■トランプ米大統領の緊急発表! 市場への影響は?
トランプ米大統領は昨夜(10月27日夜)、“Something very big”な(非常に大きな)緊急発表を行うと予告し、IS(過激派組織「イスラム国」)の最高指導者であるバグダディ容疑者が死亡したことを明らかにしました。
Something very big has just happened!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 27, 2019
トランプ米大統領は10月27日(日)、ISの最高指導者であるバグダディ容疑者が死亡したことを明らかにした (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
米国にとっては非常に大きなニュースですが、金融市場への影響はどうでしょうか。
リスクオンを感じさせるニュースではありますが、マーケット的にはそこまで大きなことではないかもしれませんね。
トランプさんは発表の中で、ロシアやトルコ、イラク、シリアへの謝辞も述べていました。
利害の対立するこれらの国々をまとめた上で作戦を遂行したなら、トランプさんの功績ですね。
■英ポンド/米ドルは1.40ドルがターゲットに
今週(10月28日~)は、イベントが満載です。まずはブレグジットからですね。
EU(欧州連合)は木曜日(10月31日)に迫った離脱期限の延長を認めました。
延期の期間については、今日(10月28日)明日(10月29日)にも発表される見通しです。
有力なのは11月15日(金)までの短期延期と、2020年1月末までの3か月延期の2案。
一方、ジョンソン英首相は2019年12月にも総選挙を行いたい意向を示しました。解散総選挙を求める動議は、今日(10月28日)にも提出されるようです。
情勢はまだ混迷しているように見えますが、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)の可能性は大きく後退し、合意ある離脱となるのでしょう。
モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスも合意ある離脱を見込み、英ポンドの上昇を予想し始めています。
【参考記事】
●合意なきEU離脱と英ポンド暴落懸念は、ほぼ消滅か。ブレグジットは新局面へ…(10月24日、西原宏一)
●【英EU離脱】可決でも否決でもなく採決見送り!? ジョンソン首相に秘策はある?
ターゲットはどのくらいですか?
英ポンド/米ドルで1.40ドル程度を見ているようです。
(出所:TradingView)
■株式市場から聞こえるバブルの足音
10月30日(水)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の政策金利発表です。
利下げ織り込みは90%以上。25bp(0.25%)の利下げは、ほぼ確実ですね。
9月の経済指標は、ISM景況感指数が製造業、非製造業とも悪化し、小売売上高も予想外のマイナス。
利下げする大義名分はありますし、下げるのでしょう。利下げしなければ株式市場は急落ですね。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!
●ISM製造業景気指数とは? 米国の景気を占う先行指標!? 非製造業部門にも注目!
焦点は、12月にも連続利下げを行うのか、ですね。10月から再開した資産買い入れについても、どう説明するのか気になるところです。
景気が強いのに利下げし、さらに資産買い入れを再開するというのは株式市場でバブルを起こしたいのかと想像してしまいます。
トランプさんとしても、来年(2020年)の大統領選挙をにらんで株高は大歓迎でしょうが、カードを早く切りすぎてしまうのも問題です。
あと半年株価が持てば選挙戦を優位に戦える、と思っているのであれば、早過ぎることはないのかもしれません。
いずれにせよ、NYダウが史上最高値である2万7398ドルを更新できるかどうか。
ここを抜けていくようなら、バブルの可能性を考慮しないといけませんね。
(出所:Bloomberg)
■追加緩和期待もあった日銀だが…
FOMC翌日(10月31日)には、日本銀行の会合も控えています。
一部では追加緩和への期待もありましたが、ブルームバーグは「追加の金融緩和策を見送る方向で検討」と報じました。
特にイベントとは、ならなさそうですね。
WTI原油は先週(10月21日~)、レンジ下限を支えに反発して上がりました。原油在庫の減少が材料とされたようです。
例年、今は需要がガソリンから暖房油へと変わる端境期。製油所の定期修理などが入りやすく、在庫が積み上がりやすい時期です。
それにもかかわらず、予想に反して在庫が減少したということは、もしかすると世界景気は思っている以上に強いのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
日経平均は強いのですが、米ドル/円は鈍いですね。
チャート的には、200日移動平均線が位置する109.07円が抵抗となっている一方、リバース・ヘッド&ショルダー(逆三尊※)を形成しています。
オーダーを見ても109円には輸出の売りが控える一方、109円台にしっかり乗せてくると買わないといけない投資家がいるようです。
つまり、上下とも固い中でどちらかに抜けるのか、注目です。
(※編集部注:「逆三尊」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とも呼ばれる。また、「逆三尊」の逆で、天井を示す典型的な形が「三尊」(ヘッド&ショルダーズ))
【参考記事】
●まだ早いけど、言っちゃった! 米ドル/円日足に「逆三尊」の可能性(10月11日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
■ボラ低下が続く米ドル/円。頼みの綱は英ポンド!
10月30日(水)にはドイツ銀行の決算が発表されます。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などの問題を抱えていますから、念のため気をつけておきたいですね。
もし、ドイツ銀行決算などをきっかけにユーロが売られるなら、ユーロ/英ポンドのショートもいいかもしれないですね。
基本的にユーロ/米ドルも英ポンド/米ドルも上がると思っているのですが、ユーロ/米ドルが動かないですね。
米ドル/円も、先週(10月21日~)の値幅は上下50銭ほどでした。
為替市場の2大通貨ペアで、ボラティリティの乏しい展開が続いています。
頼みの綱は英ポンド。英ポンド/米ドルの押し目買いを基本に、株価が強いようであれば英ポンド/円のロングも検討したいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)