■S&P500はどちらに動くか微妙な位置にある
ただし、一番強いS&P500でさえ、テクニカルのみの視点でも、今の位置は非常に微妙であることも併記しておきたい。
S&P500の週足をみればわかるように、高値更新したとはいえ、2018年1月高値から引かれたレジスタンスラインをなおブレイクできず、また2018年年末安値から引かれたサポートラインと合わせてみると、大型上昇ウェッジを形成した可能性もある。
(出所:Bloomberg)
上昇ウェッジというフォーメーションは、往々にして反落を暗示するケースが多いから、上値突破に失敗した場合は大きな波乱となってくるリスクが暗示されている。
【ウェッジに関する参考記事:FX初心者のための基礎知識入門】
●保ち合いはトレンド継続中の休息期!? トレンド相場の再開に乗り遅れるな!
当然のように、レジスタンスラインを突破できた場合は、前述のフォーメーションの可能性を否定し、逆に一段と大きく上昇余地を拡大できるので、米国株は本当のバブル期を迎えるかと思われる。
いずれにせよ、米国株は重要なポイントに到達しており、ここから上放れするかどうかを見極めるべきだが、ブルトレンドが否定されていない限り、先張りで頭でっかちな先入観はいらない。
米中貿易戦争や英EU離脱、そして、米長短金利の逆転など悪材料が満ちた環境でも米国株はブルトレンドを保ってきたことを考えると、このトレンドはさらに伸びていく可能性が大きいのではないかと思う。この意味では、今は米国株のバブル期ではなく、本格的なバブルはこれからだと言える。
【参考記事】
●10月暴落説が喧伝されたが日米株は暴騰も! 米ドル/円は上昇前のスピード調整(2019年10月25日、陳満咲杜)
そもそも、米国株の史上最高値更新でもFRBが利下げを敢行したから、バブルを発生させる最大条件ができている。FOMC声明文やFRB議長の言葉のニュアンスまで分析、米利下げ封印云々の分析も多いが、今まであまり当てられなかっただけに、今回も信用できないと思う。
米株高でも利下げ継続の余地がなおあり、やはり本格的なバブルはこれからの公算が高い。
■米ドル/円の反落はスピード調整にすぎない
米国株の話がまた長くなったが、要するにリスクオンかリスクオフのどちらか、という話だ。
英ポンドの大反転にみられるように、リスクオフ・オンの反転は実は極めて急速に行われがちで、少なくとも目先はリスクオフのムードではないから、昨日(10月31日)、米中合意挫折のウワサがもたらした米ドル/円の急落も、拡大解釈は不要だと思う。
シンプルに言えば、米ドル/円の反落は8月高値109.33円や200日移動平均線の突破にいったん失敗したから、スピード調整を行っている最中であるということだ。
(出所:Bloomberg)
しかし、スピード調整だからこそ、再度サポートゾーンを確認してからまた上昇波に復帰、8月高値のブレイクを果たし、一段と上値余地を拡大する公算が高い。なにしろ、日足における「逆三尊(※)」は維持されているし、またスピード調整があった方が、これからより健全な上昇波の形成につながるからだ。
(※編集部注:「逆三尊」はチャートのパターンの1つで、底を示す典型的な形とされている。天井を示す「三尊型」(仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)を逆さにした形であるため、「逆三尊」と呼ばれる)
■米ドル/円は基本押し目買いのスタンスで
執筆中の現時点で、米ドル/円は下のチャートが示すように、サポートポイントに達している可能性がある。
(出所:Bloomberg)
このあたりの検証はまた次回に譲るが、今晩(11月1日)の米雇用統計次第ではなく、雇用統計の結果がどうであれ、基本は押し目買いのスタンスで臨みたいことを記しておきたい。市況はいかに。
(13:30執筆)
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