■ドル/円は大型三角保ち合いを上放れ。2019年は125円超へ
冒頭における株の話と同じように、足元では来年(2019年)は円高の予想が多いが、その理屈や根拠の多くは、結局、レート次第の側面が大きく、レート次第でまた変わってくるから、やはり相場自体の構造に専念すべきかと思う。
確かに、今年(2018年)は115円の節目トライに失敗し、3月から形成されてきメインレジスタンスゾーンに拒まれたから、これから円高トレンドへ復帰する、といった理屈もあるが、7月以降の値動きは、すでに大きなブレイクを果たしていたことを見逃せない。
それはほかならぬ、2015年6月高値や2016年6月安値から引かれた大型シンメトリー・トライアングルの上放れである。
(出所:Bloomberg)
この大型保ち合いは、かなり時間をかけて形成してきただけに、そのブレイクの意味合いを軽視すべきではない。
今年(2018年)は115円の節目の壁にいったん拒まれたが、同大型トライアングルの上放れが成立している限り、目先の反落にはおのずと限界があり、また来年(2019年)、反動高でこの壁をいったんブレイクすれば、上昇モメンタムの加速につながるから、来年(2019年)の米ドル/円の高値は、市場の想定より高い可能性も大きい。
仮に来年(2019年)のスタートが111円あたりであれば、今年(2018年)と同じく低い変動率でも120円を超えるから、平均的な変動率(15円程度)なら125円超の上値が期待される。この意味でも、来年(2019年)の見通しに関して、過度の弱気は不要で、また場合によっては一転して楽観的なムードの広がりを想定しておきたい。
■ユーロ/米ドルは大幅に下落した過去のパターンに似ている
もちろん、米ドル/円の上値予想は、米ドル全体と切り離せない。スピードはともかく、米ドル全体はブル基調を維持していく公算が高いとみる。ユーロ/米ドルの内部構造をみれば、わかりやすいので、以下の月足をご覧いただきたい。
(出所:Bloomberg)
歴史は繰り返す。チャート上に示されているように、今年(2018年)の高値を起点としたユーロの下落は、1998年高値から始まったパターンと似ており、また、これからも継続される公算が高い。
過去のパターンの繰り返しなら、来年(2019年)は1.1ドルの節目はもちろん、2016年安値に再接近する可能性さえあるから、ユーロ安の流れは安易に修正されないだろう。
そのほかの主要外貨はユーロと比べて、よりわかりやすいが、基本的には米ドル高がメイン基調なら、主要外貨は対ユーロで強気変動があっても、対米ドルでは弱含みの変動がせいぜいであろう。
EU(欧州連合)離脱問題を抱える英ポンドは、対ユーロでさえ大きく下がるリスクがあるから、場合によっては来年(2019年)、大きく売られる可能性があり、要注意であるとみる。
■ユーロ/円の視点から見ても米ドル/円の上昇が予測される
最後にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の見通しだが、前述のように対ユーロでの関係も重要なので、一概にはまとめにくい。
ただ、クロス円の代表格であるユーロ/円について言えば、実は今年(2018年)は米ドル/円と同じく、記録的に「動かない年」だったから、来年(2019年)はその反動で大きく動く可能性がある。
一方、2008年や2012年の高値、安値から形成してきた大型トライアングルに照らして考えると、ユーロ/円の下落があってもやはり比較的下値は限定され、また、下落一服となりやすいかと思う。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルの下値余地が拡大されると予想しているため、ユーロ/円の見通しがそれと矛盾すると感じられるかもしれないが、仮にそのような市況になれば、それはほかならぬ米ドル/円の上放れを意味するものなので、来年(2019年)はユーロ/円の視点からみても米ドル/円は下放れではなく、やはり上放れになりやすいかと思う。市況はいかに。
本日(12月21日)のコラムをもって今年(2018年)の執筆を終了いたします。今年も大変お世話になり、お礼を申し上げます。それでは皆様、メリークリスマス&よいお年をお迎えください。
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