■巷の理屈どおりに動く相場はスピードが速い
ところで、相場の理は常に「理外の理」とは限らない。巷の理屈に完全に沿った値動きをする場合もあるし、完全に相反した値動きをする時期もある。
一般論として、巷の理屈どおりに動く相場は材料が出る前にすでに動き、また、そのスピードも非常に速いケースが多いから、一般の投資家は理屈がわかっても初動でついていけず、スピードの速さに戸惑う場合も多いかと推測される。
換言すれば、理屈がわかっても相場の値動きに乗れず、利益を確保できないケースが少なくないようだ。
対照的に、理外の理のように見えた値動きがあった場合は、値動きにいわゆる「ダマシ」が出現し、より戸惑うケースが多いが、いったん「ダマシ」の本質がわかれば、往々にしてより確実なトレードができ、また、途中でも余裕をもって乗れる場合が多い。
最近の好例は英ポンドの相場であろう。
1月15日(火)に英議会によりメイ首相の離脱案が否決されたにもかかわらず、英ポンドはむしろ買われたという「理外の理」を示したから、その後英ポンド買いのトレードはうまくいったはずだ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
値動きのサイン(プライスアクション)の説明は本コラムでも取り上げていたから、おさらいとして参照していただければ、先週(2月3日~)の米ドル/円にも適用されることに気づいていただけるだろう。
【参考記事】
●EU離脱案が歴史的大差で否決されたのになぜ、英ポンドは上昇しているのか?(2019年1月18日、陳満咲杜)
●市場の想定に反したポンド高は何を示す?円高のクライマックスはもう過ぎたのか?(2019年1月25日、陳満咲杜)
米ドル/円の「理外の理」を利用するトレードについて、理屈は2月7日(木)のレポートでもって説明したので、本文を以下に開示する。ご参照いただきたい。
(出所:FXブロードネット)
相場は理外の理。FRBの軌道修正が示されてもドル全体は上昇、ドル/円も切り返しの高値を更新していた。プライスアクションの視点では、切り返しの継続を強く示唆するサイン、新たに点灯されるから、再点検しておきたい。
1月31日108.50までの下値トライ、本来押しの先行を示していたが、その後一転して切り返し、4日にて1月30日高値や1月23日高値を更新したので、強気サインを点灯したとみる。
4日の陰線、弱気「アウトサイド」、或いは「リバーサル」のサインだったので、同日高値の更新があったからこそ、一転して強気サインと化す。その後1月23日高値の更新自体も年初来の高値更新そのものなので、切り返しの継続を強く示唆する値動きといる。
換言すれば、弱気サインの否定や高値更新はファンダメンタルズ上の材料と「逆行」したように見えるからこそ、むしろトレンド延長される蓋然性は高い。従って、新たな弱気サインが点灯されていない内、切り返しの継続を有力視。
もっとも、1月高値を達成してから1月25日まで一旦「インサイド」のサインが形成され、1月25日の陰線、前日の同24日の罫線に対して「弱気リバーサル」のサインでも点灯していた。同組み合わせの反対として、2月4日高値トライしてから昨日まで、一旦「インサイド」のサインを形成、また昨日の陽線、一昨日の形成に対して「強気リバーサル」(またはアウトサイド)のサインを点灯しているから、ここから上放れがあれば、一段と前記見方を証左しよう。
目先GMMAチャートや一目均衡表の「雲」ともに抵抗を示すが、頭打ちなしでは逆にドル/円の堅調が暗示される。この意味でも切り返しは継続される公算。
このように、米ドル/円は上放れを果たしていたから、目先切り返しを継続、また、200日線の111.28円前後を打診する可能性あり、とみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
一方、米ドル全面高の継続自体、米ドル/円にとってプラス要素となりきれないので、米ドル/円の一本調子の上昇は考えにくい。
言い換えれば、「米ドル/円は早晩頭打ちとなり、また、再度反落して『二番底』を形成していく」といったメインシナリオにはある程度の修正はあるものの、基本的にはなお維持される。詳細はまた次回、市況はいかに。
【参考記事】
●「米利上げ継続でも円高、米利上げ停止でも円高」というのはロジック的に矛盾している?(2019年2月01日、陳満咲杜)
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