■米国経済に変調。そもそも、株価上昇は買われすぎだった!?
米国経済が、変調をきたしています。
特に、その動きが顕著なのが、株式市場です。NYダウはこの3週間で、2万5000ドル台後半から2万2000ドル台後半まで、実に3000ドルも下落しています。何が起きているのでしょうか?
(出所:Bloomberg)
そもそもの大きな背景としては、これまで、数年間の株価の上昇が、行き過ぎだったということがあります。
リーマンショックから10年、米国をはじめとして、世界各国の景気は順調に拡大して、株価も堅調に推移しました。NYダウも、史上最高値を更新し続けました。
(出所:Bloomberg)
しかし、一方的な上昇が、永遠に続くわけではありません。どこかで転換はあります。
■FRBの正常化がマーケットに影響を与え始めている
景気拡大が続く中、FRB(米連邦準備制度理事会)はここ2年ほど、金利の正常化を目指して、FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標を引き上げ、量的緩和も縮小して、現在はバランスシートの圧縮を進めています。
今年(2018年)に入って、株価はすでに、頭打ちの傾向を見せていました。どこかで崩れても、おかしくないような相場展開になっていました。
しかし、それでもFRBは、金融の引き締めペースを落としませんでした。そのことが、いよいよマーケットに影響を与え始めているということです。
■思ったほどハト派ではなかったFOMCに失望
先日(12月18日~19日)、今年(2018年)最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利であるFFレートの誘導目標レンジを0.25%引き上げ、2.25%~2.50%とすることを決定しました。今回で、今年4回目の利上げとなりました。
※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
それと同時に発表された、FOMCメンバーの金利予想、いわゆる「ドットチャート」では、来年(2019年)の利上げ回数が、前回9月の3回から、今回は2回へと減りました。
(出所:FRB)
この一連の決定がなされたあとも、株価の下落は止まりません。それは、今回のFOMCに対して、市場はより、ハト派的な決定を期待していたということが背景にあります。
FOMCが開催される前、市場では今回、利上げをしたあと、来年(2019年)はいったん、利上げを停止するという決定を下すのではないかと予想する人も多くいました。
しかし、蓋を開けてみると、2019年の利上げは3回から2回への下方修正に留まりました。それに対する失望感から、株価が売られたということでしょう。
【参考記事】
●逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!(12月6日、今井雅人)
もちろん、米中貿易交渉に対する懸念というのも…
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