■米ドルの反転時期は、さらに近付いたと想定
この「中立金利をわずかに下回る」という表現は、11月27日(火)の講演でクラリダ副議長も使っていました。
つまり、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に、正副議長が続けて同じ表現を使っているということは、FRBがうまく連携してマーケットに「FRBのスタンス」のサインを送っていることになります。
ともあれ、前回のコラムでご紹介させていただいた「中立金利」に近づく時期が前倒しとなり、米ドルの反転時期は、さらに近付いたと想定しています。
【参考記事】
●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
米長期金利の下落により、株は急反発。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
本邦執筆時点で、米ドル/円は113.40円、ユーロ/米ドルは1.1375ドルで推移。
米ドル/円は114円台ミドル、ユーロ/米ドルは1.1200ドルという重要な節目を超えられず、米ドルは反落しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
■合意なき離脱なら、英ポンド大荒れでメルトダウン状態に
加えて、今週(11月26日~)のマーケットのもう1つ話題は、Brexit(英国のEU離脱)。
11月28日(水)にBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])がBrexitに関して興味深いレポートを発表しています。
BOEの報告書によると、仮に、メイ首相のEU(欧州連合)離脱計画が議会承認を得られずに、合意なき離脱に至る場合、英国経済は第2次世界大戦以降で最悪の不況に陥るとしています。
この報告書によれば、英国のGDPは8%低下。
英ポンドは対米ドルで25%急落し、英ポンド/米ドルは、パリティ(=1.0000ドル)を割り込む可能性が高まるとのこと。
25%の急落とは、極めて衝撃的な数字です。
(出所:Bloomberg)
これだけの衝撃的な報告書がBOEから発表されることの意味は、合意なき離脱は、なんとか避けたいという意図が見え隠れしていると考えています。
ただ、仮に、合意なき離脱になった場合は、まれに見る大相場となり、英ポンドは他の主要通貨に対して、ほぼメルトダウン状態に陥ることとなります。
こうしたBrexitの動向に加え、お伝えしたとおり、FRB正副議長が、「中立金利をわずかに下回る」とコメントしたことにより、米ドルの反転時期がさらに近付いた米ドル/円とユーロ/米ドルでの、米ドル反落の可能性に注目です。
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