を上抜けた米ドル/円は113円を目指す! 対中関税第3弾発動でも市場はリスクオン?(9月21日、今井雅人)
●市場に影響与えそうな2つの懸念事項とは? 米ドル/円は110~113円程度のレンジ相場に(9月6日、今井雅人)
トランプ米大統領は、3度にわたって、中国への追加関税措置を講じてきました。
その第3弾の対象となる輸入品の総額は、2000億ドルという、これまでで最大の金額になっていますが、9月24日(月)から、10%の関税措置がスタートしています。
その影響が本格的に出てくるのは、今年(2018年)の第4四半期(10月~12月)の企業業績からでしょう。

米国はすでに計2500億ドル相当の中国からの輸入品に関税措置を発動している。その影響が第4四半期の企業業績に出てきそうだというのが、今井氏の考えだ。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
株式アナリストの中にも、第4四半期の業績悪化を懸念する声が、これから出てくるかもしれないので、今後、注意しておきたいと思います。
■米ドル/円は想定していたとおりの調整へ
ところで、今回の急落が、今後の下落相場始まりの端緒になるとは考えていませんが、これからすぐに、また強気相場に戻るということも難しくなってきたのではないかと思います。
為替相場ですが、IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向を見ると、投機筋の円に対する米ドルのロングポジション(=円の売り越し)が積み上がっています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
それを確認して調整が入り、米ドル/円が多少、下落するのではと考えていましたが、そういう展開となってきました。
【参考記事】
●米ドル/円は短期的に買われ過ぎている! でも、当面は米ドル高。押し目買い方針で(10月4日、今井雅人)
●米ドル/円は111円台前半へ調整の可能性! 投機筋の円売り越しが注目の水準に迫る!?(10月9日、バカラ村)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日足の一目均衡表でも、雲とのかい離幅がかなり大きくなっていたことに加え、MACDをはじめとするオシレーター系のテクニカル指標も、軒並み買われ過ぎを示唆していました。

(出所:Bloomberg)
ポジションが、どちらかに偏って相場が伸びると、調整が入りやすいということを、改めて確認する動きとなりました。
■米ドル/円の111円台は買っても良い水準か
ユーロ/米ドルも、現在のサイクルでは、1つのトレンドが300~400pipsぐらいで終わっていることから、1.18ドル台から下落してきた今回の下値のメドを1.14~1.15ドル程度と考えていましたが、大体、そういう感じになってきています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足 日足)
ただ、米ドルを取り巻く環境を見ると、今は大きく崩れているような状況ではありません。
米ドル/円の111円台は、少しずつ買っても良い水準ではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円は短期的に買われ過ぎている! でも、当面は米ドル高。押し目買い方針で(10月4日、今井雅人)

(出所:Bloomberg)
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