■為替条項に対する見方は分かれている
先週(4月8日~)、ブレグジット(英国のEU離脱)は10月末まで延期されることとなりましたね。
【参考記事】
●6カ月間延長で、EU離脱日は10月31日に。2度目の国民投票実施はあり得るのか!?(4月15日、松崎美子)
ブレグジットが収まるのを待っていた投資家もいたのでしょう。
4月12日(金)にユーロ/円が急騰したのも、三菱UFJフィナンシャル・グループによるドイツの航空機リース事業買収に伴うオーダーだったようです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
米金利上昇、株高、VIXも安定――リスクオンですし、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が強いですね。
この流れが続くかどうか、重要となるのが今週(4月15日~)の動き。今日(4月15日)からはTAG(日米の物品貿易協定)交渉が始まります。
週末には、ムニューシン米財務長官が日本へ為替条項を求めることを明言しました。為替条項を飲めば日本は円高への対抗手段を封じられることになるため、強硬に反対しているようです。
【参考記事】
●ブレグジット再延期へ? EU首脳会議に注目! 最弱通貨競争!? NZドル/円の売りに妙味が?(4月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
TAG交渉を前に、日本へ為替条項を求めることを明言したムニューシン米財務長官。為替条項を飲めば、日本は円高への対抗手段を封じられるため、強硬に反対しているようだが… (C)Bloomberg/Getty Images
為替条項を警戒する専門家も多いようですね。
米国がメキシコやカナダと結んだ協定でも為替条項が入りましたが、市場はほぼ無反応。そのため、日米で為替条項が盛り込まれても市場に影響しないのではと見る向きもあります。
いずれが正しいのか、市場の反応を見極めたいところです。むしろ今週(4月15日~)、注目したいのがカレンダーですね。
【参考記事】
●スワップポイントが魅力のメキシコペソ投資を徹底解説。為替チャートからわかる見通しは?
■イースターからGWに。誰かが休んでいるほうが動きやすい?
4月12日(金)からはイースターのため、欧米勢が休暇に入りますね。
そして、来週末(4月27日)からは日本が10連休。友人に言わせると、「最近は全員が参加していると動かない、誰かが休んでいるほうが動きやすい」と。
元々は「4月上旬は強い、中旬以降はゴールデンウィーク警戒で要注意」とする人も多かったですよね。
ところが実際は、4月中旬に入って強含んできました。日経平均も年初来高値を明確に更新しています。やや意外感もありますね。
(出所:Bloomberg)
今週(4月15日~)は、まだ上がるかもしれませんが、リスクオンのままイースターから10連休へ突入するようだとヘッジファンドは相場を動かしやすくなりそうです。
■金融政策の方向性の違いから、豪ドル/NZドルはじり高か
コモディティ市場を見ると、原油は高値水準を保っています。ただ、足もとでは株との相関性から、コスト高による経済への悪影響を指摘する声も出てきました。
米金利の反発で米ドル高が本格化すれば、原油などコモディティは調整局面となるかもしれません。金利反発での米ドル高はあるでしょうか。
【CFD取引なら原油にも直接投資できる!】
●NYダウや金にも直接投資できるCFD取引会社を徹底比較!
米ドル/円は112円台を回復しましたが、このまま急騰するような感じはしません。注目したいのはクロス円ですね。
豪ドル/円はレンジを上抜けし、80円を超えてきました。強いチャートですね。
モルガン・スタンレーなどが売り推奨を撤回し、80円超えにはまとまったストップもあったため、もう少し勢いがつくかと思ったのですが、そこまでではありませんでした。200日移動平均線が80.21円にあり、ここを明確に超えてくるかどうかでしょう。
豪ドルなら対NZドルのほうがいいかもしれません。NZドルは年内2回程度の利下げが見込まれる一方、豪ドルは利下げに踏み切るほどではない。金融政策の方向性の違いから、豪ドル/NZドルは、じり高になるイメージです。
【参考記事】
●ブレグジット再延期へ? EU首脳会議に注目! 最弱通貨競争!? NZドル/円の売りに妙味が?(4月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
●NZ中銀のハト派への転換は何を意味する? 混迷するブレグジットの行方が今後の鍵に(3月28日、西原宏一)
●ハト派は米国だけじゃない! 米ドル安より円高を警戒。ユーロ/円の売り戦略を検討へ(3月28日、今井雅人)
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/NZドル 日足)
■ユーロがボトムを形成!? GWに向けて方向性出るか
クロス円はTAG交渉の様子を見ながら、ということになりますか?
最近はブルトラップ(※)になることも多く、上がったからといってすぐ買うとヤラれることも多い。その中で注目しているのはユーロです。
売り材料ばかりの中で下がらず、ポジションも売りに偏っていましたが、イースターに向かって巻き戻しが始まっています。ボトムを形成しつつあるのかもしれません。
イースターやゴールデンウィークに向けて方向性が出てくることもあるため、今週の動きを見ながら判断していきたいと思います。
(※編集部注:「ブルトラップ」とは、相場が上方向へブレイクした直後に、下方向へ反転すること)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)