■米ドル/円のチャートから、株含めた今後の市況を推測
前回のコラムでは、チャート上における米国株や日本株の底打ちのサインを指摘していたが、同サインを理解するには、まず米ドル/円のチャートを見ていただきたい。
【参考記事】
●米政府がファーウェイ・ショックのタイミングを演出!? 市場も歓迎、株もドル/円も底打ち?(2018年12月7日、陳満咲杜)
なにしろ、理屈は同じなので、米ドル/円の実例をみれば、おのずと株の方も理解できるかと思う。
筆者が配信したレポートをもって説明するが、本文は以下のとおり。
まずは12月7日(金)配信分から。
「オポチュニティ ドル/円・構造の確認3」
(出所:FXブロードネット)
昨日「ファーウェイ・ショック」でドル/円は一時11月20日安値を下回った。同安値の一時割り込みは想定範囲内の出来事とはいえ、やはり構造上の点検が迫られたかと思う。
上のチャートで示すように、10月高値から大型シンメトリー・トライアングルのフォーメーションの構築自体は変わらない。しかし、昨日の一時安値更新を受け、11月高値からジグザグ変動構造と数え、昨日安値をもって一服したわけで、トライアングル内におけるひとつの子波として数えたほうがより自然だとみる。ジグザグ変動構造自体もN字型変動に近く、同可能性を証左しているかとみる。
もっとも、昨日大きく続落したものの、大引けが比較的に高く、日足では「スパイクハイ」のサインをもって、同日11月20日安値に対する一時の更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」の可能性を示した。同サインの点灯が証明されば、結果的に10月26日の罫線が果たした役割と同じなので、これから切り返しをもたらすでしょう。これから米雇用統計の発表があり、再度反落も覚悟しなければならないが、前記内部構造存在の有無を検証する好機にもなるかとみる。
次は昨日(12月13日)に配信したレポートより。
「オポチュニティ ドル/円・構造の確認3」
(出所:FXブロードネット)
ドル/円は大型トライアングル型保ち合いにおり、また上放れの準備段階におる、といった見通しは繰り返し指摘してきた通り、同見方が一段と証左する値動きについて、10日の罫線が再度重要なサインを点灯してくれたとみる。
既述のように、6日の一旦安値トライ、11月安値に対する一時の安値更新に留まり、また比較的に高く大引けしたことから、「フォールス・ブレイクアウト」の疑いが濃厚であった。同見方、10月26日の一時安値更新(同15日に対して)、更にその後の切り返しによって証左され、同じ理屈で6日以降の切り返しが期待されていた。
10日の大陽線、結果的に「強気リバーサル」のサインをもって5日以来の高値で大引け、前日(7日)の小動きと「アウトサイド」のサインを果たしながら、6日安値を下回れなかったから、総合的にみれば、10日罫線自体は「フェイク・セットアップ」のサインとして扱える。従って、ここから余程の材料がない限り、10日安値を下回れないと思う。また、「フェイク・セットアップ」である以上、ここから効用を発揮、再度押しがあっても限定させる上、一気に上放れを果たす可能性も。引き続き強気スタンスで臨みたい。
■ドルインデックスはこれから上値更新しやすい?
前述の米ドル/円の解釈をみれば、足もとドルインデックスが置かれている強気基調も理解でき、またこれから上値更新しやすいことが推測されるだろう。
(出所:Bloomberg)
同じ視点や理屈では、「ファーウェイ・ショック」後の日米株価はともにいったん安値を形成していたが、その安値打診自体が「ダマシ」になる公算は高い。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
前述のように米中対立の一服もあって、年末年始において、英国のEU離脱問題など、まだまだいろんなリスク要素が存在する中(といっても、リスク要素が存在しない環境自体は存在しない)、基本的には米ドル高・株高になりやすいのではないかとみる。市況はいかに。
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