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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

NZ中銀が0.50%大幅利下げのサプライズ!
将来的なマイナス金利は避けられない!?

2019年08月08日(木)16:30公開 (2019年08月08日(木)16:30更新)
西原宏一

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■NZ中銀が予想外の0.50%の利下げを実施

 みなさん、こんにちは。

 8月7日(水)の海外市場では、世界経済の先行き不透明感が増す中で、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])、インド、タイの中央銀行が政策金利の引き下げを決定。

その中でもサプライズだったのが、RBNZ

 8月7日(水)のRBNZの金融政策決定会合に関して、金利先物市場では0.25%の利下げを100%織り込んでいました

 しかし、RBNZの発表は0.25%ではなく、0.50%の大幅利下げ(これで政策金利は1.00%に)。

NZ政策金利の推移

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!が作成)

 RBNZの発表によれば、政策金利の大幅引き下げが雇用とCPI(消費者物価指数)の目標達成には必要とのこと。

 そして、マーケットが驚きを持って迎えたのが、RBNZのオア総裁のコメント。

「われわれは1%だが、他の多くの諸国が1%を下回り、ユーロ圏とスウェーデン、日本がいずれもマイナス金利を採用する状況を見れば、われわれがマイナス金利を使わざるを得なくなる可能性は間違いなくあり得る」

 つまり、将来的にはマイナス金利も避けられない恐れがあることを示唆。

 これにマーケットは驚き、NZドル/米ドルは一時、0.6378ドル、NZドル/円で67.57円の安値まで急落しました。

NZドル/米ドル 4時間足
NZドル/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足

NZドル/円 4時間足
NZドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 4時間足

当コラムで何度か取り上げた、英ポンド/円同様、今回のNZドル/円の下落も、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下値余地をさらに拡大させる要因となっています。

【参考記事】
ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)
ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)

 現在、ECB(欧州中央銀行)や、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])も緩和へとシフトしており、グローバルに多くの中央銀行は金融政策を早急に緩和へとシフトしています

■トランプ大統領がFRBの政策に不満表明

 FRB(米連邦準備制度理事会)も、7月31日(水)に0.25%の利下げを決定しましたが、RBNZを筆頭に、他の中央銀行の緩和政策と比較するとどうも見劣りするのか、FRBの決定に大いなる不満を表明している人物がいます。

【参考記事】
ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)

 それは、トランプ大統領。

 8月7日(水)にニュージーランド、インド、タイの中央銀行が矢継ぎ早に緩和を発表したことを受けて、トランプ大統領が直接FRBを批判するツイートをしています。

「Three more Central Bank cut rates.(また3つの中央銀行が利下げした)」

「Our problem is not China. Our problem is a Federal Reserve .(我々の問題は中国ではない、FRBだ)」

「They must Cur Rates bigger and faster(より大きく早く利下げしろ)」

「stop their ridiculous quantitative tightening NOW(量的引き締めは、今すぐやめろ)」

 トランプ大統領のツイートがFRBに影響を与えるとは思いたくありませんが、8月7日(水)時点の、金利先物市場での9月18日(水)のFOMCでの0.50%の利下げ確率は、43.4%までに上がってきました

 今後、0.50%の利下げ織り込み度がさらに上がってくると、当局としても無視できない状況に陥り、結局、FOMCの決定にも影響を及ぼすのではないかと危惧しています。

 結果、FOMCは9月に0.25%、もしくは0.50%の利下げを決定した後も、粛々と政策金利を下げていくのではないかと想定しています。

 政策金利の順次引き下げは、米金利の低下を誘引し、ひいては米ドル/円の下落要因となります。

■米ドル/円は反発も、100円への下落基調は変わらず

 また、金利先物市場での織り込み度とは裏腹に、仮に米金利が急反発する局面となれば、米国株の反落を誘引するため、これも米ドル/円の上値を抑える要因となるので、下落基調は変わらず

 今週の米ドル/円は、8月6日(火)に105.52円、7日(水)に105.50円と、105円台ミドルでダブルボトムを形成して反発しています。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 ただ、この105円台ミドルの米ドル買い需要も、英FT紙が報道しているように、日本の当局がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や他の政府系金融機関を使って、実質的なステルス介入(極秘介入)をしているだけと考えられています。

 仮にマーケットの憶測どおりであれば、前述のマーケット環境下、時間をおいて、米ドル/円は結局104円台まで、そして中期では100円台まで下落するとの方針は変わらず

 当コラムでピックアップしている米ドル/円の下落トレンドは変わらず、今週(8月5日~)は105円台ミドルまで反落してきました

【参考記事】
米国の為替介入に不安高まる…。ドル/円は110円が遠くなり、100円へ向けて下値拡大中(7月18日、西原宏一)

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

直近では104円台、そして中期では100円に向けて下落を続けている米ドル/円相場の行方に注目です。


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