■トランプ米大統領、イラン攻撃を「10分前」に中止
注目度が高まっていたFOMC(米連邦公開市場委員会)は想定以上のハト派に。
結果、米長期金利が一時2%を割り込んで株高・米ドル売りが進み、S&P500は史上最高値を更新しました。
【参考記事】
●7月FOMCの利下げ織り込み度は100%。米国債利回り低下でドル/円は下落継続!(6月20日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
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(出所:Bloomberg)
週末には、トランプ米大統領がイランと軍事衝突の直前だったことを明らかにしていますね。
イラン最高指導者のハメネイ師を交渉のテーブルにつかせたいという思惑も理解できないこともないですが、イランへの「攻撃10分前に私が止めた」とのツイートは緊迫したムードを感じさせます。
トランプ米大統領は6月20日(木)、米軍無人機を撃墜したイランに対する報復攻撃をいったん承認したものの、直前に中止。6月21日(金)には「イランへの攻撃を10分前に止めさせた」とツイートした (C) Chip Somodevilla/Getty Images
トランプさん流のレトリックだとは思うのですが、このままラチが明かないとどうなるのか。軍事衝突は避けてもらいたいですが……。
■米国債もゴールドもビットコインも買われる、注目はNYダウ
地政学リスクも材料となったのでしょうか、ゴールドは節目の1400ドルを超えました。
米長期金利が2%を下回ったことも影響したのでしょうが、ゴールドと相関性があるユーロ/米ドルも上昇しました。
(出所:Bloomberg)
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1400ドルを超えたゴールドですが、昨夏から続いた上昇トレンドは5波目にも見えます。調整が近いのかもしれません。
週末には、ビットコイン/米ドルも1万ドルを突破しました。
香港デモを嫌気した中国系マネーの資産フライトやFATF(金融活動作業部会)が仮想通貨の国際ルールを採択したことなどが背景にあったようです。
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ビットコインは、対円では120万円まで上昇してきましたね。
4月2日(火)の45万円から2か月で約3倍。日足ではさすがに上がり過ぎのシグナルが出ていますね。
(出所:Bloomberg)
米国債やゴールド、ビットコインが買われる一方、リスク資産である米株も史上最高値。
何もかもが買われるというのは、どこかの市場が勘違いしているのでしょうか。それがどう是正されるのか、ですね。
中でも注目されるのがNYダウ。終値ベースで2万7000ドルを抜けてくると世界の風景がガラッと変わりますが、一方でトリプルトップで大崩れする可能性もある。
ひとつピンとこないのは、トランプさんの利下げ圧力です。米大統領選を考えれば今、利下げカードを切らずに来年(2020年)に取っておくのが上策でしょう。
もちろん、FRB(米連邦準備制度理事会)は圧力で利下げするわけではないでしょうが。
(出所:Bloomberg)
■ペンス米副大統領の演説延期。米中合意への期待高まる
6月28日(金)と6月29日(土)に開催されるG20(20か国・地域首脳会合)についてはどう考えますか? 米中首脳会談はどんな話になるのか――。
予想するのは難しいですが、個人的には実のある結果は出ないと思います。ただ、気になるのはペンス米副大統領が演説を「G20後」に延期したこと。
中国への厳しい姿勢を示した昨年(2018年)10月のペンス演説は「新しい冷戦」「事実上の宣戦布告」と受け止められ、株安へとつながりました。
中国への配慮による延期でしょうから、G20での米中合意期待が高まりそうです。
【参考記事】
●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(2018年10月18日、西原宏一)
■RBA総裁発言で豪ドル買い戻しか
そんな中、今朝はRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のロウ総裁の発言が注目されました。
「各国が緩和に動けば、為替相場の効果は相殺される」「追加緩和が実現できる効果には限りがある」との発言です。
市場の想定ほどダビッシュ(ハト派的)ではない発言でした。
今月、利下げされたばかりの豪ドルですが、年内あと2回の利下げが織り込まれています。一方で米国の利下げが始まるのはこれから。
先行して利下げし、売られていた豪ドルの巻き戻しが出るのではないかと思います。
(出所:TradingView)
全般米ドル安、ということですか?
ひとまず豪ドルの買い戻しが先行するのかもしれません。
金融政策面でわかりやすいのは米ドル/円ですが、株高や本邦機関投資家の買いもあり、下げにくい。
米株が下げれば米ドル/円も落ちるでしょうから、慌てず108円台程度までの戻りを待ちたいですね。
今週(6月24日~)はRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])会合も開催されますね。
今回は利下げ織り込みも19%しかなく、据え置きでしょう。焦点は次回に向けたメッセージになりますね。
■与党敗北でトルコリラは窓開け上昇
週末には英首相の最有力候補ボリス・ジョンソン前外相の自宅へ警察が出動する騒ぎもありました。交際相手とのトラブルのようです。
また、改めて、10月31日(木)にはEU(欧州連合)と合意しようがしまいがブレグジットする、とも発言しています。
状況から英ポンドは売られやすいはずですが、先週(6月17日~)は英ポンドが底堅く推移しています。
今月(6月)は欧米勢の半期末。ユーロや英ポンドは特殊玉で乱高下する可能性もありそうなので、ちょっとした動きでトレンドが変わったと考えないほうがいいですね。
トルコではイスタンブール市長選のやり直し選挙もありましたね。
前回同様、野党候補が勝利し、エルドアン政権への打撃に。この結果を好感してトルコリラはギャップアップして始まっています。
【参考記事】
●注目は、やり直しのイスタンブール市長選! トルコリラが固定相場制に戻る可能性って?(6月19日、エミン・ユルマズ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 1時間足)
■米ドル/円は108円台で戻り売り!
今週の戦略は、どう考えますか?
イランや香港デモなどリスクオフ要因は多いのですが、米中合意期待で米ドル/円が108円台へと戻す場面があれば売っていきたいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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