米企業の決算発表が本格化してきた。経済指標などマーケットすべてに影響を与えるデータをマクロ指標という一方で、企業決算はミクロ指標という。ミクロ指標であっても市場の反応は同じようなものであり、やはり事前予想と実際の結果との比較になる。
何を予想するのかというと、株価関連の場合は企業利益を見るのである。利益の絶対額を論じる場合もあれば、1株あたりに引き直したもので見る場合もある。前者は日本で多くが見られ、アメリカや欧州では後者で測る。
企業利益の大きさを利益の絶対額で比較しても、1株あたり利益(=EPS)で比較しても同じことである。EPSは時価総額を株式数で割っただけだからだ。だから株価がそもそも高い企業のEPSは大きなEPSとなることになる。EPSが大きいからといって素直に喜べる性質のものではない。
あくまでも事前予想のEPSと、結果のEPSを比べるのだ。ちなみに株価をEPSで割ったものをPERという。これは企業利益の何年分を積み重ねれば、出資分をすべて回収できるのかを示すものである。EPSが高ければPERは低下し、その株価は割安だという解釈になる。
そういうわけで昨日のニューヨーク序盤では、米企業決算が相次いだ。GSやシティ銀、ウェルズファーゴといった金融大手は押しなべて予想に従う決算結果だった。
またユナイテッド・ヘルスやJ&Jなどの化学分野の決算はアナリスト予想を大いに上回ったので、マーケットは全体的にリスクテーク寄りの姿勢となった。前日に米国株が程よく価格調整をしていたので、買いやすかったという一面もあったのだろう。
ドル円も108円台のミドルから108円台の後半まで上昇。これまでは108円台の中盤以降はかなりのオファーがあるとされていたのだが、実際にそこまで到達してみると存外に上値は軽かった。私としては108円台の後半の見えているオファーが気になる分だけ、ここからは買い上がってはいけないという思いが強い。
一方でイギリスがEU側と合意できそうな可能性も出てきたという見方が出てきた。どれを根拠にしているのかわからないが、妙に楽観的なのである。これで明日からのEU首脳会議も乗り切れるといったようなムードである。それに伴ってポンドも一段高。本当に合意なき離脱が回避できるのならば、ポンドドルは1.30台まで戻してもおかしくはないところなのだが。
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