週末にトランプ大統領がメキシコに関税を課さない方針を示したことで、週明けのマーケットはリスクテークでスタートした。早朝のグローベックスセッションで米国株は大きくジャンプして始まったのだ。
しかし勢いは最初の30分だけで、後はちょっと下げたところでの推移が続いた。ニューヨーク時間に入っても、米国株は上攻めも下攻めもしなかった。ドル円も始めに30ポイントほど上げて始まっただけで、その後の買いでついて行っても決して気持ちの良いロング攻めになったわけではなかった。
ドルが全面高になるためにはドル金利の上昇が不可欠なのだが、株価が上昇していてもドル金利の上昇は見られないのだ。それだけ金融政策に期待するという姿勢が強いのだということだろう。私もドル円をロングで攻めてみたが、同値で処理することが重なった。愉快なトレードではなかった。
S&P先物が2900ポイントの大台を回復してきたが、ここまで来ると史上最高値である2961ポイントが俄然、視野に入ってくる。もうそんなに高過ぎるレベルまで株価は回復してきているのだ。その状態の中で来年の6月までに3回分の利下げを織り込んでしまっているのが、現在のドル金利市場だ。
「予防的利下げ」とはいいながらも、このような環境で利下げしてしまうと、今後の起こりうる環境の激変に対応しきれるのだろうかという疑問が出てくる。
ちょっとでも株価が下がったら利下げしないといけないという習慣が身についてしまうと、それだけで後世の当局者の手足を縛ることになる。あくまでも教科書的に振る舞うことが、役人に期待されていることなのだが。
今週も経済指標ではマーケットは反応しづらいであろう。PPIやCPIでインフレの度合いを確認できたところで、やはりFEDの直近の金融政策の行方のほうが気になるからである。どうしても米中摩擦の動向やG20に向けての要人発言のほうで振らされてしまうことになる。
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