■トランプ大統領がFRBの政策に不満表明
FRB(米連邦準備制度理事会)も、7月31日(水)に0.25%の利下げを決定しましたが、RBNZを筆頭に、他の中央銀行の緩和政策と比較するとどうも見劣りするのか、FRBの決定に大いなる不満を表明している人物がいます。
【参考記事】
●ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)
それは、トランプ大統領。
8月7日(水)にニュージーランド、インド、タイの中央銀行が矢継ぎ早に緩和を発表したことを受けて、トランプ大統領が直接FRBを批判するツイートをしています。
「Three more Central Bank cut rates.(また3つの中央銀行が利下げした)」
「Our problem is not China. Our problem is a Federal Reserve .(我々の問題は中国ではない、FRBだ)」
「They must Cur Rates bigger and faster(より大きく早く利下げしろ)」
「stop their ridiculous quantitative tightening NOW(量的引き締めは、今すぐやめろ)」
トランプ大統領のツイートがFRBに影響を与えるとは思いたくありませんが、8月7日(水)時点の、金利先物市場での9月18日(水)のFOMCでの0.50%の利下げ確率は、43.4%までに上がってきました。
今後、0.50%の利下げ織り込み度がさらに上がってくると、当局としても無視できない状況に陥り、結局、FOMCの決定にも影響を及ぼすのではないかと危惧しています。
結果、FOMCは9月に0.25%、もしくは0.50%の利下げを決定した後も、粛々と政策金利を下げていくのではないかと想定しています。
政策金利の順次引き下げは、米金利の低下を誘引し、ひいては米ドル/円の下落要因となります。
■米ドル/円は反発も、100円への下落基調は変わらず
また、金利先物市場での織り込み度とは裏腹に、仮に米金利が急反発する局面となれば、米国株の反落を誘引するため、これも米ドル/円の上値を抑える要因となるので、下落基調は変わらず。
今週の米ドル/円は、8月6日(火)に105.52円、7日(水)に105.50円と、105円台ミドルでダブルボトムを形成して反発しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ただ、この105円台ミドルの米ドル買い需要も、英FT紙が報道しているように、日本の当局がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や他の政府系金融機関を使って、実質的なステルス介入(極秘介入)をしているだけと考えられています。
仮にマーケットの憶測どおりであれば、前述のマーケット環境下、時間をおいて、米ドル/円は結局104円台まで、そして中期では100円台まで下落するとの方針は変わらず。
当コラムでピックアップしている米ドル/円の下落トレンドは変わらず、今週(8月5日~)は105円台ミドルまで反落してきました。
【参考記事】
●米国の為替介入に不安高まる…。ドル/円は110円が遠くなり、100円へ向けて下値拡大中(7月18日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
直近では104円台、そして中期では100円に向けて下落を続けている米ドル/円相場の行方に注目です。
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