■メキシコ問題の落ち着きによる株反発は調整の動き
今週(6月10日~)前半は、メキシコの問題が一段落したことで株が反発していますが、マーケット参加者の多くは、これを調整と見ているようです。
たとえば、シティバンク。
貿易摩擦は今後悪化し、株や債券、商品に至る金融市場を動揺させるだろうとシティバンクは警告。
シティバンクのシナリオによれば、トランプ大統領はまだ追加関税を課していない中国製品に25%の関税を適用。
米金融当局が利下げしない場合、S&Pは「本格的な弱気相場入し、4月高値から20%安に。
10年債利回りは1.50%に低下。ゴールドは1600ドルに上昇すると予測している模様。
出所:Bloomberg
株が続落するのであれば、米ドル/円は円高に推移するのですが、米大手モルガン・スタンレーも、米ドル/円は下落するというレポートを出しているようです。
市場の楽観は誤りであり、円を買え=Morgan Stanley
「先週の世界的な株式市場の回復により、市場は楽観的なムードであるが依然としてリスクオフの状態にある」
推奨トレードとしては、
米ドル/円 売り
目標=105.00円
ストップ=109.20円
■米ドル/円は104円に向けての下落過程
今週(6月10日~)のマーケットが注目している、もうひとつの報道はトランプ大統領のコメント。
ブルームバーグの報道によれば、6月11日(火)のNY市場では、トランプ大統領が2日連続で米金融当局を非難。
トランプ大統領は米国の政策金利が高すぎるとし、「ばかげた量的引き締めに追い打ちをかけている!彼らは全くわかっていない!緩やかなインフレは美しいものだ」とツイート。
加えて、今回は為替にも言及。
「ユーロとその他の通貨は米ドルに対して下落誘導されている」との不満も示した模様。
このトランプ大統領のコメントにより、ユーロ/米ドルは一時1.13ドル台ミドルまで反発するも、株の下落によりクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が軟調な展開となる中、本稿執筆時点では1.1300ドルを割り込んで推移しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
昨年(2018年)後半は、米国の3回の利上げを織り込んでいた金利先物市場ですが、本稿執筆時点では逆に3回の利下げを織り込みつつあります。
【参考記事】
●米利下げ、年内2回は織り込み済みか! 米ドル/円は107.75円を抜けると104円台へ(6月6日、西原宏一)
これは、米ドル/円の売り要因。
株価は依然として不安定であることも加え、米ドル/円の上値は依然として限定的。
104円台に向けて、下落途中の米ドル/円の行方に注目です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
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