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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米ドル/円決壊! 年初来安値104.87円更新が
視野に。英ポンド/円の戻りを売りたい!

2019年08月05日(月)17:36公開 (2019年08月05日(月)17:36更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■パウエルFRB議長の「余計な一言」でNYダウ崩壊

先週(7月29日~)のFOMC(米連邦公開市場委員会)は予想どおり25bp(0.25%)の利下げでしたが、余計だったのはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言


「足元の利下げは必ずしも緩和サイクルの開始を意味しない」と話したことで米株が下落。NYダウは節目の2万7000ドルを割り込みました。

パウエルFRB議長写真

パウエルFRB議長は7月31日(水)、FOMC後の記者会見で「足元の利下げは必ずしも緩和サイクルの開始を意味しない」と発言した。この発言を受けて米株は下落する展開に… (C)Bloomberg/Getty Images News

何度も言及してきた節目の2万7000ドルを割ったことでNYダウはブルトラップとなり、高値をつけた可能性が高まりました。


米株は史上最高値を更新するものの、日本株や中国株など他市場は高値を更新できずに市場間ダイバージェンスとなっていましたが、先週(7月29日~)の下落で米株が間違えていたことが証明された形です。


パウエル議長の余計な一言はあったものの、市場は連続利下げを期待しており、9月利下げの織り込みは80%を超えています。

【参考記事】
NYダウがブルトラップに!? 米株反落は今週始まるかも…本格的な米ドル安も到来か?(7月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:Bloomberg)

FOMC翌日にはトランプ米大統領が9月1日(日)からの対中関税第4弾発動をツイート。これが効いてリスクオフに拍車がかかっています。

【参考記事】
深夜にトランプ砲炸裂! 直前に公開した為替ディーラーの予見が当たり過ぎて神ってた
米ドル/円波乱の最大の要因は? トランプ氏の対中ツイートは「きっかけ」にすぎない!(8月2日、陳満咲杜)

トランプ米大統領は先月から「中国に失望した。米農産物を買うと言っておきながら買わない」「時間稼ぎをするな」と中国への非難を強めていましたから、そろそろ動きがあるだろうとは思っていましたが、想定よりも早かった印象です。

■米ドル高、円高、中国人民元安、ビットコイン高

米ドル/中国人民元も今朝、節目の7.00元を突破し、中国人民元安が進んでいます


このレベルを超えてくると、中国からの資本流出が加速する可能性が高まりますし、歩調を合わせるかのようにビットコインも上昇しています。


中国政府の介入もありそうですね。

【参考記事】
みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第1回 米中貿易戦争激化で大儲けする方法
みんなまだ知らない中国人民元の謎に迫る! 第2回 スワップは高い? レートは5割安い!?
深夜にトランプ砲炸裂! 直前に公開した為替ディーラーの予見が当たり過ぎて神ってた

米ドル/中国人民元 月足
米ドル/中国人民元 月足チャート

(出所:Bloomberg)

ビットコイン/円 4時間足
ビットコイン/円 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 4時間足

アジア通貨では日本の「ホワイト国」リストから除外された韓国ウォンも下落しています。米ドル/韓国ウォンは1200ウォン台へ乗せてきました。


円買い・韓国ウォン売りはモルガン・スタンレーが推奨していたトレードです。

米ドル/韓国ウォン 月足
米ドル/韓国ウォン 月足チャート

(出所:Bloomberg)

今週(8月5日~)は8月6日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])、8月7日(水)にRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の政策金利発表が控えています。


RBAは据え置き、RBNZは利下げというのがコンセンサスですね。

RBAは今回こそ据え置きですが、年内もう1回は利下げするのでしょう。


8月7日(水)にはインド中銀の会合もあり、これも利下げが見込まれています。

■米ドル/円は年初来安値104.87円更新が視野に

米長期金利も1.8%割れまで落ちてきましたし、主要国の金利が軒並み低下する中、緩和余地の乏しい円が買われるのは当然ですね。


米ドル/円は105円台まで下げてきて、1月のフラッシュ・クラッシュ安値104.87円も視野に入ってきました。

【参考記事】
FOMC前までレンジ相場か。でも、今後は円高圧力がかかりやすい。そのワケとは?(7月19日、今井雅人)
フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:Bloomberg)

104円から105円の水準では一度止まるのでしょうが、110円台への回復は当面難しそうです。


米ドル/円についてはむしろ、「ここまでよく持ちこたえた」という印象。


NYダウの強さが下支えになったのでしょうし、落ちそうなタイミングで日本企業のM&AやGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買いが入ったことも支えとなりました。


しかし、GPIFが為替ヘッジを行うとの報道が出て、米利下げ、対中関税第4弾と重なったことで決壊した形です。

【参考記事】
ハト派なECB。GPIF動けばユーロ/円下落!? いろいろあるが、何はともあれFOMCに注目!(7月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)
深夜にトランプ砲炸裂! 直前に公開した為替ディーラーの予見が当たり過ぎて神ってた
米ドル/円波乱の最大の要因は? トランプ氏の対中ツイートは「きっかけ」にすぎない!(8月2日、陳満咲杜)

■英ポンド売りの材料そろう

円ロングにするには最適な環境ですね。


円高がトレンドとなりつつありますし、米ドルと逆相関になりやすいゴールドも7月の高値を超えてきました。


米ドル/円の戻り売りでしょうか?

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:Bloomberg)

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足もとの相場は米ドル高・円高となっていますので、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の売りがいいでしょう。


注目は英ポンドです。


ボリス・ジョンソン氏の首相就任でノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)の可能性が高まり、またノーディールに備えた予算を倍増しています。


BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])も次の動きが利上げどころか、利下げとなる可能性が出てきました。

【参考記事】
ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任。英国の合意なきEU離脱懸念が高まる!(7月25日、西原宏一)
新英首相ボリス・ジョンソンってどんな人? 合意なき離脱を呼ぶ!? ナルシストの正体!(7月30日、松崎美子)
ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)

IMM(国際通貨先物市場)を見ると英ポンド売りが9万枚まで積み上がっています。巻き戻しが入る可能性はありませんか?

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(英ポンド/米ドル)7月30日時点
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(英ポンド/米ドル)7月30日時点画像

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

たしかに日足ベースでは調整を示唆するチャートとはなっています。


ただ、これだけ材料がそろうと、調整による上昇はあっても、本格的に上がるのは難しいでしょう。


今週も英ポンド/円の戻りを売っていきたいと思います。

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足

(構成/ミドルマン・高城泰)

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